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障害者雇用を促進し職場に定着させるために企業がなすべきこと

更新日:2020年12月25日

2016年4月に施行された改正障害者雇用促進法では、障害者に対する差別の禁止に関する内容が新たに盛り込まれています。さらに、障害者が職場に定着し安定的に働き続けることができるようにするための合理的配慮の提供や相談体制の確立、苦情への対応も義務付けられています。それ以外にも障害者が安定して職場で働き続けるためには障害の特性や必要な配慮を採用する企業側が十分に把握し、同僚となる従業員への周知を徹底したり、障害者が就業への不安を感じた際にはすぐに対応したりする必要があります。このように、企業が障害者を雇用する場合にはさまざまな準備や課題、そして障害者を雇用した後のフォローなども含め、適切な対応などを知っておくことが重要です。ここでは、障害者を雇用する企業側が知っておくべき障害者を雇用する際のポイントなどについて詳しく解説していきます。

障害者が職場に定着するための企業の課題

障害者を採用しても、企業側が採用した障害者に対して「合理的配慮」をしなければ、障害者は持てる能力を発揮することが出来ず、職場に長く定着することが難しくなってしまいます。
この「合理的配慮」には、障害者が持っている障害の種類によりさまざまなものがありますが、全ての障害者に共通することもあります。
ここでは、障害者を雇用し長期就労につなげるにあたって、企業側に課される課題について解説してきます。

障害者に対する従業員の理解

障害者を雇用する場合、社内の従業員に理解を求めることは非常に重要です。
厚生労働省の調査によると、精神障害者の離職理由の1位と身体障害者の離職理由の2位が「職場の人間関係や雰囲気になじむことが出来なかった」という理由になっています。
これは、障害者を雇用する企業の中での従業員の理解が進んでいなかったことが原因のひとつであると考えられます。
障害者雇用に対する従業員の理解を得るためには、障害者に対する理解を深めるための社員教育が最も重要です。
このような取り組みを行うことで、障害者、健常者の従業員が協力し合い障害者の長期就労に結びつけることが出来るようになります。

 

職場内の協力体制

せっかく障害者を採用することができても、社内の受け入れ態勢が不十分であったり、人間関係や体調が悪化したりして職場に定着する前に退職してしまうという事例も報告されています。
このような状態を無くすためにも、社内での協力体制を構築しておくことは障害者を雇用するにあたって非常に大切です。
障害者に長期就労をしてもらうためには、現場でのマネジメントや健康管理、必要な合理的配慮の提供などが必要になります。
しかし、雇用した障害者に対してこのようなサポートを行うためには、企業内での協力体勢を築くだけでは十分ではない場合もあります。
そのため、企業と連携して障害者の安定した長期就労を支えてくれる障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)などの機関との連携も視野に入れておきましょう。

コミュニケーション

障害者を雇用した場合、企業側は障害者からの相談に適切に対処するために相談窓口を設置するなどの体制の整備が義務付けられています。
このような窓口の設置によって、常に雇用した障害者と企業側のコミュニケーションを図り、不安や仕事上の不都合を解消していくことで障害者の長期就労を実現させることが可能になります。

 

職務内容

データ入力や情報管理、システム開発などのデスクワークから店頭での接客・販売など、障害があっても従事できる職種にはさまざまなものがあります。
障害者が一般の企業で就業する場合には、事務作業を行うケースが多いのですが、この点については障害者本人の希望や適正を見ながら、その障害者が活躍できる職務に就ける必要があります。
この点については一般の人と同じですが、やはりここでも「できること・できないこと」への配慮が必要となるため、本人の希望も考慮しながら障害者に従事してもらう職務内容を決定する必要があります。
例えば肢体障害者は移動が少なく座って行うことができる仕事、視覚障害者には視覚的判断や頻繁な移動の必要がない仕事など、障害の種類により向いている職域というものはあるため、その点も考慮するようにしましょう。

 

勤務時間

障害者の中には定期的な通院の必要があったり、通勤時間が普通の人より長くかかったりする人もいます。
また障害の種類によっては、疲れやすいまたは疲れが溜まりやすいといった特性を持つ人も少なくありません。
このような人に長期就労してもらうためには、時短勤務を取り入れた働き方を提案することをお勧めします。

