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失語症は言葉にまつわる事柄に障害が出る!上手く話せないだけではない

更新日:2021年11月16日

失語症と聞くと「何かのきっかけでうまく話ができなくなる」というイメージをお持ちの方も多いと思います。しかしきっかけにもさまざまなものがあり、また「話す」以外にも「書く」や「読む」といった行為にも支障が出てくるケースがあります。もし自分や周囲の人が失語症になってしまったら、どのような治療をする必要があり、どのようなサポートをすればよいのでしょうか。ここでは失語症の症状や種類、自分が失語症になってしまった場合にどのような対処をすればよいかと言ったことについて解説していきます。

失語症の症状

失語症には、単に「話す」ことができなくなる以外に、さまざまな種類の症状があります。ここでは、失語症の症状について解説していきます。

 

「話す」「聞く」「書く」などのさまざまな種類がある

失語症と聞くとまず「うまく話すことができない」といった症状をイメージする方が多いと思います。

 

しかし、それは症状の一部に過ぎず、上手く話すことができないといった症状以外にも、良くしゃべるが何を言っているかわからないといったタイプの症状が現れる人もいます。

 

また、「聞く」「書く」といった言葉の働き全てに何らかの影響が出ることがほとんどです。

 

例えば相手の言っていることを理解できないという症状や、自分が話そうとしても言葉が出てこない、言葉を言い間違う、発音が上手にできない、文章や文字を読むことができないといった症状が出ることもあります。

 

 

喚語(かんご)困難

喚語困難とは、本人に何か伝えたいことがあるのにその内容が言葉になって出てこない状態のことをいい、失語症の中でも最も多い症状となります。

失語症にはいくつかの種類がありますが、喚語困難はその種類の失語症であっても表れます。

 

 

錯語(さくご)困難

錯語困難とは、自分が言いたいと思っている言葉とは異なる言葉を言ってしまう症状のことを言います。

「猫」といいたいのに「馬」といってしまうように言葉を全く言い間違えてしまう「語性錯語」や、「みかん」といいたいのに「みとん」と言ってしまうなど言葉の一部のみを言い間違える「音韻性錯語」などの種類があります。

 

 

範唱障害

範唱障害とは、対話の相手が喋った言葉を復唱することが困難になる症状のことを言います。

 

 

新造語(しんぞうご)

新造語とは、目標とする言葉が推測できないほどに発音する音が変化してしまっている言葉のことをいい、失語症を抱える方に多く見られる症状です。

 

「いぬ」と言おうとして「いわしんぐ」などの意味のない単語を発してしまう症状です。

 

ジャーゴン

ジャーゴンとは、わけのわからない発話という意味です。流暢にはなすことができても、錯語や新造語が多すぎて発話が全く意味の分からないものになってしまう症状のことを言います。

 

 

その他の症状

失語症のその他の症状として、計算能力の低下や注意障害、易疲労性、保続といったものがあります。

 

計算能力の低下は、数字は数を表す語である「数詞」であるため、数字を置く位置で数を表すことや、計算のルールが存在し、失語症になってしまうとこれらを上手く認識することができなくなるため、計算能力が低下することがあります。

 

注意障害や易疲労性、保続といったものは脳に損傷を受けてすぐの時期に多くの人に見られます。

 

注意障害はひとつのことに集中できない、注意を向け続けることができないといった症状です。そのため、食事中に手が止まってしまうといった症状が出ることもあります。

 

易疲労性は脳が疲れやすくなる状態のことをいい、脳損傷をしていない人に比べて極端に短い時間で疲労状態に陥る症状のことを言います。

 

保続は易疲労性により疲労が原因で起こり、同じ言葉や反応を繰り返す状態のことを言います。

失語症の種類

失語症にはいくつかの種類があります。ここでは、失語症の種類について解説していきます。

 

 

ブローカ失語症(運動性失語)

ブローカ失語症は、「ブローカ野(や)」と「ウェルニッケ野(や)」の二つに分かれた言語中枢のうち、ブローカ野が損傷されたことが原因による失語症のことを言います。

 

ブローカ失語の特徴的な症状は、聞く能力よりも話す能力が著しく低下するということです。

 

また書く能力に関しては、日本語で言えば漢字よりもひらがなのほうが理解が難しくなってしまいます。

 

ブローカ野は手足を動かす運動野に近い部分にあるため、右半身のまひを伴うことがほとんどです。

 

ウェルニッケ失語(感覚性失語)

ウェルニッケ失語とは、脳のウェルニッケ野が損傷された場合に発症する失語症のことで、話す能力よりも聞く能力が低下します。

 

