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全般性不安障害ってどんな障害?正しく知って最適な働き方を見つけよう

更新日:2021年11月09日

全般性不安障害とは、GAD(Generalized Anxiety Disorderの略)とも呼ばれ、不安を原因として起こる障害のことを言います。うつ病や統合失調症などの他の精神疾患とは異なり、全般性不安障害には特徴的な症状がありません。あまり耳にしたことがない病名かもしれませんが、アメリカでは障害にこの病気にかかる人は約20人に一人いるという調査結果もあります。全般性不安障害とはどのような病気で、この病気を抱えながら働き続けるためにはどのような注意が必要なのでしょうか。ここでは、全般性不安障害を抱えながら働き続けるためにはどのような方法をとればよいかを考えていきます。

全般性不安障害とは

全般性不安障害とは、日々の生活の中で漠然とした不安や心配などに慢性的に囚われ続ける病気のことを言います。

 

慢性的な不安や心配に囚われてしまうことで、日常生活をスムーズに送ることが困難になってしまう障害です。

 

健康な人でも仕事や生活の面で心配や不安を持ち続けることはありますが、これは何らかのはっきりした物事や理由に対して不安や心配が生じ、一定の期間を過ぎれば不安の感情も消失するとされています。

 

しかし、全般性不安障害のある人はそれ以外の点でも漠然とした理由や些細な理由から不安や心配に苛まれ、このような不安や心配が消失することがなくコントロールすることもできないため、これによりだんだんと身体症状や精神症状が現れるようになり、さらに不安や心配が深くなっていくという悪循環に陥ってしまいます。

 

全般性不安障害のある人の不安や心配は、持続するものであり、かつ憂慮すべきことに釣り合わないほど過剰であり、本人がコントロールすることも不可能です。絶えず心配し、不安に苛まれ、気分が落ち着くことがなく些細なことにも敏感に反応してさらに不安や心配が増し、深まっていきます。

 

全般性不安障害のある人はこのように絶えず不安や心配を抱いているために、周囲の人からは「心配しすぎ」と見られたり、「変わり者」と見られたりしてしまうこともあります。

 

不安や心配が継続し、コントロールできない状態になってしまうと物事に集中できなくなってしまうため、日常生活に支障をきたすようになり、やがては不眠などの身体および精神症状を呈するようになってしまいます。

 

全般性不安障害は不安を感じる範囲が非常に広く、日常に起こるすべての物事に不安や心配を感じるようになり、家庭、会社、学校、人間関係、天災などありとあらゆるものが不安と心配の原因となり、時には海外の戦争などにも不安や心配を感じることもあります。

 

全般性不安障害の主な症状

全般性不安障害には不安や心配を抱えるという症状以外に、心や身体に症状が出るケースがあります。

 

一般的に全般性不安障害と診断されるのは、不安や心配を持ち続けコントロールできない状態が6か月以上続いた場合です。

 

また、強すぎる不安や心配をコントロールすることができなくなってしまい、心身症状として現れることもあるます。

 

心身症状には、次のようなものがあります。

 

【身体症状】

・めまいや頭が揺れる感じ

・頭痛や頭重感、頭の圧迫感、緊張感、しびれ

・便秘または下痢、頻尿

・全身に脈拍を感じる

・もうろう感、そわそわ感

・自分の体が自分のものではないように感じる

・手足の冷えや熱感、または身体の悪寒や熱感

 

【精神症状】

・些細な事柄に不安感を感じる

・記憶力の減退

・注意散漫

・怒りっぽく常にいらいらしている

・些細なことが気になる

・悲観的になる

・人間関係が煩わしくなる

・寝つきが悪くなったり、寝ている途中で目が覚めたりする

 

全般性不安障害の原因

この全般性不安障害の原因は、まだはっきりとはわかっていません。神経質な性格や遺伝的要因、現在直面しているストレス状態や自律神経の障害などが発症の一因になっているという考えもあります。

 

ストレス状態の主なものとしては、離職、別居、離婚、慢性疾患などがあります。そのため家庭や仕事上の問題や、健康上のストレスにより発症するのではないかと考えられています。

 

全般性不安障害を発症する原因についてはまだよくわかっていませんが、生物学的な要因としてγーアミノ酸(GABA)、セロトニンなどの脳内の神経伝達物質の関与や遺伝的要因があります。

