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社会不安障害に向いてる仕事や働き方とは?仕事の選び方や長く続けるコツ

更新日:2021年09月29日

たくさんの人の前に出たり話したりする場合には誰でも緊張するものです。しかし、緊張が非常に強く、過度な不安や恐怖を感じて手足の震えが止まらなくなったり、動悸が激しくなって呼吸が苦しくなったり、吐き気や下痢など体調を崩してしまう場合には、社会不安障害という病気かもしれません。社会不安障害とはどのような病気で、どんな症状がでるのかを理解することが大切です。今回の記事では、社会不安障害を含む不安障害の種類や症状、社会不安障害の治療法や対処法、社会不安障害に人に向いている仕事などについて解説します。

社会不安障害とは

社会不安障害(SAD:Social Anxiety Disorder)は、人前で何かするときやある特定の状況で、極度に緊張感が高まって、不安や緊張を恐怖に感じてしまい日常生活に支障をきたす病気のことで、社交不安症や社交不安障害とも呼びます。

 

大勢の人の前で話をしたり発表したりする場合には、誰でも緊張するものです。もともと緊張しやすい性格の人でも、大抵は経験を重ねることで自然に振舞えるようになります。

 

しかし、社会不安障害の場合では、過度の不安や緊張から、手足が震えて体が硬直したり、冷や汗が大量に出たり、激しい動悸や吐き気、下痢、息苦しさなど体調不良や苦痛が伴います。次第にそのような場面を避けるようになり会社や学校に行けなくなってしまいます。

 

社会不安障害の症状

社会不安障害には、以下のようなさまざまな症状があります。

赤面恐怖症・・・ 人前に出ると緊張感が高まって顔が赤くなる。

発汗恐怖症・・・ 緊張で大量に汗をかいてしまい、ハンカチなどを持たないと落ち着かない。

対人恐怖症・・・ 周囲の視線が気になってしまい、緊張で恐怖や震え、めまいなどを感じる。自分に対する他人の評価に強い不安を感じる。

書痙(しょけい)・・・人前で文字を書こうとすると、緊張と不安で手が震える。

場面恐怖症・・・ 緊張して声が震える、人前でうまく話ができない。など

不安障害の種類

社会不安障害は、不安障害の分類のひとつです。不安障害には、次のようなさまざまな種類があります。

パニック障害

パニック障害は、理由がないのに突然激しい動悸やめまい、呼吸困難、発汗、手足の震えなどに襲われるパニック発作が繰り返し起こる疾患です。「また発作が起こるのではないか」と過度な不安な状態(予期不安)になり、一人で外出することが困難となり会社や学校に行けなくなります。

 

分離不安症

分離不安障害とは、家族など(多くの場合は母親)、愛着のある人物や場所から離れることに対して、過剰な不安や恐怖を感じてしまう疾患のことです。従来は、幼児期や小児期に発症すると考えられていましたが、最近の研究では成人の分離不安症も存在することが認められています。

 

選択性緘黙(せんたくせいかんもく)

選択性緘黙とは、言語能力は正常であるのに、特定の場面(学校など)や人に対して、話すことが困難になるという症状の疾患で、場面緘黙症とも言います。原因は、子ども自身の要因と家庭環境の要因があると考えられています。

 

その他

その他の種類として、

・限局性恐怖症(特定の状況や対象物に対して、急激な恐怖と不安が襲ってきてしまう)

・広場恐怖症

・物質・医薬品誘発性不安症

・医学的疾患による不安症

などがあります。

社会不安障害の原因

社会不安障害の原因については、よくわかっていません

 

しかし、最近では脳内の神経伝達物質であるセロトニン神経系とドーパミン神経系の機能障害によって発症するのではないかと考えられています。

 

また、人前で恥ずかしい思いをした経験が、発症のきっかけになったという報告もありますが、遺伝と考えられる症例はごくわずかです。

 

社会不安障害の人に向いている職業

社会不安障害で、現在の業務を遂行することが困難な場合には、社会不安障害の症状がある人に向いている可能性のある仕事がある部署に異動を求めたり、転職を決断するといった選択肢もあります。社会不安障害のある人が、比較的不安を抱かないような仕事は次のようなものです。

 

【業務にムラのない定型的な仕事】

繁閑の差が大きな業務では、急に忙しくなることで不安や緊張が増すことがあります。また、忙しいと食事や睡眠時間も不規則になりがちです。業務にムラのない定型的な仕事なら、不安が強くなるのを避けることができます。

