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発達障害のグレーゾーンとは?その特徴と向いている仕事について

更新日:2020年12月25日

近年になって、発達障害という概念が多くの方に浸透してきました。この発達障害は、主に精神科や心療内科で診断がおります。しかし、発達障害と同じような症状を呈していても発達障害の診断がおりないケースもあります。そのようなケースの中には、「発達障害のグレーゾーン」と呼ばれるものもあります。では、どのような状態を「発達障害のグレーゾーン」と呼ぶのでしょうか?ここでは発達障害のグレーゾーンについて詳しく解説していきます。

発達障害の「グレーゾーン」とは

発達障害のグレーゾーンについて知るには、まず発達障害について知る必要があります。
発達障害は生まれつき脳の発達の状態が通常の方と違っているため、通常の方には簡単な事でも発達障害を持つ方には不得手であることが多く、それにより生きづらさを感じている方も少なくありません。

 

発達障害には大きく分けて3つの種類があり、それぞれに症状の違いがあります。
また、複数の発達障害を併せ持っているケースもあります。
ここでは発達障害と、発達障害のグレーゾーンについて詳しく解説していきます。

・発達障害とはなにか
発達障害の中には、大きく分けて3つの種類があることは前述しました。
ここでは、発達障害の3つの種類について解説してきます。

 

1.自閉スペクトラム症

自閉スペクトラム症とは、現在の国際的診断基準の診断カテゴリーである広汎性発達障害(PDD)とほぼ同じで、自閉症やアスペルガー症候群、そのほかの広汎性発達障害が含まれています。
症状の強さによっていくつかの診断名が付けられますが、本質的には同じ障害であると考えられています。
典型的な症状としては、相互的な対人関係の障害、コミュニケーション障害、興味や行動の偏り(こだわり)が挙げられます。
一般的には一歳代から症状が現れ始め、他人の目をみることが少ない、指さしをしない、他の子どもに興味を持たないなどの状態が現れます。
対人関係に関連したこのような行動は、通常の子どもは急速に伸びていきますが、自閉スペクトラム症の子どもはこのような行動の伸びをはっきりと確認することはできません。
また保育園や幼稚園に入ると、一人遊びが多く集団行動が苦手など他人との独特な関わり方という行動で、保護者が子どもの発達障害に気付くこともあります。

 

自閉スペクトラム症をもつ方が思春期や青年期になると、自分でも他の方との違いに気づいたり、対人関係を上手く気付くことができないことに悩み、不安症状やうつ症状を呈することもあります。
さらに就職してから初めて仕事を臨機応変にこなすことができないことや対人関係に悩み、自ら発達障害を疑って病院を受診する方もいます。
子どものころに診断を受けて周囲の理解を受けながら成長することができた自閉症スペクトラム障害の方は、成長とともに症状が落ち着いたり、能力の偏りを上手く活用できる仕事に就いたりすることができる方もいます。

 

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2.注意欠如・多動症(ADHD)

発達年齢にそぐわない多動性や衝動性、不注意などの症状が単独または合わさって現れる発達障害で、大体7歳までに症状が現れるのがこの発達障害の特徴です。
学童期の子どもに限って言えば、全体の3%から7%の子どもがこの発達障害を持っていると言われ、女性より男性のほうが数倍多いという報告もあります。
男性の有病率は青年期までには低くなる傾向がありますが、女性の場合にはその有病率は年齢を重ねても変化がないと言われています。

 

この発達障害の症状としては、多動性や衝動性、あるいは不注意が単独または混合して現れ、そのタイプ別の症状の程度により多動/衝動性優勢型、不注意優勢型、混合型に分類されます。

 

小学生でこの障害を持っている子どもを例にとると、多動/衝動性の症状には、座っていても手足をもじもじと動かす、席に座っていることができない、多弁すぎる、順番を待つことができない、他人の会話やゲームに割り込むなどの症状があります。
不注意の症状については、学校の勉強でケアレスミスが多い、課題や遊びなどの活動に集中し続けることができない、話しかけられても聞いていないように見える、やるべきことを最後までやり遂げることができない、課題や作業の段取りを上手くとることができない、整理整頓ができない、宿題など集中力が必要なことを避ける、忘れ物やものを無くすことが多い、集中力がないなどのものがあります。

 

多動衝動は一般的に成長とともに軽くなるケースがほとんどですが、不注意や衝動性の症状は約半数が青年期まで、さらにその半数は成人期まで続くという報告もあります。
また、思春期以降になってうつ症状や不安症状を発症する人もいます。

 

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3.学習障害(限局性学習症)(LD)

学習障害(限局性学習症)(LD)とは、知能発達には問題が無くても読み書きや計算などのうち、特定の事柄を行うことが非常に困難であるという状態を言います。

 

