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上肢障害のある方に向いている仕事は?

更新日:2021年11月09日

上肢障害のある方には就職したいと思っている方や、現在の職場以上に働きやすい職場を求めて転職を考えている方もいると思います。上肢障害のある方が就職や転職を考えた時には、どのような職種や配慮ができる企業を選べば良いのでしょうか。上肢障害のある人に向いている職業というものはあるのでしょうか?本記事では、上肢障害のある方が就職や転職を考えている場合に参考にして欲しい、向いている仕事の案内や、就職や転職を行う際に相談できる機関を紹介していきます。

上肢障害とは

上肢障害とは左右の上肢(手・腕)に、日常生活を送るにあたって困難を生じさせる運動機能の障害が発生し、永続する状態のことを言います。

この上肢障害の原因は、脳の運動中枢、運動神経、筋肉、骨、関節などの部位に外傷や疾患、欠損、変形などが生じることで起こるため、原因はひとつではありません。

また、先天的な原因のものと後天的な原因のものがあります。

障害の内容としては、先天的な上肢の形成不全や切断のように上肢の一部または全部を失っているために運動機能を消失している場合と、上肢はあっても運動機能の制限や喪失が生じている機能不全とがあります。

上肢障害のある方が仕事で抱える悩み

上肢障害のある方が仕事を行う上で、さまざまな悩み事を抱えている場合が多くあります。ここでは、上肢障害を抱える方が仕事を行う上で出てくる悩み事の中でも特に多いものを紹介します。

 

できる仕事の範囲に限りがある

上肢障害のある方の多くは上肢に痛みやしびれといった症状があることが少なくありません。身体のバランスを上手くとることができない方もいるため、歩行が困難になる方もいます。

手や腕に障害を抱えているため、ものを掴んだり持ち上げたりといった作業が難しいケースもあります。

一般の方ができる作業であっても、上肢障害のある人はできない作業というものはいくつもあるため、できる仕事の範囲に限りがあります。

特に、上肢に欠損がないタイプの上肢障害のある方には、周囲から「さぼっている」と思われたり、「自分だけ楽をしている」と思われたりするのではないかと悩まれる方もいます。

手や腕の慢性的な痛みやしびれなどは見た目では分からないため、職場では周囲の理解を得るために自分の抱える障害について説明しておいたり、毎日の状態を上司に報告するなどの対策を取っておくことが重要になります。

 

周囲に引け目を感じる

上肢障害の中でも、手や腕の欠損や変形など見た目で障害が分かる場合には、障害の特徴が分かりやすいため周囲の理解や配慮を受けやすいというメリットがあります。その反面、過度な気配りや干渉を受けることで本当に自分が配慮してもらいたい内容を言い出せないといった悩みがあります。

過度の気配りや干渉を自分の力で断ることができない理由は、自分に障害があるために周囲に引け目を感じていることが原因であることがほとんどです。

仕事上においては、出勤時間や退勤時間の調整や、作業スペース、上肢障害を補うための特別なツールの導入など職場全体の環境整備が必要であるため、影響を及ぼす範囲も広く、このような理由から一般の人に混じって働くことに引け目を感じるケースもあります。

周囲に引け目を感じるという理由で、就職が決まっても長期就労に結びつかないこともあります。

上肢障害のある方が働きやすい環境とは

上肢障害のある方が働きやすい職場の条件には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、上肢障害のある方が働きやすい職場の条件を3つ紹介します。

 

会社内の設備が整っている

上肢障害のある方がまず直面するのは、上肢が不自由であることから感じる物理的な不便さです。

こうした不便は例えばデスクの位置や高さ、手や腕機能を補うためのツールの充実などである程度解消することができます。

上肢障害があり、上半身のバランスを上手くとることができないことで移動に困難を感じる方もいるため、社内にスロープやエレベーターが設置されているとさらに働きやすい環境となるでしょう。

ハード面において会社の設備が整っているということは、上肢障害を抱える方にとって働きやすい職場であるという事の第一条件になると言っても過言ではないでしょう。

 

