【うつ病に合った仕事、働き方】再就職をするときにオススメの方法
更新日:2022年03月31日
2017年世界保健デーのテーマは「うつ病」でした。(厚生労働省HP)うつ病に罹患される方は年々増えており、現在100万人を超えております。うつ病は、一生の内15人に1人はかかるといわれる誰でもかかる可能性のある身近な病気です。在職中にうつ病になり復職を目指す方、発症後退職して再就職を希望する方、まず何をどうしたらよいのかわからないという方に、一例としてお伝えいたします。
目次
もしかしてうつかもしれない?
今まで何の不調もなくバリバリ仕事をこなしてきた方が、ある日を境に
・夜、布団に入っても中々寝付けない。色々な考えが頭に浮かんできて頭の中がぐるぐるしてしまう。朝まで目がさえて眠れない。
・原因がわからない不安な状態が続いている。 ・仕事を終えて自宅に帰るとぐったりしてしまう。着替えずにそのまま床の上で眠ってしまう、などの疲労感が残る。 ・今までした事のないケアレスミスを繰り返してしまった。集中力の低下が目立つ。 |
上記のような症状が生じ、徐々に活力が低下することで日常生活に支障が出始める場合があります。
「なんか変だなぁ」と感じつつもそのまま働き続けたり、頑張り過ぎると 更にこれらの症状が悪化し、家族や職場の上司・同僚等から受診を勧められ、精神科・心療内科・メンタルクリニック等に受診した結果「うつ病」と診断される方がいらっしゃいます。
Aさんの場合
実例としてAさん(20代後半、男性、既婚者)のケースを紹介します。
Aさんは関東の某県の出身で、小・中・高と学業成績が良く、都内の有名大学に現役合格し、卒業後は「大学新卒者の就職希望企業ランキング」10位内に常に入っている大企業(金融機関)に就職しました。
就職後も順調に昇進し、結婚もしました。
Aさんに変化が起きたのは、入社6年目頃です。
入社以来配属されていた営業課から業務課へ人事異動があり、配属された部署には直属の上司である管理職が6人いるという、いわば「頭でっかち」な所でした。
Aさんは持ち前の前向きな思考と明るさで日々職務を遂行しておりましたが、ある日から
「不眠」
「上司が6人もいるけど 自分はどう評価されているのだろう?、といった不安」
「食欲不振」
「思考力低下(ケアレスミスを繰り返す)」
「胃の違和感」
を覚えるようになりました。
また、勤務時間中にボーッとして何も手がつかないでいたり、時にはヒソヒソ声で自分の悪口が聞こえる事もありました。
妻に勧められ、初めは内科を受診しましたが、内科的には異常は見当たらず、大学病院の精神神経科を紹介され受診したところ、「うつ病」と診断され、入院となりました。
3ヶ月入院し、本人の希望と医師の判断により退院、また元の職場に復帰しました。
退院に際して、主治医から職場の上司にAさんへの配慮や対応について助言がありました。
上司はその助言に沿ってAさんへの仕事量を変えたり、Aさんへの対応に配慮しましたが、復職後 Aさんは1週間でまた症状が悪化し、再入院となり、今度は6か月入院しました。
今後の事について家族が集まって話し合いをした結果、Aさん本人も同意した上で「退職」し、Aさん夫婦はAさんの体調が回復するまでAさんの実家で暮らす事となりました。
うつ病と付き合うポイントは?
うつ病の方にとって大事なことは気分の波と上手く付き合っていく事です。
仕事や働き方でうつ病と上手く付き合い働き続ける事ができる方もいらっしゃいますが、Aさんのように競争の激しい職場で、「何とか同僚との遅れを取り戻したい」「絶対にクビになりたくない」「そもそも自分は精神病ではない」と頑張り過ぎてしまい、その時の状態ではこなす事が困難な仕事を遂行しようと無理し過ぎてしまうと、一度回復期になってもまた症状が逆行する事があります。
在職中の方は、ストレス負荷を抑えた仕事を選定(上司に配置換えや職制変更等を相談)する事も再発防止に有効です。
また 悩みを抱え込まずに職場内で相談する(産業保健師・看護師等が配置されている会社であればそういった専門職に相談する)事も大事です。
日中に服薬の必要がある方は、思い切ってうつ病の治療に取り組んでいる事を職場内でカミングアウトする事も一つです。
うつ病発症後退職して再就職を希望。何をどうしたらよい?