この発達障害の有病率は、確認の方法により異なりますが全体の2%から10%と見積もられていて、読みの困難に関していえば男性より女性のほうが数倍多いという報告があります。
このように知的発達に全く問題はなくても、読み書きや計算などの特定の事柄を行うことが難しい状態にあるため、学業成績や日常生活に困難が生じます。

 

このような能力が求められ始める小学校2年生から4年生ごろに成績不振になり、そのことからこの発達障害が明らかになることがほとんどです。
その結果、子どもは学習に対する意欲や自信を失ってしまうこともあります。

「グレーゾーン」は正式な病名ではない

発達障害のグレーゾーンとは、発達障害の症状がいくつか見受けられていても診断基準の全てを満たしているわけではないため、発達障害であるとの確定診断を下すことができない状態のことを言います。

そのため、発達障害の「グレーゾーン」とは正式な病名ではありません。

あくまで「発達障害の傾向はあるが、発達障害であると確定診断を下すことができない状態」のことを言います。発達障害のグレーゾーンとは、医師から「発達障害の傾向はありますが、診断基準は満たしていません」といった形で伝えられることがほとんどです。

発達障害の「グレーゾーン」の症状とは

発達障害の「グレーゾーン」の方には、次のような症状があります。

 

私生活での症状

私生活での症状には、次のようなものがあります。

 

1.相手に不快感を与えることがある

他人と話をするときに、細かいところまで納得しないと理解することができないため、質問を重ね続け、相手に不快感を与えてしまうことがあります。

 

2.友人を作りにくい/友人と疎遠になりやすい

知り合いと連絡先などを交換しても、自分からアプローチを行うことが苦手であるため、友人関係が築けなかったり、友人関係を長続きさせたりすることが難しいことがあります。

 

3.雑談についていけない

「グレーゾーン」の人の中には、他人の話を聞きながら自分の意見を考えることが苦手な方も少なくありません。
そのため、雑談の途中で話を振られてもとっさに対応できないことがあります。

 

仕事での症状

仕事上の症状には、以下のようなものがあります。

 

1.仕事のイメージをうまくつかむことが難しい

指示されたことを想像して補うことが苦手であるため、指示された内容の点と点をうまく結びつけることができず、仕事のイメージをうまくつかめないことがあります。

 

2.指示を理解しづらい

「簡潔にまとめて」などと漠然とした指示をされた場合、何をどれくらい簡潔にまとめれば良いのか理解することが難しいグレーゾーンの方もいます。
何をどのようにどの程度簡潔にまとめればよいかといったところまで、具体的な指示をする必要があります。

 

3.上手く段取りを取ることができない

焦って最後の確認を怠ってしまい、結果としてケアレスミスが多くなってしまいます。
そして失敗してしまうと、パニックになってしまう方も少なくありません。

発達障害の「グレーゾーン」の症状がある場合の対処法はあるのか

発達障害の「グレーゾーン」の方には、どのような対処法をとればよいのでしょうか。
ここでは、「グレーゾーン」の方への3つの対処法について解説していきます。

 

傾向があると言われた発達障害の特性への工夫を参考にする

医師から「傾向がある」と指摘された発達障害の特性について調べ、仕事などを行う上で困りごとが出てこないように工夫を実践することをお勧めします。
例えば自閉症スペクトラム障害の傾向があるグレーゾーンの人の場合には、思ったことを実際に口に出す前に一度考えたり、質問して確認したりする習慣を身につける、相手が怒っていてその原因が分からない時には第三者に指摘してもらうように頼む、自分の希望通りに物事が進まない場合のための「変更プラン・替わりのプラン」をいくつか準備しておく、といったようなことが人間関係や仕事場でトラブルを起こさない、またはトラブルを起こしてしまっても大事に発展させないための工夫となります。
それ以外の発達障害の傾向があるグレーゾーンの人の場合でも、その発達障害の傾向に応じた対処法を行うことで、一般の方と同じ職場で困りごとを少なくして働くことが可能になります。

 

二次障害の症状がないかを確認する

発達障害を持つ方は、その障害の特性から「生きづらさ」を感じていることが多く、そのため二次障害としてうつ病などの精神病を二次障害として患うことも少なくありません。
このような二次障害は、グレーゾーンの方にも現れやすいという特徴があります。
うつ状態が続いたり、睡眠が上手くとれないなどの症状がある場合には、早めに精神科や心療内科を受診し、二次障害が深刻にならないうちに治療を受けるようにしましょう。

 

公的機関の支援を利用する

公的機関の中には、発達障害の診断が確定していなくても利用できるものがあります。
例を挙げると、発達障害者支援センターでは発達障害に関する相談全般に対応してくれます。

この発達障害者支援センター以外にも、障害者就業・生活支援センターで仕事面と生活面の両方の相談に乗ってもらうことができます。
また、精神保健福祉センターでは、医師や精神保健福祉士、臨床心理士などの専門家が発達障害やグレーゾーンに悩む方の相談を受け付けています。
このような公的機関の支援を利用することで、自分の持つグレーゾーンの特徴を正確に把握し、適切な対処法を身につけるようにしましょう。
 

