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障害者雇用率のカウント方法とは?障害の種類・等級別に解説

更新日:2023年07月01日

2022年に障害者の雇用の促進等に関する法律(略称 障害者雇用促進法)が改正され、2023年4月1日から一部施行されました。これにより民間企業の法定雇用率が引き上げられたほか、超短時間勤務で雇用されている障害者も障害者雇用率の算出の対象とすることなどが定められました。障害者雇用促進法における障害者雇用のルールや法定雇用率を算定する際の障害者の人数のカウント方法、障害者であることの定義や障害の種別、障害者であることの把握や確認方法、情報の更新や保管方法などついて解説します。

障害者雇用のルール

障害者の雇用を進めるにあたっては、まず障害者雇用のルールを知ることが大切です。障害者雇用促進法に定められている障害者雇用率制度や障害者雇用納付金制度について説明します。

 

障害者雇用率制度

障害者雇用促進法では、事業主に対して同法に定められた「法定雇用率」以上の割合で、身体障害者、知的障害者、精神障害者を雇用することを義務付けています。民間企業における障害者雇用率設定の基準は次の通りです。

 

障害者雇用率=(身体障害者、知的障害者及び精神障害者である常用労働者の数+ 失業している身体障害者、知的障害者及び精神障害者の数)÷(常用労働者数 + 失業者数)

 

※20時間以上30時間以下の短時間勤務の精神障害者、身体障害者、知的障害者は1人を0.5人としてカウントします。20時間以上30時間以下の短時間勤務で重度身体障害、重度知的障害のある人を雇用した場合は1人当たり1人としてカウントします。

 

2023年7月現在の民間企業の法定雇用率は2.3%で、従業員を43.5人以上雇用している事業者は、障害者を1人以上雇用する義務があります。

 

 

なお、民間企業だけでなく国や地方公共団体などにも法定雇用率が定められていて、国と地方公共団体は2.6%、都道府県等の教育委員会は2.5%です。

障害者雇用納付金制度

障害者を雇用した企業は、障害者が働きやすいように作業施設や作業設備の改善、職場環境の整備などが必要となるため、障害のない人を雇用するケースに比べて経済的な負担を伴うことがあります。そのため、障害者を多く雇用している企業の経済的な負担を軽減して、障害者雇用の水準を高めることを目的として「障害者雇用納付金制度」が設けられています。

 

具体的な制度の仕組みは、次の通りです。

 

法定雇用率を達成していない企業のうち、常用労働者が100人を超える企業から「障害者雇用納付金」を徴収し、この給付金を元に法定雇用率を達成している企業に調整金や報奨金を支給します。

 

また、障害者を雇用する企業が、作業施設や設備の設置などについて多額の費用の負担をした場合には、その費用に対し助成金を支給します。

 

障害者雇用にまつわるメリット・デメリットをはじめ、最低限知っておきたい基礎知識をご紹介する資料がダウンロードできます。

この資料でわかること
・障害者雇用とは?
・障害者を雇用するメリット
・障害者を雇用しないデメリット
・障害者雇用が進まない企業が抱える課題
・課題を解消するポイント
・押さえておくべき障害者雇用の法律・制度

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令和4年障害者雇用促進法改正のポイント

2023年4月に障害者雇用促進法が改正されました。

今回の改正では

 

「法定雇用率の引き上げ」

「障害者雇用調整金等における支給方法の見直し」

「週20時間以下の短時間労働者の実雇用率算定」

 

の3つの点において大きく変更があります。

また、令和4年障害者雇用促進法改正は、すでに施行された令和5年分と令和6年4月1日に施行される2段階での施行となっています。各改正がどのタイミングで施行されるのかも、併せて確認していきましょう。

 

法定雇用率の引き上げ

今回の障害者雇用促進法の改正によって、2023年4月1日以降の民間企業の法定雇用率が改正前の2.2%から2.3%と変更となりました。さらに、2024年4月1日以降は民間企業の法定雇用率は2.4%へ引き上げられ、2026年7月に、2.7%へ引き上げられます。