流暢に話すことはできますが、その話の中にはつじつまが合わない発語が多く見られたり、錯語を交えて一方的に話したりするといった症状が出ます。

 

そのため、認知症や精神疾患と間違えられることもあります。

 

ウェルニッケ野は、運動野から遠い場所にあるため、ほとんどの場合体のまひを伴うことはありません。

 

 

失名詞失語

失名詞失語とは、流暢に発話することはできますが、名刺の喚語困難が目立つといった症状があります。

喚語困難は、言語中枢のいずれの部位に損傷を受けても起こりうる症状です。

失名詞失語は他の種類の失語症に比べると、比較的軽度であるとされており、日常会話に支障をきたさない場合もあり、多くの場合体のまひを伴うこともありません。

 

 

全失語

全失語とは、言語中枢広範囲にわたって損傷を受けた場合に発症する失語症で、失語症の中でも最も重度であるとされています。

 

症状としては全く話すことができなかったり、限られた同じ言語のみを繰り返し話したりする「残語」といった症状が多く見られます。

 

聞く能力の低下の程度には個人差がありますが、読み書きができるケースはほとんどありません。また、多くの場合右半身のまひを伴います。

 

失語症の原因

失語症の原因は、脳梗塞や脳内出血などの脳血管障害、および交通事故や転倒などによる脳の外傷によって、脳の言語を司る部分が損傷を受けることによって起こります。

 

「失声症」という、声に異常をきたしているために発生できないものや、「運動障害性構音障害」という唇や舌の動きが悪くなって発音できないものと混同されがちです。

 

しかし、失語症はこれらの病気とは原因が異なり、また言語内容に問題があり読み書きや聞くことに関しても何らかの症状が出る点も異なるため、区別されます。

 

失語症の治療・回復方法は?

失語症の治療は、失語症の原因となった病気や怪我の症状が落ち着いたころに始めます。

ここでは、失語症のリハビリテーションについて解説していきます。

 

 

リハビリテーションを行うことで改善する

失語症の改善を目的として行うリハビリテーションは、言語や聴覚、音声に障害がある人のリハビリテーションを専門とする言語聴覚士の指導を受けながら行います。言語聴覚士はその英語名である「Speech-Language-Hearing Therapist」の頭文字を取って「ST」と呼ばれることもあります。

 

 

刺激法による回復

刺激法は言語リハビリテーションの方法のひとつで、失語症のある人に言葉や文字を示し、脳に適切な刺激を与え文字を指さす、うなずくなどの何らかの反応を引き出すという方法で行われます。

 

この刺激法を繰り返していくうち、脳が言語を操作するプロセス全体を活性化することができます。

 

失語症の程度や種類により言語リハビリテーションの進め方は異なりますが、主に「話す」「聞く」「書く」の三つの能力について以下のようなリハビリテーションが行われます。

 

 

1.「話す」能力を回復するリハビリテーション

絵が描かれたカードを見て、対応する単語を発音する。

写真を見て、誰が何をしているなど写真が表している状態を短い文章で説明する。

 

 

2.「聞く」能力を回復するリハビリテーション

複数の異なる絵が描かれたカードの中から、言われた単語に該当するカードを選ぶ。

二種類の音を聞き、同じ音であるか違う音であるかを判定する。

 

 

3.「書く」能力を回復するリハビリテーション

絵が描かれたカードを見て、対応する単語を漢字や仮名で書く。

漢字も含まれた短い文章を書き写して漢字にフリガナを振る。

 

 

失語症を発症した方の仕事について

失語症を発症した場合には、現在している仕事に対してどのような対応を取れば良いのでしょうか。

ここでは、失語症を発症した方の仕事について解説していきます。

 

無理をせず休職して、体力の回復とリハビリテーションを行う

失語症という疾患は言語中枢にダメージを受けた直後に言語能力が非常に低下します。しかし言語リハビリテーションを行うことで徐々に回復していきます。

 

ただし、回復までには数年という時間を要することもあります。

 

時間をかけることで日常生活に問題がない程度にまで回復する人もいれば、仕事復帰が可能なレベルまで回復する方もいらっしゃいます。

 

言語リハビリテーションに集中して取り組むためにも、思い切って会社を休職して、体力の回復と言語リハビリテーションに集中するという方法を取ることをおすすめします。

 

 

仕事への復帰について

失語症の症状がある程度回復し、周囲の人とコミュニケーションを取ることができるようになったら、職場復帰を考える方も多いのではないでしょうか。

 

そのような場合、まだ失語症の症状が残っていることも考えられます。電話対応ができなかったり、仕事の話などで少し込み入った話になると上手く周囲の人とコミュニケーションを取ることができない可能性もあります。