 

 

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障害者の同僚となる社員の理解を得るための5つのポイント

障害者の離職理由の中に「職場の人間関係や雰囲気になじむことが出来なかった」と理由があり、この理由は精神障害者では1位、身体障害者の場合には2位と、非常に高いランクに位置しています。
このような理由による障害者の孤立や離職を防ぐためには、雇用している障害者の同僚となる社員の理解を十分に得る必要があります。
ここでは、同僚となる社員の理解を得るための5つのポイントについて詳しく解説していきます。

 

雇用、配属の目的を知ってもらう

まず一番重要な事として、障害者をなぜその部署に配属したかという理由や意図、目的をその部署の人間に周知してもらうことが重要です。
障害者と同じ部署で働く場合には、一般の人とは違う特別な配慮が必要なことが多いため、なぜ自分の部署だけそのような配慮をしなければならないのかといった不満が出てくることも考えられます。
このような不満が出てくる前に、その部署に障害者を配属する必要性などを周囲の人たちが理解していれば、雇用された障害者もスムーズにその部署になじむことができるでしょう。

 

「できること、できないこと」と、必要な配慮内容を周知させる

障害者はその障害の種類により、「できること」と「できないこと」があります。
障害者を雇用するにあたって重要なのは、このできることとできないことの把握であって、障害の名称自体ではありません。
そして障害者のできないことや苦手とすることに関して、職場内でフォローを行うことで、障害者の長期就労に繋がります。
ここで注意しなければいけないのは、この障害者ができることとできないことを職場内に伝えて良いのかどうかという点について、障害者本人に確認しておく必要があるという点です。
障害者本人の同意を得たうえで、職場の同僚などに伝えどのようなフォローが必要であるのかを明確にしておくと良いでしょう。

 

日々のコミュニケーションの方法や留意点を伝える

障害者に接したことが無い、または接した機会が少ない人は雇用された障害者とどのようにコミュニケーションを取ればよいか戸惑うことも多いと思います、障害の特性により障害者に対する接し方にはそれぞれ違いがありますが、基本的な接し方は

1.事前に説明された配慮事項に気を付けながらコミュニケーションを行う。

2.腫れ物に触るような扱い方はしない

3.健常者にもそれぞれ個性があるように、障害者にも個人個人異なる個性があることを理解する

の3つのポイントを押さえておけば、スムーズにコミュニケーションを取ることができるでしょう。

 

同僚との日々のコミュニケーションを円滑にすることは障害者にとって、とても重要なことなので、これがうまくいかないと障害の状態や心身に不調を来すきっかけになってしまうこともあります。

 

障害者も同じ人間であり、新入社員であることを忘れずに先輩として率先して声かけを行ったり、仕事をスムーズに進めることができているか気を配るなどしてコミュニケーションをとると良いでしょう。

 

就業管理のためのサポートをお願いする

雇用している障害者の就業状況を管理するのは管理者の仕事ですが、細かな面まで管理者一人で把握するのはまず不可能でしょう。
そこで、日常の障害者本人の就業状況については、特に管理者の目の行き届かない範囲に関して把握が必要である事項をリストアップし、同僚などに確認及び報告をしてもらうようにしておくことで、雇用している障害者の勤務状況を細かく把握することが可能になります。
同僚などに観察を依頼する事柄の例としては、体調や勤怠状況の変化といった体調面、作業の早さや判断力などの仕事面、挨拶や報告・連絡・相談などの対人面などが挙げられます。
このような点は管理者よりも、同僚の視点からの方が気づきやすいため、同僚など確認を依頼していた人から異変が報告された際には、すぐに管理者が対応することができます。
このように管理者の就業管理のサポートを雇用している障害者の同僚などに依頼する際には、依頼する人にしてほしいこと、対応してほしいこと、する必要がないことの3点を決めておくことが大切です。

特に障害者の持つ特性や生活に関わる相談の対応は、管理者自身が行うようにしましょう。
また、指導や管理者に連絡を行う社員の役割分担もしっかりと決めておくと良いでしょう。

 

