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自閉症を持つ方のコミュニケーションの特徴と対処法についてご紹介!

更新日:2022年08月09日

発達障害は身体障害、精神障害、知的障害に比べると比較的新しく発見、研究され始めた障害で、毎年、発達障害と診断を受ける人が増える一方で、その原因や治療についてはまだまだ未解明の部分が多いです。自閉スペクトラム症はそんな発達障害のうちの一つで、他者とのコミュニケーションに著しい障害があることが特徴の一つです。自閉スペクトラム症の人の社会参加を推進するには、その特徴であるコミュニケーションの障害とはどういうものかを理解する必要があるのではないでしょうか。ここでは自閉スペクトラム症の人のコミュニケーションの特徴や対処法についてご紹介していきます。 

自閉スペクトラム症(ASD)とは

自閉スペクトラム症とはそれまで自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害などを含む発達障害の総称といえます。これらの障害は明確に区別することが難しく、一つの障害の様々な表出の仕方の違いとして捉えて自閉スペクトラム症と呼ばれるようになりました。英語でAutism Spectrum Disorderと称されている為、略してASDとも呼ばれています。自閉スペクトラム症の原因については現在でも断定されていませんが、先天的な脳の機能障害が原因であると言われています。発症は女性より男性に多く、有病率は1%ぐらいと言われていますが、日本では、それより多い3~5%ほどの人が自閉スペクトラム症になっているという研究もあります。

自閉症を持つ方のコミュニケーションの特徴

アメリカ精神医学会のDSM₋5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)によりますと、自閉スペクトラム症の大きな特徴に他者との相互的なコミュニケーション(言語的・非言語的)に欠陥が見られます

 

言語的コミュニケーション

まず自閉症の場合、相手の立場にたって考えるとか、相手の気持ちを読み取るなどが苦手です。そのため、無反応であったり、対応が素っ気なくなりがちで、冷たい対応と受け取られてしまいます。

 

人の表情などから察することも難しく、いつもやっていることをその時の状況で臨機応変に変えることも難しいです。そのため相手ははっきりと言葉で伝える必要があります。自分自身も感情を表現するのが得意ではありませんので、喜怒哀楽の表情や言語的、非言語的表現もあまり、もしくは全くない人もいます。

 

同様に、言葉の受け取り方、そして自分の言葉もストレートです。遠まわしな表現はわからず、冗談も通じませんし、社交辞令もそのまま受け取ってしまいます。

 

また、「適当」「多めに」「もう少し」など日常生活でよく使われる幅のある曖昧な表現の解釈が苦手です。より具体的にイメージできるように、実際にあるものや、絵、写真を使う、数値を伝えるなどがより効果的です。

 

非言語的コミュニケーション

自閉症を持つ人の特徴として、非言語的コミュニケーションも著しくできません。わかりやすい特徴として、無表情視線が合わない、または目の焦点が定まらないなどが挙げられます。またいわゆるボディランゲージも得意ではなく、逆に特徴として、体が不自然に動いたり、同じ行動を繰り返すことがよく見られます。

 

こだわりが強い

コミュニケーション以外の大きな特徴がこだわりの強さです。自分の好きなもの、慣れているもの、信じているものへの執着が強く、それらをやらなかったり、否定されると動揺したり、パニックになるケースも多くあります。またそれらに集中し出すと、それに没頭し周囲が見えなくなってしまうのです。

 

周囲の人には意味のないようなことでも、やらないと気が済まない、またはいつもと物の配置が違ったり、やり方が違ったりするのも混乱してしまいます。例えば、テーブルにあるはずの花瓶がないと花瓶を置いてほしいと言う、ふたが開いているボトルがあるとふたを閉めてしまう、通学、通勤路の同じところ(興味がある物があって)でいつもとどまって進まないなどが見られます。

コミュニケーションの問題によるトラブル例

例1:曖昧な表現がわからないAさん

Aさん(22歳男性)は4月にビル管理会社の事務職として採用されました。基本的なパソコンスキルがあることと、小学校入学前に児童発達支援センターに通園し、早期療育を受けていたことからコミュニケーションに大きな問題がないことが採用の決め手となりました。

ある日、Aさんは部長から会議に必要な資料を「余裕をもって多めに印刷してほしい」と指示を受けました。しかし、Aさんは 参加人数10人の倍以上の資料を印刷し、大量に資料が余ってしまうというトラブルがありました。

 

Aさんは一見、コミュニケーションも表情があってよかったのですが、依然として自閉症の曖昧な表現の理解が難しいという特徴を持っていたため、すれ違いが起こってしまいました。

 

