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障害者の就労定着支援とは?期間や支援内容について詳しく解説

更新日:2020年09月16日

平成30年から国は新たに「障害者総合支援法」を改正し、「就労定着支援事業」を開始しています。この就労定着支援(事業)とはどのような支援なのか、詳しく解説していきます。

就労定着支援とは

日本はこれまでも1960年の「身体障害者雇用促進法(のち障害者雇用促進法)」、1970年の「心身障害者対策基本法(のち障害者対策基本法)」、2016年の「障害者差別解消法」などの法律により、障害者の社会参加や就労という、当たり前の権利でありながらも公平性が保たれていない部分への積極的な施策を打ち出してきました。

 

それは「障害者権利条約」の批准に必要な整備であったり、来たるオリンピック・パラリンピックイヤーに向けてのアピールもあったとも言われています。

 

実際のところ、障害者の雇用状況は少子高齢化が進む中での労働人口の減少も手伝い、雇用者数も実雇用率もここ数年前年度を下回ったことはありません。

 

しかし、それで満足せず、次に障害者の離職率が高い、という問題に取り組もうとして新設されたのが就労定着支援という「障害者総合支援法」の訓練等給付の対象となるサービスです。せっかく障害者の雇用が増加しているのに、離職率が高ければ意味がありません。そこで障害者が一般就労(一般の事業所で働くこと)してからも、離職しないためのフォローを行なう支援を事業化することになりました。

 

障害者の離職率は日本全体の年間の平均離職率が15%前後であるのに対して、H29年の厚生労働省の統計を見ると、最初の3か月で30%前後の離職率があります。

 

これまでも就労定着支援は独立した事業ではないものの、就労支援の一環として地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターや就労移行支援事業所などが行なっていました。今回の事業化は前述の機関や事業所のみでは支援活動に限界があることから、定着支援事業所を新たに設定したものです。

 

就労定着支援事業開始以前の障害者就業・生活支援センターの就労定着支援活動の実績は非常に高く、就職1年後の定着率はH27年度で約76%となっていて、いかに定着支援が有効かがわかります。この数値を基にして厚生労働省では就労定着支援事業の就職1年後の定着率の目標値を80%と高く設定しています。実際にこれくらいの数値が達成されれば、障害の離職率の一般に比べてほとんど変わりがないといってもよいでしょう。

 

「障害者総合支援法」の第5条15項より引用すると、「就労定着支援」とは以下のように定義されています:

 

「就労定着支援」とは、就労に向けた支援として厚生労働省令で定めるものを受けて通常の事業所に新たに雇用された障害者につき、厚生労働省令で定める期間にわたり、当該事業所での就労の継続を図るために必要な当該事業所の事業主、障害福祉サービス事業を行う者、医療機関その他の者との連絡調整その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。

 

ここでいう”厚生労働省令で定めるもの”とは生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援の4つのサービスで、これらのサービスを利用した障害者が一般就労し、就労定着支援を行なう事業所(就労定着支援事業所)の支援を受けた場合に訓練等給付の対象となります。

就労定着支援の具体的な支援内容は?

就労定着支援の具体的な支援内容、条件等を確認してみましょう。

就労定着支援の目的

これまでも障害者総合支援法のサービスとして就労移行支援事業、就労継続支援事業などにおいて事業所から一般就労した障害者に関しては定着支援を行なってきており、公的機関として障害者就業・生活支援センターでも定着支援を行なっています。しかし近年、障害者の一般就労が増加していることから、それに伴い就労することで生じるさまざまな生活面の課題への対応をすることで定着支援を行うものです。

 

就労定着支援の支援内容

一般就労を続けるうえで生じる生活面の課題としては例えば、生活リズムが崩れたりすることで生じる遅刻や欠勤の増加、身だしなみの乱れ、薬の飲み忘れなどが挙げられます。このような生活面での課題は安定した就労に影響を与え、離職率を高めるリスクとなり得ます。また当然、職場での職務や雰囲気へ慣れない、コミュニケーションがうまくできないなども離職の大きな原因となり得ます。このような障害者が抱える課題に対する具体的な支援は以下のとおりです。

 

①障害者との相談を通じて課題を把握する

②課題に対し、本人及び家族、その障害者を雇用している企業と課題解決に必要な関係機関、障害者が利用していた生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援を行なう事業所や、例えば障害者職業・生活支援センターや医療機関、社会福祉協議会などとの連絡調整を行う

③課題解決に向けた支援を実施する。支援は障害者の自宅や企業等を訪問するなどして月1回は対面支援を行ない、また別に月1回はその障害者を雇用する企業を訪問する

 

 

就労定着支援はどこで受けられる?