緊急時の対応を定め、周知する

障害者を雇用している場合、その障害の特性などから不測の事態が起こる可能性があります。
そのような場合の対応法についても、事前に決めておくことをお勧めします。
例えば肢体障害者の場合には、災害などが発生した場合に自力で避難することが難しいといったことなどが挙げられます。
このような事態が起こった場合には、誰が・どのように被害者を避難させるかを決めておき、避難に必要な器具などはどこに設置してあるのかといったことを把握しておきましょう。

 

精神障害者などの場合には、その障害の特性などにより災害などが引き金となって不調が現れるケースもあります。

 

そのような事態に備えて、障害者本人と同僚、管理者の三者で不調があらわれた際の管理者への報告や本人にどのような対応をすればよいかといったことについてあらかじめ検討し、合意しておくことが重要です。

 

障害者雇用の管理上、雇用主が押さえておきたい3つのポイント

障害者を雇用し管理していくうえで、雇用主が押さえておくべき3つのポイントがあります。
障害者は、それぞれ障害の特性により異なる配慮を必要とするためです。
ここでは、その3つのポイントについて詳しく解説していきます。

 

日々の状態や調子の変化を観察する

障害者が安心して働くためには、雇用管理者が障害者本人の日々の状態や調子の変化を把握しておく必要があります。
そのため、睡眠は十分にとれており体力はしっかりと回復しているか、勤怠や生活リズムは安定しているか、障害者本人がきちんと通院し服薬を行っているかといった健康・体調面、仕事に対する意欲や能動性・主体性は十分か、作業に対する判断力やスピードは問題がないか、作業の正確性は十分か、ミスの頻度は少ないかといった仕事面についても注意しておきましょう。
また、先輩や上司の指示に素直に従っているか、物事に対する向上心は持っているか、他人への貢献意欲はあるか、挨拶や報連相はしっかりとできているかといった対人スキルについても目を配るようにしておきましょう。

 

面談で状況を把握する

仕事の状況を管理者自身や同僚に依頼して観察する以外に、管理者と雇用している障害者が直接面談の機会を持ち、不安を感じていることなどがないかを確認することも非常に重要です。

 

障害者の中には自分から面談を申し出たり、仕事上の不安があっても自分から面談を希望していることを申し出たりすることが苦手な人もいるため、管理者側から定期的に面談の申し入れを行うことも重要です。

 

面談には、定期的に日時と時間を決めて行う定期面談と、必要に応じて不定期に行われる必要に応じた面談の2種類があります。

 

定期面談では、障害者側も仕事上で不安に思っていることがあればそれを整理して面談に望んでくれるため、短時間の面談で不安や問題を解消することが可能なケースが多くなります。仕事上の指導・改善案を提示する場合にも、この定期面談が向いているでしょう。

不定期面談は障害者自身から面談の申し出があった場合に行うことで、障害者が持っている不安や仕事に対する改善または配慮してほしい点を解決することができます。
この面談で管理者側が気を付けるべきことは、具体的な質問をするということです。管理者がなぜ自分がそのような質問を行ったかという理由も添えておくことで、障害者側も質問に正直に答えやすくなります。
管理者側の質問の意図が分からないと、障害者側は「質問の答え方によっては辞めさせられてしまうのではないか」といった不安を持ってしまいます。
そのため、管理者側はその質問にどのように答えても障害者側に不利な結果になることがないということを理解してもらわなければなりません。
このように面談を繰り返すうえで、前回の面談からどのような変化があったかということにも注目しておきましょう。

 

不安に対処する

雇用している障害者の不安に対処するためには、原因を特定する必要があります。
障害者の不安は、まず本人からの訴えで発覚することが多いのですが、その場合は本人の訴えだけではなく、必要な配慮は提供されているか、体調や障害の特性上の配慮事項の見直しの必要はないか、同僚などとの人間関係に問題はないか、与えている業務の難易度に無理はないかなどといった内容も精査する必要があります。

障害者が訴えている不安が就業面に関するものであれば、企業側が改善することが可能ですが、生活面や健康面などのプライベートな物であれば医師や支援機関などの第三者と連携して対応していく必要があります。

障害者差別の禁止の認識が必要

障害者に対する差別は無くなっていると考える人も多いと思いますが、実際に身近で仕事をしていくうえで差別が発生してしまうことがあります。
ここでは、どのような事が障害者差別として禁止されているかということについて解説していきます。