時短勤務など勤務時間に関する配慮がある

上肢障害のある方は、通勤時に満員電車に乗ることに非常に大きな困難や疲労を感じたり、一般の方とは異なる危険にさらされたりすることが考えられます。

そのため、ラッシュアワーを避けて通勤できるよう出勤および退勤時間に対する配慮があったり、時差出勤やフレックスタイムの制度がある会社を選ぶことで、出勤・退勤時に上肢障害のある方は通勤による負担を減らすことができます。

 

上肢障害のある方の中には、慢性的な痛みやしびれといった症状がある方も少なくありません。一般の人と同じ時間にわたって働き続けることが困難な場合があります。

仕事の合間に適度な休憩時間を挟んだり、時短勤務ができる会社を選ぶことで、上肢障害のある方の働きやすさはぐっと向上します。

 

気兼ねなく手助けを求められる雰囲気がある

上肢障害のある方が働きやすい職場の条件には、周囲の人に気兼ねすることなくサポートをお願いできる雰囲気があるという点も、非常に重要なことのひとつです。

給与面や障害に対する配慮が行き届いた環境の職場であっても、人間関係がぎすぎすした職場であれば、一般の方でも働きにくいと感じるでしょう。

和やかな雰囲気の職場で、コミュニケーションがとりやすいという点も、上肢障害のある人にとって働きやすい職場選びの重要なポイントとなります。

 

勤め始めのころは、障害によるもの、よらないものとにかかわらず失敗やミスを犯してしまったり、できないことが発生したりしてしまうこともあります。

そのようなときに、周囲の人にフォローやサポートをお願いしやすい職場であれば、長期定着に結びつきやすいでしょう。

 

上肢障害のある方におすすめの仕事

では、上肢障害のある方に向いている仕事には、どのようなものがあるのでしょうか。

事務職

事務職は上肢障害のある方にとって、非常に働きやすい職種であるといえます。

事務職はデスクワークであるため、身体のバランスを保つことが難しく移動が困難な上肢障害のある方でも移動に悩まされることはありません。また、体力の消耗が少ないという点も、上肢に痛みやしびれを抱える上肢障害のある方に向いている仕事である理由のひとつです。

事務職の仕事内容は、パソコンへの入力や書類の作成・管理、電話対応などです。これらの仕事を行う上で、上肢障害により生じる不都合を解消するためのツールが多い点も上肢障害を抱える人に向いていると言えるでしょう。

現在は障害者枠での求人が比較的多いため、就職しやすいというメリットがあります。

 

デザイナー

製品やポスター、雑誌や書籍の表紙やレイアウトなど、さまざまな物のデザインを手掛ける仕事でそれぞれにデザイナーが行う仕事があります。

デザイナーの活動する業界は多岐にわたるため、デザインするものによって異なる知識やセンスが要求されます。

しかし、どのデザイナーに関しても言えることは、「クライアントの求めに応じたデザインを考案する」ことが要求されるという点です。

クライアントの商品やサービスに対する顧客層と、機能性、コストなどのさまざまな条件を踏まえたうえで、最適なデザインを考案することがデザイナーの仕事です。

このようなデザイナーの仕事は、基本的にパソコンを使って行うデスクワークであるため、事務職と同様に身体に掛かる負担が少ないという特徴があります。

また、デザイナーとして働く方の中には障害のある方も少なくないことから、周囲の配慮を受けやすい仕事であるというメリットがあります。

 

コールセンター

コールセンターの仕事の中には、自分から電話を掛ける「アウトバウンド」と、かかってきた電話に対応する「インバウンド」の2種類があります。

 

このようなコールセンターの仕事は電話を使うのは当たり前ですが、受話器を使うことなくヘッドセットやインカムを利用して電話応対をする会社がほとんどなので、上肢障害のある人も不便を感じづらい仕事であるといえます。

 

