全般性不安障害ってどんな病気?診断基準とセルフチェックリスト
更新日:2025年12月19日

誰でも、日常生活や仕事の中で不安を感じることがあります。しかし、特別な理由がないにもかかわらず、漠然とした不安が長く続いている場合は、「全般性不安障害」かもしれません。本記事では「全般性不安障害」の主な症状や診断基準、セルフチェック、セルフケアの方法などを紹介します。
目次
全般性不安障害の症状とは
「全般性不安障害」は、日常生活の中で明確な理由がないのに不安が起こったり、または理由があっても、それと不釣り合いな程度に過度な不安が起こって、一定期間以上持続する病気です。
全般性不安障害の主な症状
「全般性不安障害」の症状には、次のようなものがあります。
● 精神的な症状
・漠然とした不安を常に感じている
・常に緊張している
・神経が過敏になる
・落ち着きがない、イライラしやすい
・理不尽な考えが頭から離れない
・怒りっぽい
● 身体的な症状
・頭痛、肩こり
・動悸、息苦しさ
・疲労感、倦怠感
・めまいや、ふらつき
・不眠
他の不安障害との違い
「全般性不安障害」は不安障害の一つです。不安障害には「全般性不安障害」の他に「パニック障害」「強迫性障害」「社交不安障害」などがあり、症状の現れ方や不安を感じる状況が異なります。また、これらの不安障害の一つが現れることもありますが、複数の不安障害を併発することもあります。
全般性不安障害のチェックポイント
次のような状態が続いている場合は、「全般性不安障害」の可能性があります。専門家に相談しましょう。
1.ある特定の出来事や状況、場所で強い不安を感じそれが長引く
2.何が不安かわからないけれど、漠然とした不安を感じる
3.落ち着きがなくイライラしていて、周囲の人に指摘されることがある
4.周囲の人にわけもなく甘えたくなったり、誰かがそばにいないと不安なときがある
5.周囲の人にわけもなく攻撃的になったり、誰かをひどく憎くなったりする
6.物事を何度も確認しないと気が済まないときがある
7.動悸、頭痛、めまい、胸苦しさ、しびれ、発汗など原因不明の身体症状を感じる
8.少しの体調の変化で「このまま死ぬのではないか」と心配になる
9.過剰にアルコールや食べ物、薬に執着する
全般性不安障害の診断基準
「全般性不安障害」の診断基準を紹介します。
DSM-5の診断基準
アメリカの精神医学会が発行している「精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版(DSM-5)」の診断基準は以下の通りです。

ICD-10の診断基準
世界保健機関(WHO)が作成した国際的な疾病の分類「疾病及び関連保健問題の国際統計分類 第10版(ICD-10)」の診断基準は以下の通りです。

全般性不安障害になりやすい人の特徴
「全般性不安障害」の患者数は、日本人で成人の4〜9%と言われており、決して珍しい病気ではありません。「全般性不安障害」になりやすい人の性格の特徴としては、神経質、心配性、ストレスを抱えやすい、完璧主義などがあるといわれています
全般性不安障害の治療
「全般性不安障害」の治療では、薬物療法と認知行動療法の併用が一般的です。
薬物療法
「全般性不安障害」の方に対する薬物療法では、症状に応じて抗うつ薬や抗不安薬が使用されます。薬による治療には副作用があったり、アルコールを飲んではいけなかったりとさまざまな制約があります。
認知行動療法
「認知行動療法」は、認知(ものの受け取り方や考え方)や、それに基づく行動に働きかけて、楽な気持にしたり、ストレスを軽減させる心理療法です。
「全般性不安障害」の方は、否定的な思考や行動パターンを持ちがちです。この狭まった思考(認知の歪み)や行動を、ポジティブな捉え方に変えていくことで、不安のきっかけとなっている後ろ向きな思考から抜け出すことを目指します。
全般性不安障害のセルフケア方法
「全般性不安障害」は、日常生活における心身の不調やストレスの積み重ねが原因で発症することが多く、心が過剰に緊張して強い不安感を抱える状態が続くことがあります。そのため、日常生活の習慣を整えることが、症状の改善に効果的です。
● 十分な睡眠をとる
● バランスのとれた食事をとる
● 適度な運動習慣
● アルコールやカフェインの摂取を控える
全般性不安障害の方が利用できる支援制度
「全般性不安障害」の方が利用できる支援制度には、自立支援医療制度(精神通院医療)、精神障害者保健福祉手帳、傷病手当金などがあります。
自立支援医療制度(精神通院医療)
「自立支援医療制度(精神通院医療)」は、精神疾患がある方に通院のための医療費の自己負担を軽減する公費負担医療制度です。
対象となるのは、何らかの精神疾患・精神障害によって、通院による治療を続ける必要がある方です。軽減が受けられる医療の範囲は、精神疾患・精神障害に対して通院で行われる医療(入院しないで行われる医療)が対象です。
一般の方は公的医療保険で3割の医療費を自己負担していますが、1割に軽減されます。また、世帯の所得状況によって、1か月の上限額も設けられています。
精神障害者保健福祉手帳
「精神障害者保健福祉手帳」は、精神障害や発達障害のために長期にわたり日常生活や社会生活に制約がある人に交付される手帳です。「 精神障害者保健福祉手帳」を提示すると次のようなサービスや支援が受けられます。
・公共料金等の割引:NHK受信料の減免、税金の控除・減免
・所得税、住民税の控除:相続税の控除、自動車税・自動車取得税の軽減(手帳1級の方)、その他
・生活福祉資金の貸付:手帳所持者を事業者が雇用した際の障害者雇用率へのカウント、障害者職場適応訓練の実施
傷病手当金
「傷病手当金」は、健康保険に加入している人(被保険者)が、病気やけがで働くことができず、十分な給料を受け取れなかった場合に支給される給付金です。会社を休んだ日が連続して3日間あって、4日目以降に休んだ日に対して支給されます。支給期間は、支給を開始した日から通算して1年6ヵ月です。
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障害者雇用促進法は、企業に対して障害者を一定割合で雇用することを義務付けています。前章で紹介した「精神障害者保健福祉手帳」が交付されると、この障害者を対象とした求人に応募することができます。障害者雇用枠で働くと、企業から障害に対する合理的配慮が期待できます。
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まとめ
「全般性不安障害」は、強い不安感や心配が長く続いて、精神的・身体的な症状が現れる精神疾患です。「全般性不安障害」は、うつ病やパニック障害、社交不安障害など他の精神疾患を併発するケースもあります。
本記事で紹介したチェックポイントに当てはまっていて、症状が長く続いている場合は、早めに精神科や心療内科などを受診して相談するのがおすすめです。






