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中小企業における障害者雇用の実態と障害者雇用を進めるポイントを紹介

更新日:2023年07月21日

障害者の雇用と就労の安定を図ることを目的とした法律の「障害者雇用促進法」では、常用雇用労働者数が43.5人以上の企業に障害者を雇用することを義務付けて、雇用すべき障害者の割合が決められています。法定雇用率が達成できない場合には、原則的に不足分1人当たり月額5万円を納めなければならないという「障害者雇用納付金制度」が定められています。常用雇用労働者が100人以下である中小企業の多くは、法定雇用率を達成しなくても給付金を納入する義務がありませんが、大企業と比較すると中小企業の方が障害者の雇用が進んでいないというデータがあります。では、中小企業の障害者雇用における課題とはどのようなものがあるのでしょうか。また、中小企業が障害者雇用を進めるにはどのようなポイントに気をつけたらよいのでしょうか。

中小企業での障害者雇用状況

厚生労働省が公表した「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」を見ると、民間企業の障害者雇用者数は61万3958人で、前年と比べると1万6172人(2.7%)の増加でした。

実雇用率は2.25%と前年比で0.05ポイント上昇していますが、2023年現在の障害者雇用促進法に定められた民間企業の障害者雇用率(法定雇用率)の2.3%には届いていません。

 

 

企業規模別の障害者雇用状況は次の通りです。

 

区分 企業数 障害者の数

(ポイント数)

実雇用率 法定雇用率達成企業の数 法定雇用率達成企業の割合
規模計 107,691 613,958.0 2.25% 52,007 48.3
43.5~100人未満 55,602 66,001.0 1.84% 25,460 45.8%
100~300人未満 36,824 117,790.0 2.08% 19,052 51.7%
300~500人未満 7,012 52,239.5 2.11% 3,079 43.9%
500~1,000人未満 4,778 69,375.5 2.26% 2,257 47.2%
1,000人以上 3,475 308,552.0 2.48% 2,159 62.1%

 

参考:厚生労働省「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」

 

 

中小企業基本法では、中小企業を製造業・建設業・運輸業・その他の業種で常時使用する従業員の数が300人以下、卸売業・サービス業で100人以下、小売業で50人以下と定義しています。上記の「企業規模別の障害者雇用状況」の表で、企業の規模が「5.5~100人未満」の実雇用率を見ると1.84%と2%を下回っていています。また、法定雇用率達成企業の割合では、企業の規模が「5.5~100人未満」で45.8%、「100~300人未満」で51.7%と、2.3%の法定雇用率を達成できた企業は約半数という状況です。

 

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障害者雇用においての中小企業の課題

障害者雇用促進法により障害者の雇用が義務付けられても、特に中小企業においては法定雇用率までの雇用に至っていない状況にあります。では、障害者雇用における中小企業の課題にはどのようなものがあるのでしょうか。

 

障害者雇用が進まない中小企業

独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構が平成17年に調査した結果によると、障害者雇用に対する企業の考え方で「法定雇用率以上をめざす、ないしは維持する」および「法定雇用率をめざす、ないしは維持する」と回答した企業の割合が、従業員1,000人以上の規模の大企業では90%、301~999人の規模の大企業では78%であったのに対して、中小企業では43%に過ぎませんでした。また「特に目標を決めていない」とする企業が41%、「障害者は雇用しない」とする企業が13%となっていて、大企業と中小企業との間で障害者雇用に対しての意識に大きな違いがみられました。

 

2008年のリーマンショック以降、日本経済は拡大を続けていましたが、そのような環境の中でも中小企業を取り巻く経営環境は厳しい状況にあります。障害者を雇用する際、作業施設や設備の改善や職場環境の整備、従来とは違う雇用管理など、健常者を雇用する場合に比べると企業の経済的負担が大きくなります。また、障害者を雇用する際には、支援者や指導者を配置するなど人的な支援体制も調える必要もあります。「障害者雇用納付金制度」等の国の助成金もありますが、資金や人員の余裕が少ない中小企業にとっては、新たに障害者を雇用することは、義務とはいえ簡単ではありません。