 

心理的要因としては、認知行動学による「誤って不正確に認知された危険に関する反応」、精神分析学による「解決されない無意識の葛藤に由来する不安」などが原因となっているという仮説があります。

 

全般性不安障害の治療法

全般性不安障害の治療法には、薬物療法精神療法があります。

 

薬物療法

薬物療法で使用するのは、近年ではSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤:デプロメール、ルボックス、パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロ)を使用します。

これらの薬物は副作用も少なく、服薬開始時の吐き気・胸やけ、下痢などの胃腸症状、眠気が主なものになります。そのためほとんどの人が副作用を感じることなく服用でき、長期間の服用も安心して行うことができます。

SSRIの効果が出始めるのは、服薬開始から早くて2週間、通常の場合は4週間かかるため、根気強くしっかりと服薬を続ける必要があります。

 

ベンゾジアゼピン系の抗不安薬(ソラナックス、デパス、ワイパックス、レキソタンなど)は、全般性不安障害の症状を緩和する高い効果があり、かつ即効性もあるため、SSRIの効果が出るまでに一時的に使用することがあります。

ベンゾジアゼピン系の抗不安薬の使用を一時的なものにとどめるのかという理由は、鎮静作用や筋弛緩作用などの有害作用に加えて、依存性がありアルコールなどの相互作用もあるためです。

 

5-HT1A受容体部分作動薬(セディールなど)も、全般性不安障害に対する効果が確認されており、またベンゾジアゼピン系の抗不安薬のような問題がほとんど見られないことから、全般性不安障害の治療に用いられます。

5-HT1A受容体部分作動薬もまた、効果が現れるまで3週間から6週間程度の時間を要するため、こちらも効果が現れるまで辛抱強く服薬する必要があります。

SSRIや5-HT1A受容体部分作動薬の服用を始めて効果が現れ、全般性不安障害の症状がなくなっても、再発予防のためにさらに6か月から1年程度は服薬を続ける必要があります。

 

精神療法

全般性不安障害の精神療法の基本となるのは、支持的精神療法です。

支持的精神療法とは、不安や心配によって一時的に機能不全を起こしている全般性不安障害のある人の心の動きを医師などの治療者がサポートする治療法のことを言います。

 

受容的かつ共感的態度で話を聞き、全般性不安障害のある人が感情や言葉で自分の内面の不安や心配などを表現することを促すことで、心の働きを全般性不安障害に罹ってしまった前の状態に回復させ、現実の状況にしっかりと対応できるようにすることを目的としています。支持的精神療法は、治療の開始時期が非常に重要になります。

 

支持的精神療法は長期的な効果については疑問があるとされています。支持的精神療法を行う場合には、全般性不安障害のある人の自立心を損なわないように注意し、過度の依存心を抱かせないように注意をしておく必要もあります。

 

支持的精神療法以外の精神療法として、認知行動療法が全般性不安障害の精神療法には最も向いているとされています。

 

認知行動療法とは、環境刺激であるストレスとその反応である感情と認知(思考)、身体(自律神経)、行動の変化との相互作用を検討し、精神障害やストレス反応において生じる悪循環を断つことにより、全般性不安障害の症状の改善や問題の解決を行おうとする精神療法です。

 

人間の反応の中でも、不安や心配などの感情や頭痛やめまいなどの身体の反応は、症状が出てしまっても自分でコントロールすることはできません。認知行動療法は、自分でこれらの症状を意識的にコントロール可能な認知と行動に働きかけて修正することで、全般性不安障害のある人の精神症状と身体症状の悪循環を断つことにより精神と身体の症状を相互作用的に改善しようとするものです。

 

全般性不安障害のある人は常に不安や心配を抱えているため、その誤った不適当な不安や心配を見つけ、現実的かつ客観的に否定して適切な考えに置き換える「認知再構成」を治療の中心として行います。

 

それ以外の精神療法には、行動療法という治療法もあります。

行動療法は、不安や緊張により過呼吸が起こった場合の症状の悪化を防ぐために呼吸を制御する「呼吸訓練」や、不安や心配な心理状態を中和するために行う「リラクゼーション」、脳波や心電図などの情報の変化を見ながら、全般性不安障害のある人の心身がそのような状況になれば落ち着いたり緊張したりするかを見極めることにより、自分の心身をリラックスさせる方法を身に着ける「バイオフィードバック法」などを組み合わせて行います。

