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身体障害者の採用のポイント・採用後の定着ノウハウを解説!

更新日:2021年02月18日

「障害者雇用促進法」によって、企業は常用労働者に対して一定割合以上の障害者を雇用することが義務づけられています。障害者を雇用することは、法律上の義務というだけでなく、社会的な責任でもあります。そのため、企業は身体障害者を含めた障害者の採用にさらに取り組む必要があります。厚生労働省が発表した「平成18年身体障害児・者実態調査結果」によると、身体障害者の就業率は20.4%でした。障害種別でみると視覚障害が21.4%、聴覚・言語障害20.7%、肢体不自由19.2%、内部障害22.1%で、種別に関係なくおよそ5人に1人が就業していることになっています。一方で、障害者に対する配慮や現場の上司や同僚などの理解が不十分なため、働きづらさを感じて離職してしまうケースもあります。障害者雇用に取り組む際には、採用時だけでなく採用後も定着してもらうための職場環境の改善や社内の理解を進めることが大切です。今回は、身体障害のある方を採用する際のポイントや採用後に定着してもらうためのノウハウについて詳しく解説します。

障害者雇用とは

国は、障害者が能力や適性を十分に活かして活躍することができる社会、障害者と共に働くことが当たり前の社会を目指して、障害者雇用対策を進めています。障害者雇用対策としては、「障害者雇用促進法」という法律を定めて、企業や地方公共団体などに対して、障害者の雇用を義務づけています。

 

障害者が就職を目指す際、一般の雇用枠では不利になってしまう場合があります。そのため、「障害者雇用促進法」では常用労働者に対して一定割合以上の障害者を雇い入れなければならないとされ「法定雇用率」が決められています。「障害者雇用」とは、特別の採用枠を設けて障害者を雇用することです。

 

民間企業の現在の「法定雇用率」は2.2%で、常用雇用者が45.5人以上の企業は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。法定雇用率の算定対象となるのは、身体障害者、知的障害者、精神障害者で、身体障害者手帳や療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を持つ人です。
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障害者雇用の法律や納付金について

「障害者雇用促進法」は、障害者の雇用義務や雇用の促進のための措置、職業リハビリテーションの措置などを通じて、障害者の職業の安定を図ることを目的にしています。その措置は、雇用する側の事業主に対するものと、雇用される障害者本人に対するものがあります。

 

事業主に対する措置には、先ほど説明した企業に障害者の雇用を義務づけた「雇用義務制度」と、障害者雇用に伴う企業の経済的負担の調整を図るため、法定雇用率を達成できなかった企業からは障害者雇用納付金を徴収、法定雇用率を達成した企業に障害者雇用調整金を支給、障害者を雇用するために必要な施設などに各種助成金を支給する「給付金制度」があります。

 

法定雇用率を満たしていない企業は、不足1人当たり月額5万円の障害者雇用納付金を納める必要があるばかりか、厚生労働大臣による勧告に従わない場合には企業名が公表されることもあります。

 

企業の人事担当者は「障害者雇用促進法」の具体的な内容や、障害者雇用における企業側のメリットとデメリットについて理解しておく必要があります。次の記事で詳しく紹介していますので参考にしてください。

身体障害のある人を雇用する際のポイント

法定雇用率の対象となるのは、身体障害者、知的障害者、精神障害者ですが、今回は身体障害のある人を雇用する際のポイントについて解説します。

 

症状について本人から詳しく共有を受ける

身体障害者手帳が交付される人については、「身体障害者福祉法」によって次の通り定められていて、いずれも一定以上で永続することが要件とされています。

 

・視覚障害

 

・ 聴覚又は平衡機能の障害

 

・ 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害

 

・ 肢体不自由

 

・ 心臓、じん臓又は呼吸器の機能の障害

 

・ ぼうこう又は直腸の機能の障害

 

・ 小腸の機能の障害

 

・ ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害

 

・ 肝臓の機能の障害

 

以上のように、ひと言で身体障害者と言っても、障害のある部位や程度は人それぞれで、必要となる配慮も異なります。身体に障害がある人を雇用する際には、症状について本人から詳しく聞いておくことが大切です。

 

どこまでの配慮が可能かを伝える

「障害者雇用促進法」や「障害者差別解消法」では、事業主に対して合理的配慮の提供が義務づけられています。合理的配慮とは、障害のある人からバリアを取り除くために、何らかの対応が必要との意思が伝えられた時に、過重な負担にならない範囲で対応することです。