就労定着支援の指定事業所になれる事業所について

障害者総合支援法上の就労定着支援事業を行なえるのは就労定着支援事業所として指定を受けた事業所となります。

前提として、就労定着支援の対象となるのは生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援のサービスを利用して一般就労した障害者です。就労定着支援事業所になれるのも同じく、これまでも何かの形で障害者の就労・定着支援に関わってきた事業所です。

 

事業所のすべてが就労定着支援の指定を受けられるわけではなく、過去3年間に平均1人以上の一般事業所に就職した利用者がいる、もしくは開所から3年たっていなくても過去3人以上の一般事業所に就職した利用者がいることが条件となっています。

 

現時点では、同事業はまだ開始して2年ですので、上記の指定を受けられる事業所すべてが指定を受けているわけではありません。自治体によって指定認可の作業の進み具合はまちまちで、なかなか増えない地域もあるようです。

 

現在、生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援のいずれかを利用されている場合は就労定着支援事業所の指定の有無についてはその事業所の職員に聞くか、市町村の障害福祉関係の窓口に聞いてみてください。

 

まだのところもこれから指定を受ける予定があるかもしれません。就労定着支援は障害者が利用していた事業所でなくても、他の指定事業所でも受けることができます。今利用している上記のサービス事業者が指定されていなくても問題はありません。他の指定事業所を紹介してもらいましょう。

 

支援を受ける側としては、今までお世話になっていて馴染みが深い事業所やスタッフさんに支援してもらえる方が安心できるでしょう。事業所の方も利用者を一般事業所に送る実績を作れば就労定着支援事業所に指定され、さらに充実した支援体制が整うため、これから少しずつ増えていくと思われます。

就労定着支援事業の利用期間は3年間

就労定着支援事業における事業所の支援期間は最大3年となっています。支援開始から1年ごとに支援を更新するかを判断します。あくまでも訓練等給付の対象となる指定事業所による就労定着支援の部分が3年間ということです。

 

生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援を行なう事業所から利用者が一般就労した場合、まず当初の6か月は利用していた事業所がそれぞれのサービスの範囲として定着支援を行ないます。それ以降も定着支援が必要であれば、そこから先は今回の主題である就労定着支援事業のサービスに申し込むことによって、就労定着支援事業所による支援が始まります。

 

その後、3年間の支援期間が終了した場合もそこで支援が打ち切られるわけではなく、障害者就業・生活支援センターなど障害者の就労支援を行なう公的支援機関などと連携を取りながら必要に応じた支援は継続されていきます。支援開始から3年以上たった場合、それぞれのケースによって就労定着支援の主体が指定事業所から障害者職業・生活支援センターに移行すると考えてよいでしょう。

 

一度は職場に定着し、支援を終了したとしても、再度支援を必要とする場合は、3年6か月から就労していた期間を除いた期間については給付対象の期間となります。

就労定着支援の申し込み方法について

就労定着支援事業の利用を希望する場合は、市町村の障害者福祉の窓口に申請します。

 

利用条件は他の障害者総合支援法の訓練等給付と同じです。就労定着支援事業を利用するには生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援の事業利用を経て、一般就労をしていることが前提となっています。この場合、すでに訓練等給付の対象となっていますので、新たに複雑な手続等をする必要はありません。

 

就労定着支援が気になる方はまずは、利用している生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援の事業所でスタッフに聞いてみるとよいでしょう。

まとめ

就労定着支援は障害者の一般就労が増加する中、課題となっていた離職率の高さを抑えるために以前から就労支援等のサービスの一環として行なわれていたものを、独立した給付対象の事業としたものです。

 

この就労定着支援を行うことができる事業所は生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援の事業所でこれらは元々、障害者の就労および定着支援に関わっていた実績があります。またこの事業は開始されてから3年しか経たない新しい事業なのでまだ多くはありませんが、これから多くの該当する事業所が就労定着支援事業所の指定を受けると考えられます。

 

就労支援はこれらの事業所から一般就労した障害者に対して仕事を続けていく上で妨げとなる職場での適応や、コミュニケーション、また生活面での課題などを本人、家族、会社、関係機関などとの話し合いや連絡調整を行ないながら3年を上限に行なわれるサービスです。

 

相談の主体は相談をしている本人です。相談をする中で支援する側が問題を解決できる部分もありますが、相談は自分の課題を明確化し、自分でそれについて整理し、解決してゆくプロセスでもあります。つまり、だれにも相談しないより、相談できる方がよい結果となるのは間違いありません。

 

就労定着支援事業は一般就労をするうえで是非とも利用しておきたいサービスです。他の障害者総合支援法のサービスと同様に収入に応じた1割負担で利用できますので是非検討してみてください。

 

 

atGPエージェント

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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