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就労移行支援では賃金や工賃は支給される?就労継続支援との違い

更新日:2020年09月16日

全国の障害者の総数は、身体障害者436万人、知的障害者108万2千人、精神障害者419万3千人で、合わせて約946万人です。このうち18~64歳で在宅の障害者の約337万人が障害者就労支援の対象です。一方、企業には障害者雇用促進法によって、障害者の雇用が義務付けられ、2.2%の法定雇用率が定められています。実際に、民間企業に雇用されている障害者は、56万608.5人で前年と比較して4.8%(2万5,839.0人)増加と16年連続で過去最高を記録していますが、まだまだ足りないのが現状です。障害者総合支援法で定められた、障害者や難病の人が就業を目指す際に利用できる障害者福祉サービスには、就労移行支援事業と就労継続支援事業の2つがあります。どちらも障害者や難病の人の就労を支援するサービスですが、利用できる対象者やサービスの内容などが異なります。この記事では、就労移行支援事業と就労継続支援事業の違いや、作業を行った際に賃金や工賃が支給されるかなどを詳しく解説します。

就労移行支援とは

就労移行支援とは、「障害者総合支援法」で定められている就労系の障害者福祉サービスのひとつです。障害者総合支援法は、「障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営む」ことを目的として、平成25(2013)年に施行されました。

 

障害者総合支援法による支援は、自立支援給付と地域生活事業で構成されています。自立支援給付には、介護給付、訓練等給付、相談支援、自立支援医療、補装具があります。

 

就労移行支援とは訓練等給付の福祉サービスで、一般企業などへの就労を希望する障害がある人に対して、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。対象者は、65歳未満で企業などへの一般就労を希望して、知識や能力の向上、実習、職場探しなどを通じて、適性に合った職場への就労が見込まれる障害者です。厚生労働省のホームページでは、具体的な例として次のように書かれています。

 

(1) 就労を希望する者であって、単独で就労することが困難であるため、就労に必要な知識及び技術の習得若しくは就労先の紹介その他の支援が必要な者

(2) あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許又はきゅう師免許を取得することにより、就労を希望する者

 

参考:厚生労働省「障害福祉サービスについて」
→atGPの就労移行支援サービスを見てみる

就労移行支援サービスの内容

就労移行支援サービスを提供する就労移行支援事業所では、次のような内容で障害者の就労を支援しています。

 

求職活動に関する支援

就労移行支援事業への通所前期は基礎訓練期といい、一般就労に必要な基礎体力の向上や集中力・持続力等の習得、自身の適性や課題の把握などへの支援が行われます。

通所中期は実践的訓練期で、マナーや身だしなみ、挨拶などの習得と職業習慣の確立を目指した訓練が行われます。

 

就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練

通所中期以降、希望する就職に必要な知識や能力を身につけるための実践的な職業訓練も実施されます。また、履歴書や応募書類の書き方の指導や添削、模擬面接などの就職活動に必要なサポートも行われます。

利用者の適性に応じた職場の開拓

通所後期のマッチング期には、ハローワークなど職業紹介機関と連携しながら、利用者の適性に合った求職活動や職場開拓が行われます。ハローワークでは、障害者を雇用する企業に対しても、試行雇用(トライアル雇用)事業や障害者委託訓練、職場適応訓練などさまざまな支援の相談を受け付けています。

 

就職後における職場への定着のために必要な相談や支援

就労移行支援事業所では、就職後も6か月間は面談を行って、職場に定着するために必要な相談や支援が行われます。

 

就労移行支援事業所には利用期限があり、原則として利用できるのは二年間までとなります。この期間内であれば、就職した企業を離職した場合には再度、就労移行支援事業所を利用できます。

 

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就労移行支援の給料や工賃などの基本賃金について

工賃とは

一般的に「工賃」というと、物を製作・加工した際の対価として支払ったり受け取ったりする手間賃のことです。福祉分野では、就労継続支援A型事業所や就労継続支援B型事業所で、作業を行った分に対して支払われる賃金のことをいいます。

就労移行支援事業所では原則的に工費の支払いはない

就労移行支援は一般企業で働くことを目指して、就労のためのサポートや訓練を受けることを目的としているので、賃金や工賃などは基本的に支払われません。

 

例外ケースもある

基本的に就労移行支援事業所では工賃は支払われませんが、事業所によっては、収入を得る経験をすることで仕事に対する達成感や充実感を経験したり、金銭管理を学ぶことを目的として工賃を払うところもあります。

就労移行支援制度と就労継続支援の違い

「障害者総合支援法」による就労系障害者福祉サービスには、就労以降支援と就労継続支援とがあります。工賃の支給に触れる前に、この2つの違いについて解説します。

 