これに伴って、2023年4月1日以降は従業員を43.5人以上以上雇用している企業に、2024年4月1日以降は従業員を40.0人以上、2026年4月以降は従業員を37.5人以上雇用している企業に対象範囲が拡大されます。今回の改正によって、新たに障害者の雇用義務が生じた企業は、特に注意が必要です。

障害者雇用調整金等における支給方法の見直し

今回の法改正により、事業人数が100人以上で、なおかつ障害者を一定数以上雇用している企業に対して支給される「障害者雇用調整金」および、事業人数が100人以下で障害者を一定数以上雇用している企業に対して支給される「障害者雇用報奨金」の支給方法が変更になりました。

 

 

まず、障害者雇用調整金が、2023年4月以降、これまでの月額27000円から29000円に引き上げられます。

施行されたのは2023年4月ですが、実際に引き上げられた額が支給されるのは今年度の実績が反映される2024年度になります。

 

障害者を法定雇用率で定められた人数以上に雇用した企業に対して、障害者雇用調整金および障害者雇用報奨金は支給されていますが、2024年4月以降、この超過した人数が一定数を超えた場合、超過した1人当たりの調整金ないし報奨金の単価が調整されます。

施行されるのは2024年4月のため、2024年度の実績に基づき、2025年から支給されます。

障害者雇用調整金においては、超過した1人あたりに支給される調整金の月額が23,000円になります。

障害者雇用報奨金においては、超過した1人あたりに支給される報奨金の月額が21,000円になります。

 

これは、障害者雇用の浸透による実雇用率が上昇したことにより、新たに障害者雇用を始める企業のための助成金の財源が足りない状況であるためです。

 

現在、障害者雇用納付金を財源とする調整金・報奨金および企業が申請できる障害者雇用に関する各種助成金のなかで、調整金・報奨金が財源のほとんどを占めていることを踏まえた改正といえるでしょう。

週20時間以下の短時間労働者に対する実雇用率の算定

これまでの障害者雇用促進法では、障害者雇用の実雇用率の対象となる障害者は、週所定労働時間が20時間以上の契約を結んでいる者に限られていました。

 

今回の改正により、2024年4月以降、障害特性上長時間の勤務が困難な精神障害・重度身体障害・重度知的障害のある人についても、障害者雇用の実雇用率の算定に含めることができるようになりました。

障害者雇用率のカウント方法

自社が、障害者雇用の法定雇用率を満たしているかどうかは、自社の社員数や障害者の雇用数から算定する必要があります。

 

法定雇用率に対する自社の雇用率の計算式は次の通りです。

 

自社の雇用率=(障害者である常時雇用労働者の数+障害者である短時間労働者の数×0.5)÷(常時雇用労働者の数+短時間労働者の数×0.5)

対象となる労働者

上記の計算式にある「常用雇用労働者」と「短時間労働者」について説明します。

 

【常用雇用労働者】

常用雇用労働者には、以下を含みます。

・正社員など雇用契約期間の定めがなく雇用されている労働者

・契約社員やパート、アルバイト、派遣写真など雇用契約期間の定めがあり雇用されている(有期契約)労働者のうち、雇用契約期間が反復し更新され、雇入れの時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる労働者

このうち1週間の所定労働時間が30時間以上の労働者を「常用雇用労働者」としてカウントします。

 

【短時間労働者】

短時間労働者とは以下の労働者です。

・1週間の所定労働時間が、20時間以上30時間未満の労働者

 

短時間労働者の雇用カウントは0.5人でカウントします。

 

障害者である労働者のカウント方法

【基本的なカウント方法】

障害者である労働者のカウントも、障害のない労働者と同様で、常用雇用労働者を1人としてカウントし、短時間労働者は、1人を0.5人としてカウントします。

 

 