 

そのような場合に備えて職場に復帰する際に、自分の失語症の特性や必要な配慮について早めに職場の上司や同僚に説明しておくことが大切です。

 

 

無理せず働ける環境が整った職場を探す

失語症を患ってしまい、元の職場に戻ることが困難になってしまった場合には、転職を考えてみましょう。

 

転職を考える場合には、その仕事が周囲からのサポートを受けやすい仕事であるかどうかという点が一番重要な点になります。

 

また、発症前にしていた仕事での経験や実績を活かせる仕事や、再適応に必要とする負担が少ない仕事である、という点も重要になります。

 

転職先としておすすめの職種としては、会話の必要性が低めの軽作業や清掃、事務作業などが挙げられます。

 

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失語症の方がスムーズにコミュニケーションを取るには

失語症は言語リハビリテーションを行うことで改善しますが、その目標は他の人とスムーズにコミュニケーションを取ることです。そのため、完全に元の状態に戻ることを目標にする必要はありません。

では、どのような方法を取ることで、スムーズなコミュニケーションを取ることができるようになるのでしょうか。

ここでは、失語症の方がスムーズにコミュニケーションを取るために気を付けるべき点について解説していきます。

 

 

失語症であることを周囲に伝え、理解してもらう

まだまだ多くの人が失語症というと「上手くしゃべることができない病気」であると思っています。

しかし、失語症は聞く能力や読み書きの能力まで低下してしまうこと、自分にはどのようなコミュニケーション方法が一番伝えやすく、また伝わりやすいかということを周囲の人に理解してもらうことで、よりスムーズにコミュニケーションを取ることができるようになるでしょう。

 

 

焦らずゆっくり会話する

失語症の方は「話す」能力以外にも、「聞く」能力が低下します。

そのため、失語症の方が他の方と会話を行う際には焦らずゆっくり喋ることに加えて、相手の方にもゆっくりと喋ってもらうことができるように配慮してもらうことで、円滑なコミュニケーションを取りやすくなるでしょう。

 

 

リハビリテーションによって能力の回復を促す

失語症の回復のための言語リハビリテーションに要する時間は、時に数年にも上ります。回復には途中であきらめることなく根気よく言語リハビリテーションを行う必要があります。

 

言語リハビリテーションを行うことで、人によりそのスピードは異なりますが、確実に失語症の症状は改善していくため、他人と比べることはせずに自分のペースで続けていくようにしましょう。

 

失語症の方が受けられる支援

失語症の方が受けることができる支援には、さまざまなものがあります。

ここでは、その支援について解説していきます。

 

障害年金

失語症で障害年金が支給されるケースには、以下の条件があります。

・音声または言語を喪失する

・音声または言語機能障害があるため意思を伝達するためにジェスチャーや書字等の補助動作を必要とする

・上手く発音することができないため、日常会話を誰が聞いても理解できない場合

 

これらの場合障害年金二級に相当する可能性があります。

 

また、口唇音、歯音・歯茎音、歯茎硬口蓋音、軟口蓋音のうち、一種でも発音できない状態であれば、障害年金を受給できる可能性があります。

 

 

税金の減免

障害者手帳を取得することで、所得税及び住民税を所得金額から障害者手帳の級に応じた金額の控除を受けることができます。

 

その対象となるのは、障害者手帳を持っている本人以外にその配偶者と扶養親族となります。

 

また、相続時の相続税にも障害者控除があったり、贈与税の一部が非課税になったりします。

 

さらに、自動車税や軽自動車税および自動車取得税の減免もあります。

 

補装具費用支給制度

失語症により起こる生活上の不便を解消する補装具を購入する場合、その費用の全部または一部を補助してもらうことができる制度があります。

 

 

交通機関運賃の割引

障害者手帳を取得することで、その等級に応じてJRやバスなどの運賃の割引を受けることができます。

 

 

まとめ

ここまで、失語症とは何かといったことや失語症の症状や種類、失語症になった場合のリハビリテーションの方法、失語症の方の仕事復帰の方法や受けることができる支援などについて解説してきました。

 

失語症とは、単に話ができなくなるだけではなく、聞く能力や読み書きの能力に関しても影響が出てしまう疾患であり、言語リハビリテーションには時に数年もの長い時間が必要となることがお分かりいただけたと思います。

 

もし、失語症になってしまっても言語リハビリテーションを行うことで言語に関する機能は確実に改善するので、公的な支援をフル活用しながら言語リハビリテーションを行い、回復を目指しましょう。

 

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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