例えば以下のような職種があります。

・事務職

・工場勤務

 

【マイペースにできる仕事】

心やカラダのバランスが崩れると、社会不安障害による不安や恐怖が強くなることがあります。心やカラダのバランスを保つには、周りの視線や評価を気にせずにマイペースで仕事をすることも大切です。

例えば以下のような職種があります。

・研究職

・清掃員

 

【在宅勤務が可能な仕事】

社会不安障害は、人前に出たり人前で話すことで緊張して不安や恐怖を感じます。そのため在宅勤務が可能な仕事を選ぶという方法も有効です。

例えば以下のような職種があります。

・Webデザイナー

・プログラマー/Webエンジニア

・Webライター

・動画編集

・一般事務アシスタント

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社会不安障害が仕事に与える影響

社会不安障害を抱える人は、仕事をする上で次にあげるような場面で症状が出ることで、困ったり、仕事に大きな影響を与えることがあります。

 

人前で話すことがこわい

社会不安障害の人が一番症状を発症しやすい場面が、人前で話すケースです。

 

・会議やミーティングで発言を求められる

・顧客に対してプレゼンテーションを行わなければならない

 

等の場面で緊張からうまく話せないのではないかと、不安に思うことから、人前で話すことに対して恐怖を感じる人もいます。

 

 

人の視線が気になり集中できない

社会不安障害の症状の一つに、対人恐怖症があります。

 

・周囲の視線が気になる

・自分の行動を観察されているようで落ち着かない

・自分に対する他人の評価に強い不安を感じる

 

症状が重く妄想的になると、統合失調症など別の病気の可能性も考えられます。

 

 

電話でうまく話せない

他の人に聞かれていると思うと、緊張してしまってオフィスで電話をとれない、電話をとってもうまく言葉が出ない場合があります。

 

会議・宴会など人が集まる場所に参加できない

人前で話すことに対して不安を感じることから、

 

・発言やスピーチを求められる

・同僚との会話や雑談が求められる

 

会議や宴会などの人が集まる場所自体に恐怖を感じるケースもあります。

 

 

電車・バスなどに乗れない

社会不安障害と併せて、パニック障害や広場恐怖症の症状がある場合には、不安や恐怖で電車やバスに乗ることができず、会社に通勤することが困難になるケースもあります。

 

社会不安障害の治療法

社会不安障害で日常生活や社会生活に支障がでる場合には、心療内科や精神科を受診することをおすすめします。社会安障害の治療には、薬物療法と精神(心理)療法とがあります。

 

薬物療法

薬物療法は、投薬によって不安症状と深い関わりがある脳内神経伝達物質の不具合を調整します。これにより、不安や焦燥感の軽減、不眠、気分の落ち込みなどを軽減することが可能です。一般的には、脳内神経伝達物質のセロトニンを調整する「SSRI」、セロトニンとノルアドレナリンの両方を調整する「SNRI」、「抗不安薬」などが処方されます。

 

精神(心理)療法

精神(心理)療法では、認知行動療法や行動療法などの手法により、不安や恐怖を増幅させる心理的問題を対処します。

認知行動療法は、認知に働きかけて気持ちを楽にする精神(心理)療法の一種です。不安やストレスを感じると、私たちは悲観的に考えてしまい問題を解決できない心の状態に追い込んでしまいます。認知行動療法は、そうした考え方のバランスを調整して不安やストレスに対応できる心の状態をつくっていきます。

 

社会不安障害の場合には、「これが苦手、うまくできなかったらどうしよう」といった考え方が、不安や恐怖に関連していると考えて、これらの原因となっている考え方を、気分が楽になるような考え方に変えられるように練習します。こうした練習が効果を上げるためには、受診時はもちろん、ホームワークを用いて日常生活のなかで行うことが大切です。

 

曝露療法は、不安や恐怖を克服するために、不安や恐怖を物や状況に直面させて徐々に慣れさせる療法です。直面する方法は、イメージを用いて行うものと、現実場面を用いて行うものの大きくふたつにわけられます。それらの刺激に向き合うことで、徐々に刺激に慣れていき、不安や恐怖などの症状を示さなくなります。

社会不安障害の対処法

社会不安障害は、薬物療法や精神(心理)療法だけでなく、日常生活のなかでも改善や予防する方法があります。

 