就労継続支援とは

就労移行支援は、障害のある人が一般企業などへ就労するために必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行うサービスです。これに対して、就労継続支援のサービスは、障害や難病で企業で働くことが難しい人に向けたものとなっています。就労継続支援を行う事業所では、就労機会の提供と生産活動の機会の提供、また就労に必要な知識や能力の向上に必要な訓練などの支援を行います。

 

就労継続支援には、対象者やどのような支援内容かによって、就労継続支援A型事業と就労継続B型事業の2つのタイプがあります。

 

就労継続支援A型事業

就労継続支援A型の一番の特徴として挙げられるのは、事業所と利用者が雇用契約を結ぶことです。そのため「雇用型」といわれることもあります。利用者は、原則最低賃金以上の給料が支払われます。厚生労働省が公表した「平成30年度工賃(賃金)の実績について 」では、全国に就労継続支援A型の事業所は、3,554箇所あり平均工賃(賃金)は月額で76,887 円、時間額で846円でした。

 

対象者は、

 

①就労移行支援事業を利用したが、企業などの雇用に結びつかなかった人

②特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、雇用に結びつかなかった人

③企業を離職した者など就労経験がある人で、現在は雇用関係の状態にない人

 

とされています。

 

就労継続支援B型事業

就労継続支援B型は、事業所と利用者が雇用契約を結ばないので、「非雇用型」とも呼ばれます。利用者には、作業訓練などを通じて生産活動をおこなってもらうことで、生産したものに対して工賃が支払われます。訓練を積んで就労継続支援A型、就労移行支援事業所への通所を目指すこともできます。全国に就労継続支援B型の事業所は、11,750箇所あり平均工賃(賃金)は月額で16,118 円、時間額で214円でした。

 

就労継続支援B型は、事業所と利用者の間で雇用契約を結ばないため、最低賃金法に定められた最低賃金を支払う必要がありません。そのため、工賃は最低賃金を下回ることがほとんどです。

 

対象者は、

① 就労経験がある人で、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった人

②50歳に達している者、または障害基礎年金1級の受給者

③①および②のどちらにも該当しない人で、就労移行支援事業者などによるアセスメントにより、就労面に係る課題の把握が行われている利用希望者

となります。

 

就労移行支援事業と就労継続支援事業の違い

就労移行支援事業と就労継続支援事業のどちらも、障害者の就労を支援することが目的ですが、就労継続支援事業は利用者が事業所で働くことで工賃(賃金)を得るのに対して、就労移行支援事業は一般企業などへの就職を目指して、就職に必要な訓練を受ける場です。就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型では、対象者や利用できる期間などが違うため、その違いを表にまとめてみました。

 

就労移行支援 就労継続支援A型 就労継続支援B型
対象者 65歳未満で企業などへの一般就労を希望して、知識や能力の向上、実習、職場探しなどを通じて、適性に合った職場への就労が見込まれる障害者 ①就労移行支援事業を利用したが、企業などの雇用に結びつかなかった人

②特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、雇用に結びつかなかった人

③企業を離職した者など就労経験がある人で、現在は雇用関係の状態にない人

① 就労経験がある人で、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった人

②50歳に達している者、または障害基礎年金1級の受給者

③①および②のどちらにも該当しない人で、就労移行支援事業者などによるアセスメントにより、就労面に係る課題の把握が行われている利用希望者

 

利用期間

 

原則2年(市町村審査会の個別審査で、必要性が認められた場合には、最大1年間の更新可能)

 

制限なし

 

制限なし

 

雇用契約

 

なし

 

あり

 

なし

 

月額平均工賃(賃金)平成30年度

 

76,887 円

 

16,118 円

まとめ

厚生労働省の資料によると、就労系障害者福祉サービスで平成30年3月における就労移行支援の利用者は約3.3万人、就労継続支援A型の利用者は約6.9万人、就労継続支援B型が約24.0万となっています。

 

就労系障害者福祉サービスから、一般就労へ移行した人は毎年増えていて、平成29年では約1.5万人の障害者や難病を持つ人が一般企業へ就職しています。なかでも就労移行支援から一般企業へ就職する移行率は、26.4%と大きく上昇しています。

 

就労移行支援では、一般企業などへの就労を希望する障害者に対して、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練が行われます。訓練が目的のため、賃金や工賃の支給はありませんが、求職活動におけるさまざまな支援や就職後の職場定着に向けた相談や支援も受けられます。

 

一般企業への就職を目指す人は、まず各自治体、市区町村の福祉担当窓口に相談してみましょう。

→atGPの就労移行支援サービスを見てみる

 

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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