 

全般性不安障害とパニック障害の違い

全般性不安障害のある人は、不安や心配からパニック発作によく似た身体および精神症状を発症してしまうことがあるため、間違って自己診断してしまう可能性があります。

 

全般性不安障害であっても、不安や心配から出現する身体および精神症状はパニック障害と似ていますが、パニック障害が不安や心配、恐怖感が数分間でピークに達するのに対して、全般性不安障害は不安や心配が長時間持続し、次第に消えていくという違いがあります。

 

この2つの病気から出現する症状は非常に似ており、またこの2つを同時に患っている可能性もあるため、自己診断することなく必ず心療内科や精神科などの専門医を受診するようにしましょう。

 

全般性不安障害のある人が働く上での心配事

全般性不安障害のある人が働く上で、いくつか心配になることがあります。

ここでは、その心配事について詳しく解説していきます。

 

採用面接の際の不安、緊張

採用面接を行う際に間違った対応をしてはいけない、面接官に悪い印象を与えてはいけないなどの心配や不安に襲われて身体症状が現れたり、上手にしゃべることができなくなったりすることがあります。

 

電車をはじめとした公共交通機関の利用ができない

電車をはじめとした公共交通機関の中で、閉塞感や他人の目を非常に気にするあまり身体症状が出ることもあります。

 

人前で話すことへの恐怖

全般性不安障害の症状の一つに、「スピーチ恐怖」というものがあります。

この症状はすべての全般性不安障害のある人に現れるわけではありませんが、スピーチ恐怖の症状がある人の場合、会議での発言や来客の対応などを行う際に極度に緊張してしまい、うまくしゃべることができなかったり、声が震えてしまったりすることもあります。

 

電話対応への恐怖

職場で同僚や上司など周囲の人がいるシーンで電話対応を行うことに対して非常に大きな恐怖心を抱いたり、電話の相手に失礼がないようにと必要以上に気を使いすぎるために緊張しすぎて声がでなくなってしまったり、声が震えてしまったりすることがあります。

 

不安から仕事に行けなくなる

会社で業務をこなして行くうえで、極度の不安感などから緊張してしまい失敗をしてしまうことも考えられます。

このようにして失敗を犯してしまった経験があると、「また失敗をしてしまったらどうしよう」という強い不安感に苛まれてしまい、会社に行くことができなくなってしまうため、欠勤を重ねてしまったりする可能性もあります。

 

 

全般性不安障害のある人に向いている仕事

全般性不安障害の症状を持ち、治療を続けながら仕事を行う場合には、どのような仕事が向いているのでしょうか。

ここでは、全般性不安障害のある人に向いている仕事について解説していきます。

 

業務にムラのない安定的な仕事

全般性不安障害のある人の中には、環境が変化することによって不安や心配が増し、体調を崩してしまう人もいます。

 

そのような人には、繁忙期などの業務の量や内容の変化が少ない安定的な仕事が向いています。

 

マイペースにできる仕事

周囲の人と足並みをそろえる必要がなく、一人でマイペースに行うことができる仕事が全般性不安障害のある人には向いています。

 

そのような仕事の中には、研究職や開発職などがあります。

 

在宅勤務が可能な仕事

在宅での勤務が可能な仕事も、全般性不安障害に人には向いています。

在宅勤務が可能な仕事にはさまざまなものがありますが、ある程度のスキルがあり、フリーランスとして在宅勤務を行う全般性不安障害のある人も少なくありません。

 

 

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全般性不安障害のある人が働く上でのコツ

全般性不安障害のある人で、社会に出て働きたいと考えている人は少なくないでしょう。全般性不安障害がありながら普通に会社などで働くためには、いくつかのコツを知っておくことで働きやすさが非常に変わってきます。

 

医師や支援者に協力を仰ぐ

勤め先の仕事内容や仕事量、人間関係などにより不安や心配が増すようなことがあれば、まずは心療内科や精神科の医師に相談することをお勧めします。相性のよい医師を探しておき、かかりつけ医としておくことでより相談しやすくなります。

 

また、障害者専用転職サイトを利用した場合には、それぞれの求職者にエージェントなどが付き就職後のサポートも行ってくれるので相談するとよいでしょう。それ以外にも、公共の機関で全般性不安障害のある人の相談に応じてくれるものもあります。