 

障害者雇用促進法における「障害者の差別」

障害者雇用促進法では、雇用における募集及び採用、賃金、配置、昇進、教育訓練などのあらゆる局面において障害者であることを理由に不当な扱いを受けることを「障害者の差別」と定義しています。
具体的には障害者であることを理由に排除されたり、不利な条件を設けられたり、障害のない人を優先したりすることを障害者に対する差別とみなします。

 

差別に当たるケース

差別に当たるケースとして具体的なケースには、以下のようなものがあります

1.障害を理由に人材募集をしない、応募を受け付けない、採用の拒否

2.業務遂行上必要のない条件を付けて障害者を排除する

3.合理的配慮が提供されれば障害者でも働くことができる職場であっても障害を理由に採用を拒否する

4.障害を理由に正規雇用を拒否する

5.障害を理由に正当な賃金を支払わない、同意なしに引き下げる、低賃金に設定する、昇給させない

6.研修などを受けさせない

7.食堂や休憩室など福利厚生施設の利用を認めない

 

違反するとどうなるのか

このような障害者差別を行っても、企業側に罰金などが課されることはありません。
しかし、厚生労働省や都道府県労働局から助言や指導、勧告が行われることがあります。

障害者差別を禁止するために企業が行うべきこと

障害者差別は、有ってはならないことです。
この障害者差別を禁止するために企業が行うべきことには、次のようなことがあります。

 

自社の雇用政策の中で、差別に該当する点がないかを確認する

人材募集や採用活動、雇用後の配属や人事評価などで、障害者であることを理由に障害者を排除すること、障害者に対してのみ不利な条件を設けること、障害がない人を優先することの3点に該当することが自社にないか、一度見直してみることをお勧めします。

 

障害があっても活躍できるために機会や配慮、制度を整備し提供する

障害者を採用し、合理的配慮を提供することは企業の義務です。
合理的配慮の提供はいわれなき差別を取り除くだけではなく、障害者の安定した長期就労や生産性の向上に繋がります。

 

雇用する障害者と十分に話し合い、障害者の意向を十分に尊重したうえで障害者の過度の負担にならない範囲で必要な合理的配慮を提供し、障害があっても活躍できる機会や場所を創設するようにしましょう。

 

重要なのは、合理的配慮は障害者を優遇するためのものではなく、障害者の持つ能力を十分に発揮してもらうために支障となる事柄を取り除くためのものであることを社員に理解してもらうことです。

障害者が働きやすい職場環境の整備以外にも、このような社員への啓発活動も行っていくようにしましょう。

 

障害者雇用、障害特性、配慮について社内へ啓発を実施する

障害者に対するいじめや偏見は、社内の障害者に対する理解が進んでいないことが原因です。
社内研修や勉強会などを通じて、社員に障害者雇用に関する企業の考え方や方針、障害特性についての基礎知識などについて啓発活動を行っていくようにしましょう。

 

人事や会社としての支援体制を構築する

研修や勉強会などで障害者に対する理解が得られたとしても、実際に障害者を雇用した場合には、現場の不安や負担は一般の人を雇用した場合よりも大きくなり、問題が発生することも考えられます。
そのようなときのために企業側は、現場と雇用した障害者双方を支援する体制を作っておき、情報共有をこまめに行って万が一トラブルが発生した際の連携方法を定めておくようにしましょう。

まとめ

ここまで、障害者が職場に定着するための企業の課題、障害者の同僚となる社員の理解を得るためのポイント、障害者雇用の管理上雇用主が押さえておきたいポイント、障害者差別禁止の認識、障害者差別を禁止するために企業がすべきことについて解説してきました。

障害者が企業で安定して長期就労していくためには、合理的配慮の提供と周囲の理解、差別のない環境が重要であることがお分かりいただけたと思います。

 

障害者雇用は、福祉事業ではありませんが、企業と配属部署の責任者、同僚の三者が連携し障害者が働きやすい職場にすることで、障害者が活躍できる企業にすることができ、生産性の向上を達成しながらよりよい職場環境を作ることができるでしょう。

 

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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