最大の課題は障害に応じた業務の設定と改善

全国中小企業団体中央会が平成18年に調査した結果では、障害者を雇用する阻害要因となる事項について、「障害者に適した職務がない」「建物など施設のバリアフリー化が進んでいない」「障害者雇用のノウハウが乏しい」などを挙げる企業が多く、 また、障害者を雇用するに当って課題となった事項については、「担当業務の選定」「作業の効率性」「周囲とのコミュニケーション」を挙げる企業が多くありました。

 

独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構が平成25年にまとめた「中小企業における初めての障害者雇用に係る課題と対応に関する調査」でも、障害者を雇用しなかった最大の理由として「障害の状況に応じた職務の設定や作業内容、作業手順の改善が難しかった」という理由が一番多いという結果になっています。

中小企業で障害者雇用を進めるポイント

では、中小企業が障害者の雇用を進めるにはどのような準備や取り組みが必要なのでしょうか。企業によって障害者雇用に対する課題に違いはありますが、ポイントを紹介します。

 

雇用に取り組む意義と方針を立てる

障害者雇用を進めるにあたっては、どのような理由で取り組む必要があるのか、会社としての方針を明確にして社内で共有することが必要です。障害者を雇用することは、障害者雇用促進法に定められた義務を果たすといった理由もありますが、障害者を雇用するは多くのメリットを企業にもたらす可能性があります。メリットとして考えられる点には以下のようなものがあります。これらの理解を進めることが大切です。

 

  • 業務を見直して、効率化を図るきっかけになる
  • 業務の見直しによって生産性が向上し、障害者が戦力として活躍する
  • 企業の社会的責任(CSR)を果たす。企業価値の創出につながる
  • 多様性のある企業文化や組織作りができる

 

社内理解を得る

障害者雇用に取り組む意義と方針を立てたら、社内の理解を得るようにしましょう。障害者を雇用する際には、まず現場の従業員が障害者雇用について理解する必要があります。前述の通り、障害者雇用における最大の課題は、障害に応じた業務の設定と改善です。現場の従業員だけでなく上司も、「障害があるからこの業務はできないのではないか」「指導や教育に手がかかるのではないか」「知的障害者や精神障害者の場合、コミュニケーションがうまく取れないのではないか」といった不安を感じるケースが多いようです。この理由は、障害者への理解ができていないことであり、障害者を雇用する際には経営層も含めて社内の全員が障害の種類や特性について理解することが大切です。

 

業務を考える

障害者を雇用する際に大切なのは、採用する前にどのような業務を担当させるのか検討しておくことです。障害者を雇用する法的義務があるからといって、担当業務が無い状態で採用だけしても、いざ入社したら何を任せたらいいのか現場が困ってしまいます。このように業務とのマッチングがうまくいかないケースでは、離職につながってしまう可能性があります。

 

障害者を受け入れるにあたって業務を見直すことは、健常社員の業務の効率化につながる可能性もあります。まずは、社内の全ての業務を棚卸しして、障害があってもできる業務と作業内容や作業工程を改選することでできる業務を洗いだしてみましょう。その上で、雇用する本人の障害特性や個性、意欲などに合わせて任せる業務を決めるのがよいでしょう。

 

 

職場実習の受け入れ・採用前実習の利用

今まで障害者を雇用したことがない企業が、初めて障害者を雇用する場合には、一定の期間で職場実習を実施して、試験的に受け入れてみてもよいでしょう。実習を通して障害者の特性について理解を深めることができるほか、募集人材の要件を策定するにあたって業務を遂行するために必要な職務能力やスキルを見極めることができます。

 

 

また採用前に実習を行うことで、職場や業務に適応して定着できそうか判断して、入社後のミスマッチによる早期離職を防ぐことができます。

 

 

支援機関や雇用支援業者に相談

企業が障害者を雇用して、雇用後の定着を実現するためには、障害者雇用を支援する機関や雇用支援業者に相談して連携することが大切です。障害者雇用の相談や支援の窓口としては「ハローワーク」と「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構」があります。まずは、このような支援機関に相談するとよいでしょう。