例2:きれい好きのBさん

Bさん(25歳女性)は前職は清掃会社に勤めており、今回、小麦粉を加工する町工場に他の新人二人と共に転職しました。Aさんは大人しいものの、真面目な勤務態度が評価されていましたが、まだ働き始めて間もないため、機械操作や材料の分量など日々研修を受けていました。

 

しかし、Bさんは元々整理整頓好きで、家でもきれいに掃除し、物が片付いていないと気が済まない性格でした。この会社に入っても、Bさんが一番好きだったのは、勤務終了前の清掃作業でした。彼女からすると、工場内は散らかっていて、落ちている材料や整然と並んでいない道具が我慢できなかったのです。そのため、担当者の説明を聞かなくてはいけない場面でも、他の二人がメモを取りながら話を聴いているのに、Bさんだけは道具を並べなおしたり、落ちているごみを拾ってゴミ箱に捨てないと落ち着いて話が聞けないため、担当者は何度も注意しなければなりませんでした。他者の話を聴けないほどの自閉症特有の強いこだわりがあったのです。

 

例3:無断欠勤をしたCさん

Cさんは就労移行支援事業所を経て、大手通販会社の倉庫で商品管理の仕事を始めました。そもそも人との関わりが苦手なため、あまり人と関わらなくてよい仕事を探していました。しかし実際働いてみると、想像していたのとは違って、何人かの同僚と協力して商品管理をすることがわかり、次第に嫌になっていき、とうとう、連絡もせず欠勤してしまい、会社からの電話にも出ませんでした

5日後、部署の担当者からの電話にやっと出ましたが、担当者が心配していたことを告げると、「心配しなくてもいい、心配されても治るものではない」と答えたため、担当者は憤慨してしまったのです。

このケースでは自閉症の特性から自分の発言で相手が怒っている理由が分からない、 表情や気持ちを汲み取れず相手を怒らせてしまうというトラブルにつながってしまいました。

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上手なコミュニケーションの取り方

自閉症を持つ方とコミュニケーションをとる時、心掛けるべき点をいくつか挙げてみます。

 

①指示を出す時は具体的な言葉で話す

「◯時までにやってください」「あと◯個持ってきてください」などはっきりとした表現や数字を使って話すように心がけましょう。時間などは実際に腕時計や壁掛け時計、タイマーなどを用いると効果的です。また、文字よりもわかりやすいということで、障害児施設や障害者施設では写真や絵カードを多く使っています。

 

こだわりを理解する

自閉症のある人と関わる上で、その人が何にこだわりがあるかを知っておくことはコミュニケーションをとる上で重要なのです。こだわっていることを無理に取り上げたり、いつもやっていることをさせなかったり。途中で止めたりするとかんしゃくを起こしたり、パニックになることが多いので注意が必要です。

 

本人にできる工夫

自閉症を持つ本人もしっかりと自己理解に努めて、自身の障害特性を伝え、理解してもらうよう努めましょう。

またもう一歩踏み込んで、自分の特性に合ったマニュアルを作成し、業務や生活に支障を起こさないように努めることも必要です。会社や同僚からの配慮ばかりに頼っていても自分が仕事をしやすい環境が作れるとは限りません。

 

ソーシャルスキルの習得

ソーシャルスキルトレーニングは日本語では社会技能と呼ばれるソーシャルスキルを訓練して身に着けるトレーニングで、他者とのコミュニケーションを円滑にするためにゲームやロールプレイなどを用いてスキルを修得していきます。

 

自閉症の人はもちろん、その他の発達障害や精神障害で、または障害がなくてもコミュニケーションに課題がある場合に受けることができます。障害がある場合、精神科クリニックや障害児・障害者施設でトレーニングを受けることができますが、発達障害は早期発見・早期療育といわれ、早期のトレーニングほど効果が期待できると言われています。

 

ソーシャルスキルトレーニングの詳細はこちらの記事で:ソーシャルスキルトレーニングとトレーニングを受ける方法について解説 | atGPしごとLABO

まとめ

自閉スペクトラム症の大きな特徴は相互コミュニケーションの質的な障害と”こだわり”にあります。障害を持つ本人も、またその人と関わる人間もその障害特性を理解する必要があります。自閉スペクトラム症を含む、発達障害や精神障害などからくる対人関係の困難は、ある程度、ソーシャルスキルトレーニングやその他の心理療法などで軽減することができ、一方で受け入れる社会側の特性への理解が不可欠なのです。どんな障害や病気を持っていても平等な人権、公平な社会参加の機会は保障されていますが、現実として、社会の障害への理解、対応は一律ではないのです。自閉スペクトラム症を持つ人も、可能な限り自身の特性を知り、それをちゃんと相手に伝えること、そして自分なりに特性をコントロールする工夫をするなかで、社会の障害への理解や対応が向上していけば相乗効果が期待できるのではないでしょうか。

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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