 

身体に障害のある人を雇用する場合、本人が必要であると意思を伝えてきた配慮の全てに対応することが理想ですが、「事業活動に与える影響」や「費用・負担の程度」「企業の規模や財務状況」「実現困難度」「公的支援の有無」などによって対応することが難しいこともあります。合理的配慮では、これらの要素を総合的に勘案して個別に判断するとされています。

 

なお、合理的配慮は採用後だけでなく、採用や応募時にも対応が求められます。採用・応募時に求められる合理的配慮については、本人の障害特性によってさまざまですが、具体的には次のようなものがあります。

 

・試験時間を延長する

 

・就労支援機関の職員などの同席を認める

 

・聴覚障害の場合には、面接時など筆談で対応する

 

・移動を極力少なくするような工夫

 

障害者本人の意向を十分に尊重した上で、過重な負担にならない範囲で、どこまでの配慮をすることができるか伝えましょう。

 

引き継ぎ・フォロー体制を伝える

障害者本人と十分に話し合って、配慮の範囲について決めたとしても、配属される現場と情報共有がなされていなければ、希望通りの配慮が行われないことがあります。また、配属先の上司や同僚が変わったタイミングで情報の引継ぎがなされず、必要な配慮が行われなくなるケースもあります。

 

このような事態を防ぐために、事前に合理的配慮についての引継ぎルールを、社内で決めておきましょう。また、現場任せにすることなく、合理的配慮についての理解を深める取組を行ったり、フォローやサポートできる体制を整えておくことも大切です。

身体障害のある人を雇い入れる際の社内準備

障害者雇用では、採用だけでなく、採用した障害者の安定就業・職場定着を実現することも大切です。せっかく採用しても、社内の受け入れ体制や現場での理解が不十分な場合には、離職や退職に至ることもあります。

 

職場環境・設備の見直し

障害者を雇用する企業は、障害者が十分に能力を発揮できるように、障害の特性に合わせて職場環境や設備を見直すことが重要となります。前述の通り、身体障害といっても「肢体不自由」「視覚障害」「聴覚・言語障害」「内部障害」など障害の部位や程度はさまざまです。

 

身体障害のある人を雇い入れる際には、合理的配慮としてどのような対応を行うかを十分に検討することが重要です。まずは、本人と良く話し合って配慮が必要となる職場環境について把握しましょう。

 

配慮が必要となるものとしては、一般的には次のような項目があります。

 

・職種や職務内容の調整

 

・設備の改善や補助具の活用

 

・通勤への配慮

 

・体調管理や精神面での配慮

 

設備に関しては、「障害者作業施設設置等助成金」が活用できることがあります。「障害者作業施設設置等助成金」は、障害者を正社員として雇用するか継続して雇用する企業が対象で、障害者が作業しやすくなるための施設や設備を設置、整備した場合に費用の一部を助成するものです。

 

他にも、障害者が利用できる福利厚生施設の整備を行う際の「障害者福祉施設設置等助成金」や、障害の種類や程度に応じた適切な雇用管理に必要な介助を行う場合の「障害者介助等助成金」などがありますので、これらの助成金も活用しながら、障害者が働きやすい職場環境を整えましょう。

 

参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金のごあんない」

 

 

現場の理解を促す

本人から必要とする配慮について十分にヒアリングしたと思っていても、周囲に迷惑をかけているのではないかと不安に思い、配慮して欲しいことを言い出せない方もいます。また、反対に配慮されたときに、本当は必要ないと思っていても、言い出せないケースもあります。このような心理を理解することも重要です。

 

そのためには、一緒に働く現場の上司や同僚に対して障害者への理解や配慮について理解を促す必要があります。障害者に対する理解を促すためには、社内研修なども必要となります。「障害者雇用の必要性と趣旨」「障害の種類や症状、特性」などの研修を実施することで、現場の理解が向上して障害者のサポートがスムーズに行くようになります。

 

職務の設計

障害にばかり注目して困難な仕事ばかり考えがちですが、障害者を雇用する際に最も大切なことは、障害のない部分にも目を向けてできる仕事を見つけ出すことです。既存の職務内容を固定的に捉えるのではなく、職務内容の組み合わせや工程を変えて遂行可能な職務にしたり、新たな職務を設計することも考えてみましょう。