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発達障害の症状がある方にに向いている仕事とは

発達障害の症状があるグレーゾーンの方には、向いている仕事と向いていない仕事があります。
ここでは、グレーゾーンの方に向いている仕事と向いていない仕事について詳しく解説していきます。

 

グレーゾーンの方に向いている仕事

ここでは、グレーゾーンの方に向いている仕事について解説していきます。

 

自閉スペクトラム症の傾向を持つグレーゾーンの方に向いている仕事

自閉スペクトラム症のグレーゾーンの方は、興味がある分野に関しては粘り強くとことんまで追求するという傾向があります。
そのため、デザイナーやエンジニア、エンジニアアナリストや研究者、校正・校閲などの仕事が向いています。

 

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注意欠如・多動症(ADHD)の傾向を持つグレーゾーンの方に向いている仕事

注意欠如・多動症(ADHD)の傾向を持つ方は、アイデアが豊富で好奇心があるという特徴があります。
また行動力があるという点も、この発達障害が仕事上でプラスに働きます。
そのため、デザイナー、広告やゲームのプランナーといった業種の仕事が向いているといえます。

 

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学習障害(限局性学習症)(LD)の傾向があるグレーゾーンの方に向いている職業

学習障害(限局性学習症)(LD)の傾向があるクレーゾーンの方は、能力に偏りがあるためどの職業が向いていると一概にいうことはできません。
学習障害の傾向がある方が向いている仕事を探す場合には、まず自分が読み書きや計算などの作業のうちどのような事が苦手であるかをしっかりと把握することが大切です。
そのうえでその苦手とする部分を、アプリやツールを用いてカバーしながら作業することができる仕事が向いていると言えるでしょう。

 

グレーゾーンの方に向いていない仕事

ここでは、グレーゾーンの人に向いていない仕事について解説していきます。

 

自閉スペクトラム症の傾向を持つグレーゾーンの方に向いていない仕事

自閉スペクトラム症の傾向があるグレーゾーンの人は、自分が興味がない分野に対しては集中力を保ち続けることが難しく、他人と円滑なコミュニケーションをとることも苦手なことが多いため、高いコミュニケーション能力やマルチタスク能力が要求される一般事務やテレフォンオペレーターのような仕事には向いていません。
同じような理由で、接客業や販売業にも向いていないといえます。

 

注意欠如・多動症(ADHD)の傾向を持つグレーゾーンの方に向いていない仕事

注意欠如・多動症(ADHD)の傾向を持つグレーゾーンの方の場合、仕事をするうえで一番の障害となるのは、「不注意」という特徴です。
そのため、ちょっとしたミスが人の命に関わる医師やパイロットなどの職業には向いていないといえます。
また、この発達障害の傾向として不用意な発言をしてしまうというものがあるため、営業や接客業なども向いていない仕事であるといえます。
さらに自閉スペクトラム症と同様にマルチタスクが苦手という特徴もあるため、一般事務の仕事も向いていません。

 

3.学習障害(限局性学習症)(LD)の傾向があるグレーゾーンの方に向いていない職業

学習障害(限局性学習症)(LD)の傾向があるグレーゾーンの方は人によって苦手とする能力やその程度が異なるため、一概にどの仕事が向いていないと言い切ることはできません。
しかし、学習障害(限局性学習症)(LD)の傾向を持つ人には、物事の全体像を読み取る力に長けているという特徴があるため、細かい情報を読み取る必要がある仕事を苦手とする方が多い傾向があります。

発達障害の症状があるのに診断がおりない場合にはどのような理由がある?

発達障害の症状はあるのに、発達障害の確定診断がおりない場合もあります。
そのような場合は、体調が良い時に受診したため発達障害の診断基準をすべて満たさなかったというケースが考えられます。

発達障害のグレーゾーンの方は症状に幅があるため、受診した時の体調によっては、症状の現れ方が軽かったり、または一部の症状が現れなかったりすると診断がおりません。
また、発達障害の診断については、医師の問診の影響が大きいため、医師により判断が分かれることもあります。

このような理由から、発達障害の診断がおりずに「グレーゾーン」となってしまう人がいることもあります。

まとめ

ここまで発達障害のグレーゾーンとその症状、対処法と向いている仕事・向いていない仕事について解説してきました。

 

発達障害のグレーゾーンは病名ではなくても、発達障害と同じような対処法が必要な事や、グレーゾーンの傾向によって向いている仕事と向いていない仕事があることがお分かり頂けたと思います。

 

発達障害のグレーゾーンの場合でも、発達障害と同様に「生きづらさ」を感じることがあるため、きちんとした対処法を知り、自分のグレーゾーンの傾向に向いている仕事を選ぶようにしましょう。

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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