 

日ごろから相談できる人を確保しておくことが重要です。

 

不安を分析しない

全般性不安障害のある人は、自分の不安や心配の原因を分析してはっきりさせたいと考えている人も多くいます。不安や心配の根本的な原因を見つけようと分析してもはっきりとした原因が見つからず、さらに落ち込んでしまったり精神的に疲れてしまいます。

 

全般性不安障害においては、不安や心配は克服するのではなく受け入れるように努力することが重要です。うまく不安や心配を受け入れて、これらの症状と上手に付き合っていく方法を見つけるようにしましょう。

 

生活リズムを整える

生活リズムを整えることは、全般性不安障害の症状を安定させるためにとても重要なことです。三食をバランスよく食べ、決まった時間に就寝と起床を行うように心がけましょう。特に十分な睡眠は、症状の安定に非常に役に立ちます。

 

生活リズムを整えることで、ストレスに強い心と体を作ることが可能です。

 

リラックス法を身につける

全般性不安障害により心身に不調を感じることは、しばしばあると思います。不調が現れそうになった時点でリラックスする方法を身につけておくと、大きな不調に襲われづらくなります。

 

リラックスするための方法には、息を吐く時間を長くする深呼吸を行う、10分程度ストレッチを行う、湯船にゆっくりと浸かる、瞑想を行うなどの方法があります。

 

自分に合った方法を見つけて、体調が悪くなり始めた時点でリラックスするための方法を活用し、体調の悪化を防ぐようにしましょう。

 

混雑を避けた通勤経路や時間帯を考える

全般性不安障害のある人にとって、ラッシュアワーの通勤は非常に大きなストレスとなり、体調が悪くなる原因になることがあります。出勤の時間を早くしたり遅くしたりして、ラッシュアワーを避ける必要が出てきます。

 

通勤時間を自由に設定するためには、フレックス制度を導入している会社を選ぶとよいでしょう。

 

フレックス制度を導入していない会社であっても、上司に相談することにより勤務時間をずらすことが可能な場合があります。このようなケースもあるので、一度上司に相談してみることをお勧めします。

 

すぐに治るはずだと焦らない

全般性不安障害のある人が不安や心配をなくすためには、比較的長い期間治療を行う必要があります。定期的な通院を必ず行い、根気よく自分の病気と向き合うようにしましょう。

 

 

全般性不安障害のある人が職業生活に困ったときの相談先

全般性不安障害のある人が職業生活に困った時には、相談できる公的な機関があります。いくつか確認していきましょう。

 

主治医、専門医

全般性不安障害のある人は、心療内科や精神科に通院している場合が一般的でしょう。全般性不安障害のある人が職業生活で困ったときは、かかりつけの医師に相談することをお勧めです。

 

かかりつけ医は、全般性不安障害のある方の症状を本人以上に把握していることがほとんどなので、適切なアドバイスを受けることができるでしょう。

 

ハローワーク

ハローワークは健康な人が仕事を探しに行くところと考えている人も多いと思いますが、障害者の就労に関する支援を行ってくれる「専門援助部門」という窓口もあります。

 

この専門援助部門では、障害や難病に関する知識を持った支援員が職業生活に関する相談に応じてくれます。

 

 

保健所

保健所でも、全般性不安障害のある人の相談を受け付けています。

 

相談の方法には電話相談と面談による相談があり、保健師や医師、精神保健福祉士などの専門知識を持った職員が対応してくれます。

 

相談者の要望があれば、相談者の家庭を訪問して相談に対応してくれるケースもあります。面談や家庭訪問による相談を希望する場合には、住んでいるの地域を管轄する保健所に電話で申し込むとよいでしょう。

 

まとめ

全般性不安障害はうつ病や統合失調症などと異なり、まだまだ認知度が低い病気です。

 

治療にも長い期間を必要とするため、定期的な通院が必要になります。

 

全般性不安障害がありながら仕事を続けることは、周囲の人の理解がなければ難しいでしょう。

 

全般性不安障害のある人でも仕事を円滑に進めるために自分の病気を理解し、体調を崩さないよう自己管理の方法を知り、周囲の人の理解が得られるようにしっかりと病状の説明ができるようにしておきましょう。

 

atGPエージェント

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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