身体障害者の方の雇用事例

「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構」では、障害者の雇用管理や職場環境、職域開発などについて工夫して実践している取組を事例集としてまとめています。そのなかから、身体障害のある方の雇用事例を紹介します。

株式会社沖ワークウェル

東京に本社を置く「株式会社沖ワークウェル」では、重度の障害により通勤が困難な社員は在宅でホームページの制作やデザイン、データ入力などのさまざま仕事をしています。また、通勤が可能な知的障害のある社員は、オフィスサービスを提供する業務を行っています。

 

IT技術を活用して、重度の身体障害のある社員が通勤しなくても、働くことができる環境を整備。自社開発したバーチャルオフィスシステム「ワークウェルコミュニケータ」は、音声でコミュニケーションを取るシステムで、クリックするだけで話したい相手を呼び出すことができます。常時接続で、他の社員が誰かを呼び出している声がいつも聞こえているので、オフィスにいるような環境で在宅勤務の孤独感を和らげています。

 

また、在宅勤務の障害者の労務管理や育成、プロジェクトマネジメントを行う「在宅勤務コーディネーター」を任命して、障害特性や強みを理解し最大限の力を発揮できるように、コミュニケーションを取り仕事をしています。

 

参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「上肢に障害を有する肢体不自由者のための職場改善好事例集」

参考:株式会社沖ワークウェルホームページ

 

 

株式会社富士通ビー・エス・シー

「株式会社富士通ビー・エス・シー」は、ソフトウェア開発とソフトウェアサービスを行う企業で、国内にいくつもの事業所を展開しています。その中で宮城県にある仙台開発センターで勤務していた社員が、脳出血によって両上下肢機能障害になったため、職場復帰にあたりリハビリを行った病院の担当者と、障害者職業センターのカウンセラーやジョブコーチ支援などを活用して、復職に必要な職場内の作業環境整備に取り組んだ内容が、好事例として紹介されています。

 

スムーズに職場復帰を進めるために社内の各部署で役割分担を決めて取組み、本社HRD推進障がい者支援担当者は、社内のホームページに「障がいを知り理解しよう」のページを設けて、脳血管障害の原因や内容、サポートなどについて周知しました。

 

また、在籍している下肢障害者や内部障害者が作成した車いす対応マニュアルも配布して、社内の理解を図っています。

 

参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「上肢に障害を有する肢体不自由者のための職場改善好事例集」

 

JFEアップル西日本株式会社 倉敷事業所

「JFEアップル西日本株式会社」は、JFEスチール株式会社の特例子会社で、文書作成や図面作成、各種データの情報入力といったパソコン業務やガス計器検査などの業務を行っています。進行性の筋ジストロフィー症による両上下肢機能障害の兄弟を在宅雇用して、Excel による電気図面、制御図面、設備図面などの作成などの業務を行っています。

 

在宅雇用にあたっては「在宅勤務に関する取り決め事項」に基づいて勤務管理を行っています。具体的には、体力面や上肢への負担を考慮して勤務時間は9:00~15:00の週5日勤務。休憩時間は午前の15分と午後の50分に加えて、1時間に10分小休止するようにしています。

 

また、二人とも作図作業において、キーボード入力が困難だったため、パソコン操作などについて改善を行ったり、作業量を分担するなどの工夫をしています。

 

参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「上肢に障害を有する肢体不自由者のための職場改善好事例集」

障害者の採用と職場定着のポイントは、必要としている配慮を把握すること

「障害者雇用促進法」で義務づけられている法定雇用率は、原則5年ごとに見直されることになっています。企業が雇用することが必要となる障害者の人数は、今後さらに増えていくことでしょう。

 

障害者雇用では、採用だけでなく、採用した障害者が職場に定着するような取組みを行うことも必要です。せっかく採用した障害者が、早期に離職してしまうことがないように、障害の有無にかかわらず働きやすいと思えるような職場環境を整えるようにしましょう。

 

障害の部位や程度は人それぞれで、必要とする配慮も障害者によって異なります。まずは、本人がどのような配慮を希望しているのか、企業としてはどこまでの配慮が可能なのかを、十分に話し合って伝えるようにします。配慮して欲しいことが言い出せない障害のある方もいるので、遠慮せずに言えるような社内の雰囲気を作ることも大切です。

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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