また、アウトバウンド・インバウンドともに電話対応に関する事柄が事細かくマニュアル化されているため、マニュアルの内容をマスターすれば障害の有無に関係なく貴重な戦力として活躍できる点も、上肢障害のある方におすすめの仕事であるポイントのひとつです。

 

在宅でできる仕事

在宅でできる仕事の中には、製品にシールなどを貼ったりするような、一昔前までは「内職」と呼ばれていたようなものから、文章作成やデータ入力、プログラミングなどの仕事をインターネットで受注から納品まで完結させる、自営業に近い働き方までさまざまなものがあります。

 

近年ではコロナ禍の影響から「テレワーク」の実施が呼びかけられており、企業に在籍しながら仕事は基本的に自宅で行い、会議などもZoom等のWeb会議ツールを利用して行うことができるようになりました。

 

在宅でできる仕事はインターネットやその他のツールの発達により、非常に多くなってきています。在宅でできる仕事を選ぶことで、上肢障害のある人は通勤・退勤の負担が減らせます。自営業の場合は、障害により出てくる症状が酷い場合には自分で休みを設定することができたりするため、上肢障害に限らず在宅でできる仕事は障害のある人全般に向いている働き方であるといえます。

 

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上肢障害のある人の就職成功方法

上肢障害のある方は、どのような方法で就職を成功させているのでしょうか。

就職に成功した方のほとんどに共通して言えることは、「自分の障害にきちんと向き合い、把握している」という点です。

 

自分で就職したいと思う企業を選ぶ際にも、就職を斡旋・仲介してくれる機関を利用する場合にも、どちらの場合もしっかりと認識しておくべきことは、2点あります。

①自分はどのような仕事がしたいのか

②その仕事をする際に、自分にはどのような配慮が必要なのか

 

この2点をしっかりと把握し企業側に提示することで、企業側も採用の可否を決定しやすくなり、また採用後も企業と自分とのミスマッチを最小限に押さえることが可能になります。

 

この点をはっきりさせずに曖昧なまま企業に応募したり、そのまま採用になったりしたとしても、実際に働き出してから自分と企業側の配慮の方法や仕事内容に行き違いが生じる可能性が高く、長期にわたり働くことが難しくなることが考えられます。

 

企業側に応募を行う前に、前述した2点についてしっかりと自分で整理し、企業側にきちんと伝えることができるように準備しておきましょう。

 

上肢障害のある方が利用できる就職・就労支援

上肢障害のある方が利用できる就職や転職を支援してくれる機関には、どのようなものがあるのでしょうか。

ここでは、上肢障害者が利用することができる転職・就労支援機関について詳しく解説していきます。

 

ハローワーク

ハローワークは厚生労働省が所管する公的機関で、正式名称を職業安定所といいます。

ハローワークは一般の人が職業を斡旋してもらうために利用する機関であると考えている方もおられると思いますが、障害者向けの求人を斡旋してくれる専門の窓口があるため、上肢障害のある方も利用することが可能です。

 

障害のある方のために専門の職員や相談員の配置を行っており、求職申し込みから就職後のアフターケアまでを一貫して行ってくれます。

 

また障害のある方には障害者枠での求人だけではなく、一般枠の求人も紹介してくれるため、障害があることで障害者枠での採用のみに縛られることはありません。

 

また、ハローワークでは既存の求人以外に、上肢障害のある方の能力に合った求人を開拓したり、面接に同行したりなどのサポートも行っています。

 

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターとは、上肢障害に関わらずさまざまな障害のある方に対して専門的な職業リハビリテーションを提供している機関のことです。

 

各都道府県に最低でも1か所は設置されていて、独立行政法人高齢・障害者・求職者雇用支援機構が運営を行っています。

 

この地域障害者職業センターは、障害者雇用促進法22条に基づいて設置されており、主に個々の障害者のニーズに応じてさまざまな職業リハビリテーションを行うこと、事業主に対して雇用管理上の課題分析や専門的な助言支援を行うこと、地域の関連機関への助言・連携・人材育成を行うことの3つの目的を持っています。

 