食生活や生活習慣を改善する

食事や睡眠などの生活習慣が不規則なことで、心やカラダのバランスが崩れることがあります。

 

・栄養バランスの良い食事

・十分な睡眠

・適度な運動

 

等で身体を健康に保つことができ、心も安定します。

 

自分がリラックスできる方法を複数もつ

日本では、緊張した時には「手のひらに人という字を3回書いて、それを飲む」という迷信が古くから伝わっていますが、緊張によって不安になった時には、自分なりのリラックス方法をいくつか持っておくとよいでしょう。

 

一般的に緊張を和らげる方法として知られるものをいくつか挙げてみましょう。

・呼吸法で心を落ち着かせる

・ストレッチで筋肉を緩める

 

等は、非常に有効です。不安や恐怖を感じると無意識のうちに呼吸が浅くなり、息苦しく感じることがあります。呼吸は、自律神経に影響をするので、意識的にゆっくりと息を吸ったり吐いたりすることで、心を落ち着かせることができます。

 

不安や恐怖を感じた時には、呼吸同様に無意識のうちに体の筋肉が緊張しているものです。ストレッチは心やカラダの緊張を緩めるのに効果的です。

 

同僚や周囲の人に症状について打ち明ける

社会不安障害であることを、知られないようにと隠すことで、かえって周囲の人の視線や会話が気になって緊張や不安が強くなります。社会不安障害の症状による辛さは本人でないとわからないものです。

 

上司や同僚など、身近な人に症状を伝えることで仕事の環境や内容について配慮や支援をしてもらえる可能性があります。

 

社内の人に知られることに抵抗がある場合は、産業医や産業カウンセラーなどの専門家に相談してみるという方法もあります。

 

通勤ストレスを減らす

パニック障害や広場恐怖症の症状がなくとも、満員電車などでの通勤はストレスとなり、心とカラダが疲れる原因となります。

 

新型コロナウイルス感染症の流行により、在宅ワークを進める企業が増えています。通勤でストレスを感じるようなら在宅で仕事ができないか上司に相談してみましょう。

 

 

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業務量や職場環境を調整する

社会不安障害の直接の原因ではありませんが、ストレスが不安や緊張を強くすることがあります。

 

社会不安障害の症状で業務が困難な時には、業務量や職場環境を調整してもらうように会社に相談するとよいでしょう。

社会不安障害のある人が利用できる制度・機関は?

社会不安障害とうまくつきあいながら仕事をするには、一人で悩まずに周囲の人や専門機関の人に相談して支援を求めることも大切です。

 

仕事を探す際に相談できる制度・機関

重度の不安障害により精神障害者と認定された場合には、障害者就業・生活支援センターや就労移行支援事業所などを利用して相談するとよいでしょう。

 

障害者就業・生活支援センターは、障害者の暮らしや仕事についての総合的な支援を行っていて、公益法人(社団または財団)や社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO)などが運営しています。就職に関する相談や職場では話しにくいような仕事上の悩み、健康上の問題などについてアドバイスをしてくれます。

 

就労移行支援事業所は、障害者の一般企業への就職をサポートする通所型の福祉サービスです。障害のある人が、求職から就職までの支援を受けることができ、職業訓練を受けたり、面接や履歴書への対策などの就職活動のサポートを受けることができます。

 

経済的な支援が受けられる制度

自立支援医療制度は、心身の障害を治療するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。精神保健福祉法第5条に規定された統合失調症などの精神疾患の人で、継続的に通院が必要な人は精神通院医療制度を受けることができる可能性があります。

 

また、疾患や怪我で会社を休んだ際には、休職中の生活を保障するための手当金である傷病手当金が支給されます。申請する場合は、勤務先の人事担当者に相談しましょう。

 

まとめ

社会不安障害は不安障害の分類のひとつですが、人前に出たり話をしたりすると緊張するという症状から、周囲の人からは単なるあがり症と思われるケースがあり、理解されにくい精神の病気です。

 

社会不安障害とうまく付き合いながら仕事を続けるには、まず自分自身が社会不安障害についてしっかりと理解することが大切です。そのうえで、社会不安障害が疑われる場合には、心療内科や精神科を受診して専門医の診断を受けましょう。

 

社会不安障害は、適切な治療を受けたり生活習慣を見直すことで、症状を改善して仕事を続けることができます。医療機関だけでなく障害者就業・生活支援センターなどの支援機関や自立支援医療制度などの経済的な支援もうまく利用するようにしましょう。

 

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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