 

  • ハローワーク
    ハローワークでは、障害者を雇用しようとする企業や雇用した企業に対して、雇用管理上の配慮についての助言や必要に応じて地域障害者職業センターなどの専門機関の紹介、各種助成金の案内を行っています。

 

  • 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構
    高齢・障害・求職者雇用支援機構では、職業リハビリテーション専門機関の立場から雇用管理に関する助言やその他の支援を行っています。支援には「障害者職場実習支援事業」があり、これは障害者を雇用したことがない事業主が、ハローワーク等と協力し、職場実習を計画し実習生を受け入れた場合に、謝金等を支給することによって、障害者の雇用経験の乏しい企業に対する支援を行うものです。

 

雇用支援制度を活用

障害者雇用促進法に基づいて、障害者を雇用する企業には助成金制度があります。

 

職場定着に取り組む

障害者を雇用した際に、最も大切なことは早期離職せずに職場に定着して、安定的に就業を継続できるかどうかです。職場定着のためには、障害者本人が就業に対して意欲を持ち続けることに併せて、企業は障害者が安定して就業して能力を発揮するための適切な配慮が不可欠です。

 

今まで障害者を雇用したことが無い企業においては、障害者雇用に対するノウハウがなく、特に業務以外の健康や医療、プライバシーに関わるサポートは難しい状況にあります。そのため障害者雇用を支援する機関と連携して、職場定借に向けた相談や支援を受けられるような体制を作っておくことが大切です。

 

中小企業での障害者雇用事例

障害者雇用の好事例については、「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構」が、障害者の雇用管理や雇用形態、職場環境、職域開発などについて企業が実践している取組を紹介した事例集があります。今回はこの中から知的障害者のための職場改善の事例を紹介します。

 

大東コーポレートサービス株式会社

大東建託ではグループ全体を通して、知的障害者雇用の経験がまったくありませんでした。採用面接や試験のやり方も分からなかったため、最初はすべて東京障害者職業センターに相談して、ジョブコーチの派遣や、助成金、トライアル雇用という制度も利用しました。

 

最初に直面した問題は、とにかく知的障害について、誰も知識がないことで、どの部署も何の仕事を、一体どの程度頼んでいいのかが分からなかったことです。この問題を解決するために、定期的に本社各部門あての説明会を実施したり、各職場を回って「頼める仕事は何か」をヒアリングしました。そして「知的障害者はこんな仕事もできますよ」と社内にお知らせして受けた業務を、確実に効率よく進めるような “ 仕組みづくり” をして、職場改善について生活相談員を中心に進めました。

 

それぞれの障害者の特性を踏まえて、どうしたら意欲をもてるのかを発見し、自ら努力していくきっかけを作ることが、個人の問題解決につながります。本人がどれだけ成長できたかを見て、現在の能力よりも少しずつ上の仕事をやってもらい、あえて負荷をかけることで、いつの間にか個人や全体のスキルが上がっていた─そんな職場づくりで、「知的障害者は 1 つか2 つの仕事しかできない。複数の仕事は無理」という先入観を打ち破る職域開拓を進めています。

 

まとめ

障害者雇用を進めることは、「障害者雇用促進法」に定められた法的な義務だけでなく、企業の社会的責任でもあります。多くの企業では、障害者を雇用することの必要性や意義を理解しながらも、現実的には障害者雇用促進法に定められた法定雇用率を達成できない企業が多くあります。

 

障害者を雇用するには、作業施設や設備の改善や職場環境の整備、従来とは違う雇用管理など、健常者を雇用する場合に比べると企業の経済的負担が大きくなります。特に障害者雇用におけるノウハウがない中小企業には、課題がたくさんあることでしょう。今回の記事では、中小企業が障害者を雇用する際の課題や障害者雇用を進める際のポイントを紹介しました。

 

初めて障害者を雇用する企業は、まずハローワークや独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構などの障害者雇用を支援する機関に相談して、支援の依頼をすることが大切です。

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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