地域障害者職業センターは、ハローワークや企業、医療や福祉などの機関と連携して就職を希望する障害者の個々のニーズに合わせた専門性が高い就職に対する支援を行ってくれます。厚生労働省が定める研修・試験を修了した障害者職業カウンセラーが配置されていたり、それ以外にも相談支援専門員やジョブコーチなどの配置も行われている点が特徴です。

 

地域障害者職業センターで求職を行う場合には、適切な職業リハビリテーションを受けるために障害者の就職の希望などのヒアリングを行うと同時に検査や作業を行い、現状の職業能力を分析し、それらの結果をもとに職業リハビリテーションを行います。

就職準備期間に入ると、就労現場を想定した環境で作業を行ったり、職業や就職に関する知識に関するレクチャーを受けます。

また、このような支援を通じて基本的な労働習慣を身につけ、作業を完遂させることや職場でコミュニケーションを図るための能力の向上のサポートも行ってくれます。

 

障害者就労・生活支援センター

障害者就労・生活支援センターとは、上肢障害に関わらず就職を希望している障害がある方や、在職中の障害がある方が抱える悩みや課題に応じて、雇用及び福祉の関係機関と連携して就職相談支援担当者と生活支援担当者が協力し、就業面および生活面の一体的な支援を行ってくれる機関のことを言います。

障害者就労・生活支援センターの主な業務内容は、就職に向けた職業準備訓練や職場実習などの準備支援、就職活動の支援、職場定着に向けた支援雇用管理についての事業所に対する助言など、就業面での支援のほかに、生活習慣の形成や健康管理、金銭管理など日常生活の自己管理に関する助言や、住居、年金、余暇活動など地域生活、生活設計に関する助言など、生活面での支援も行っています。

 

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所とは、上肢障害に限らず障害がある方の一般企業への就職をサポートする通所型の福祉サービスのことを言います。

就労移行支援事業所では就職前には通所しながら一般企業で働き続けるだけの力を身につけるための職業訓練や、就職活動のサポート、就職後はその職場に定着するためのサポートを受けることが可能です。

就職前に受ける職業訓練では、職業スキルを身につける以外に体調管理や就職後に周囲の人と円滑なコミュニケーションをとるために必要な知識を身につけます。

また、就職活動を行う際にはキャリアカウンセリングや応募に必要な書類の作成、面接対策などのサポートを受けることができます。

無事に就職した後も、職場定着支援を受けることができ、就職後も困りごとがあれば相談に乗ってもらうことが可能です。

 

障害がある方向けのエージェントサービス

現在、就職または転職エージェントサービスは非常に多くありますが、その中には障害者の就職や転職に特化したエージェントサービスがあります。

 

このような障害がある方向けのエージェントサービスに登録すると、まず専任のアドバイザーが求職者に付いて就職の準備から就職後の職場定着支援までを行ってくれます。

 

提供されるサービスは、求職者のスキルや要望に合った企業の紹介、面接対策や履歴書など必要書類の添削といった就職支援、内定後の勤務開始日時や給与面での企業側との交渉、就職後に生じた困りごとの相談などです。

 

障害がある方向けのエージェントサービスは、採用を検討している企業が人材に求めるスキルや経験、人物像などを詳しく把握しているため、転職・就職希望者と企業側の希望が合致したマッチングを行ってくれるという点が大きなメリットであるといえます。

 

 

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まとめ

ここまで、上肢障害のある方の多くが抱える悩みや働きやすい環境、向いている仕事や就職・転職の際に利用できる機関の紹介などを行ってきました。

上肢障害のある方が働きやすい職業を選ぶ際のポイントや、相談できる機関についてお分かりいただけたと思います。

上肢障害のある方が就職や転職を行う場合には、希望する企業が働きやすいかどうかを見極め、また相談できる機関も上手に利用しながら長く働くことができる企業を選ぶようにしましょう。

 

上肢障害の方を採用した実績のある企業様も多数いらっしゃいますので、是非求人を見てみてくださいね。

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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