【重度身体障害者と重度知的障害者のカウント方法】

常用雇用の重度身体障害者と重度知的障害者は1人を2人としてカウントし、短時間労働の重度身体障害者と重度知的障害者は1人としてカウントします。

 

 

【短時間労働の精神障害者のカウント方法】

短時間労働の精神障害者(前述の通り、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満)については、2023年までの特例措置が設けられており、カウントが0.5人から1人に引き上げられています。

 

この特例措置は、2023年3月31日までに、雇い入れられ、かつ精神障害者保健福祉手帳の交付を受けることが要件となっていました。

 

2023年の改正によって、この特例措置は今後も当分の間、継続することが定められており、今後も上記の条件で雇用された短時間労働の精神障害者については、0.5ではなく1人としてカウントできます。

 

また、2023年7月現在、20時間以下の超短時間勤務については障害者雇用の雇用率算出にカウントされませんが、2024年4月1日以降、10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者、重度知的障害者については0.5人でカウントする特例措置が施行されます。

 

 

【カウント対象とならないケース】

上記の条件に該当しても以下のような事例では、退職理由が解雇であっても自己都合であっても、対象とならない場合もあります。

 

精神障害者が退職し、その退職後3年以内に、退職元の事業主と同じ事業主(子会社特例等を受けている場合は、共に特例を受けている他の事業主を含む。)に再雇用された場合

 

対象になるかどうかは、厚生労働省の「精神障害者である短時間労働者に関する算定方法の特例措置 Q&A」を参考にするか、最寄りのハローワークに確認するとよいでしょう。

参考:厚生労働省 職業安定局 雇用開発部 障害者雇用対策課 雇用促進係「精神障害者である短時間労働者に関する算定方法の特例措置 Q&A」

 

障害者は種類・等級や条件によってカウント方法が異なる

障害者である労働者のカウント方法を表にまとめました。

障害者雇用促進法においての「障害者の定義」

企業が、障害者雇用促進法により障害者の雇用義務を果たして雇用する場合、法律では障害者がどうのように定義されていて、雇用を予定する障害者が、どの障害に該当するのかを把握する必要があります。

 

障害者

障害者雇用促進法の第2条第1号では障害者を、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者」と定義しています。

 

身体障害者

「身体障害者」とは、視覚障害、聴覚または平衡機能の障害、音声機能、言語機能またはそしゃく機能障害、肢体不自由、心臓やじん臓、呼吸器など内部障害がある人とされています。具体的には、身体障害者障害程度等級表における1級から6級までの障害者と、7級に掲げられた障害が2つ以上重複している障害者をいいます。

 

このうち、1級と2級に該当する人、または3級に該当する障害を2つ以上重複していることで2級とされる人は、「重度身体障害者」とされ、特別措置により障害者雇用率のカウントを1人に対して2人の障害者とみなされます。なお、身体障害者であることは原則として「身体障害者手帳」の交付を受けているかどうかによって確認できます。

参考:身体障害者障害程度等級表(身体障害者福祉法施行規則別表第5号)

 

知的障害者

「知的障害者」とは、障害者のうち知的障害がある者で厚生労働省の省令で定めるものとされています。具体的には、児童相談所や知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医又は障害者職業センターなどの知的障害者判定機関によって知的障害があると判定された人をいいます

 

このうち「重度知的障害者」は、知的障害者判定機関によって知的障害者の程度が重いと判断された障害者で、前述の通り障害者雇用率のカウントにあたっては、特別措置によって1人を2人の障害者とみなすことができます。なお、 知的障害者であることの確認は都道府県知事が発行する「療育手帳」、または知的障害者判定機関の交付する判定書によって確認できます。

 

精神障害者

障害者雇用促進法での「精神障害者」とは、精神障害者保健福祉手帳の所持者または統合失調症、そううつ病又はてんかんにかかっている者のうち、症状が安定していて就労が可能な状態にある者をいいます。なお、精神障害者であることの確認は、精神障害者保健福祉手帳を所持しているかどうかによる他、医師の診断書や意見書などによって行います。