うつ病を発症し、Aさんのように退職した方で、症状が回復期や維持期になっているので、「再就職したい」とお考えの方は多いでしょう。
今まで一度も就労した経験が無く、仕事をするという事がよくわからない方もいらっしゃるでしょう。
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また、経済的にも不安定になりますので「お金がほしい」という思いもあるでしょう。
まずは焦らずに課題を一つ一つ解決する事をおススメします。
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長引く場合は障害者手帳の取得も視野に
うつ病は外観ではわかりづらい病気です。
長期にわたり社会生活や日常生活に支障がある場合は十分に社会復帰に対する障害になりえます。
長期間うつ病を患っている方は障害認定を受ける事も視野に入れてみてはいかがでしょうか?
障害認定とはすなわち、「精神障害者保健福祉手帳」の取得です。
もちろん本人の取得意思があっての事ですので、通院先の病院の主治医とPSW(精神保健福祉士)によく相談してみましょう。
自分の障害を受け入れるという事は、確かに辛い事です。
人が障害を負ってからそれを受け入れるまでには、ショック期→否認期→混乱期→解決への努力期→受容期という段階を辿ることがわかっています。
人によってはうつ病を発症し患って10年経ってから精神障害者保健福祉手帳を取得した方もいらっしゃいます。
しかしながら、前へ進むためには最初の一歩が必要です。
自分の障害を自覚する事で、次に進める場合もあります。
障害のある自分と向き合う
次に、自分の障害を自覚した方は「今の自分にできる事は何か」「どういう仕事に就けるのか」「どういう働く場があるのか」等を考えましょう。
自分一人では中々難しい課題です。ここは一つ専門機関の力を借りましょう。
「障害者就業・生活支援センター」に相談する事も良い方法の一つです。
障害者就業・生活支援センターは、通称「ナカポツ」あるいは「ナカポツセンター」と呼ばれており、全国の都道府県から334か所が委託されています。他に指定都市長や中核都市長から委託を受けているところもあります。
「ナカポツ」は、就職を希望されている障害のある方や在職中の障害のある方が抱える課題に応じて、身近な地域において、雇用、保健福祉、教育等の関係機関の連携拠点として、就業面及び生活面における一体的な相談支援を実施します。(参照:厚生労働省HP)
障害と共に働くには?
就労までの道筋は、「一般就労に復帰する」以外にも選択肢があります。
例えば、精神障害者福祉手帳を取得し、障害者雇用枠で就労することも選択肢の一つです。
あるいは、就労継続支援事業所に通所し、そこで作業などを通じて工賃を得る福祉的就労という可能性もあるでしょう。
その他にも、地域活動支援センターによっては、作業などを行うこともできます。
この他にも、例えば「人前に出られない(一人で外出できない)」「他人の視線が怖い」「他人とのコミュニケーションが上手くできなくてトラブルになった経験があり、集団での就労は無理」「自分の障害を自覚はできるが、障害者就労支援事業所へ行くのは抵抗がある」等の方もいらっしゃるでしょう。
そういう方には、「在宅ワーク」という働き方があります。ご自宅にパソコンとインターネット環境が整っていれば、インターネット上で仕事を受注し、納品する事で収入が得られます。ただし、仕事の内容にもよりますが、仕事の単価は全体的に低めの事が多く、生活していかれるだけの収入を目指すのであれば、相当のパソコンのスキルが求められる事を忘れないでください。
「在宅ワーク」と似ている就労方法に「テレワーク」(あるいは「在宅勤務」)という働き方もあります。
こちらもパソコンとインターネット環境を整える必要があります。スカイプを使って毎日、会社に勤務している上司や先輩と打ち合わせをして、仕事を行います。
会社と雇用契約を交わし、勤務時間数に応じて雇用保険や社会保険が付きます。会社によっては、専用の機器を貸与してくれる所もあります。
参考:厚生労働省ホームページ 関連情報
▶厚生労働省HP 「障害者雇用対策について」 ▶厚生労働省HP 「障害者総合支援法に定められた障害者福祉サービスを利用する方法。障害者に対する就労支援」 ▶厚生労働省HP 「地域活動支援センターについて」 |
まとめ
うつ病を発症し、長期間にわたって患ってきたために実例のAさんのように辛い経験をした方、今まで仕事を経験していなくてこれから先どうしたらよいのか悩んでいらっしゃる方に「仕事」や「働き方」にも色々な選択肢がある事をお話してきました。
障害とともに、あせらず、頑張り過ぎず、今の自分にできる仕事から始め、スモールステップで階段を一段一段踏みしめながらステップアップする事をおススメします。
少しでもご参考になれば幸いです。
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