 

障害の把握・確認の際の注意点

障害者雇用率制度や障害者雇用納付金制度の適用にあたっては、雇用主である企業が、労働者の障害の種別や程度などの把握と確認をする必要があります。しかし、これらの情報に関しては、個人情報保護法などの法令を遵守しながら、十分にプライバシーに配慮することが求められます。

 

障害者であることの把握と確認については、厚生労働省から「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」が示されていますので、ガイドラインに沿って進めるようにしましょう。

 

障害の有無の把握の方法

障害の有無を把握する際には、特に在職している障害者に配慮する必要があります。在職者に障害の有無の把握・確認を行う場合には、障害者本人の意向に反した雇用率制度などの適用が行われることのないように、労働者全員にメールの配信や書類の配布等の画一的な手段で申告を呼びかけることが原則です。

 

また、申告を呼びかける際には、障害者雇用状況の報告や障害者雇用納付金の申告、障害者雇用調整金又は報奨金の申請などのために用いるという利用目的を明示することに加えて、業務命令として呼びかけに対する回答を求めているものではないことを明らかにすることが大切です。

 

障害有無の把握の方法の例外

障害者である労働者本人が、職場における障害者の雇用を支援するための公的制度や社内制度の活用を求めて、自発的に企業に情報を提供した場合は、例外的に個人を特定して障害者手帳などの所持を照会することができます。

 

例外の例外

ただし、障害のある労働者本人が自発的に情報を提供した場合でも、傷病手当金の申請(健康保険)にあたって事業主が証明を行った場合などのケースでは、障害者手帳の有無を把握することについては、本人の意向に反することもありえます。そのため、個別のケースごとに慎重に判断する必要があります。

 

把握した情報の更新について

労働者の障害に関する情報を 把握・確認した後も、手帳の有効期限や障害程度等の情報に変更がないか確認を行い、情報に変更があった場合には更新を行う必要があります。しかし、確認の頻度は必要最小限とするようにしましょう。

 

また把握・確認の際に行ってはいけない事項や把握・確認した情報の処理や保管方法についても注意する必要があります。詳しくは、厚生労働省が「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」としてまとめていますので、確認しておくことが重要です。

参考:厚生労働省「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドラインの概要」
 

「障害者雇用の基礎知識」資料が無料ダウンロードできます

障害者雇用については、「障害者雇用促進法」という法律で義務付けられていますが、障害者雇用促進法には、他にも障害者差別の禁止や合理的配慮の提供の義務などが定められています。

障害者雇用にまつわるメリット・デメリットをはじめ、最低限知っておきたい基礎知識をご紹介します。

 

この資料でわかること
・障害者雇用とは?
・障害者を雇用するメリット
・障害者を雇用しないデメリット
・障害者雇用が進まない企業が抱える課題
・課題を解消するポイント
・押さえておくべき障害者雇用の法律・制度

 

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▼サンプル

まとめ

企業が障害者を雇用することは、持続可能な社会に向けて企業が行わなければならない社会的責任であるという考え方が一般的になってきました。しかしその一方で、「障害者雇用は法的義務だから行う」と考えている企業が多いのも現状です。

 

障害者を雇用することは、企業にとって企業価値の向上や多様性のある組織作りなど、たくさんのメリットがあります。また、人員計画全体を見直すきっかけにもなって、業務の効率化や生産性の向上につながるなどの効果をもたらします。

 

障害者を雇用する際には、まず障害者雇用促進法に定められている雇用のルールや制度を理解することが重要です。さらに、障害者への理解を深めるために障害の種類や特性、配慮の仕方などについても知識を持つ必要があります。

 

障害者雇用率制度や障害者雇用納付金制度の適用にあたっては、企業は労働者の障害の状況について把握や確認をするが必要がありますが、障害者本人のプライバシーに十分に配慮することが大切です。

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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