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知的障害者が向いている仕事内容や働き方とは?相談できる機関もご紹介します

更新日:2020年07月09日

障害があるからといって就労を諦めてはいませんか?現在、日本は国連で2008年に発行した「障害者の権利条約」以降、障害者基本法や障害者差別解消法などを中心に障害者関連の法制度を整備し、障害者の就労を含む社会参加の機運は今までになく高まっています。少子高齢化で労働人口が減少していることも手伝っている状況です。知的障害がある方でも障害を正しく理解し、適性のある仕事や、雇用や就労にまつわる国の制度や公私のサービスを知り、上手く利用することによって、就労のチャンスを広げていくことができます。そんな、お仕事をしたいと思っておられる知的障害者の方に向いている仕事や働き方、相談できる機関などをご紹介していきます。

知的障害とは?

知的障害とは何でしょうか?実は法律には具体的な定義がありません。

知的障害の判断基準として、厚生労働省が「2005(H17)年度知的障害児(者)の基礎調査結果の概要」(2005)において示した内容が、中央・地方行政においては基準とされています。

 

「知的障害」の判断基準

知的障害の判断基準(療育手帳を取得できるレベルであるかの判断)は、

・知能検査によるIQ値

・日常生活がどれくらい自立しているか

によってなされます。

 

検査方法は以下が使われます。

・成人の場合→WAIS(ウェクスラー成人知能検査)Ⅳ

・児童の場合→WISC(児童向けウェクスラー式知能検査)Ⅴ

・児童から成人まで→田中ビネー知能検査V

 

これらの検査によってIQがおおむね70未満であって、日常生活能力(自立機能、運動機能、意思交換、探索操作、移動、生活文化、職業等)がどれくらいあるかによって取得できる療育手帳の等級が変わってきます。

 

知的障害の4つの段階

【軽度】

・基本的な生活、家事や身の回りのことは自分でできる

・読み書き計算(暗算)や、抽象的な思考や抽象的な表現の理解が難しく、社会に出てから対人コミュニケーションがうまくいかないケースが見られる

 

【中度】

・身の回りのことは、適切なサポートや学習を受ければ、ある程度まではこなせる

・読み書き計算などの学習面は、小学生程度

・コミュニケーションや判断能力で戸惑うことが多い傾向

 

【重度】

・1人では食事や入浴を行うことができず、日常のことにもサポートを必要とすることが多い

・漢字の読み書き、時間の単位やお金の数え方を理解することが難しい

 

【最重度】

・身の回りのこと、日常のことすべてにおいて、周りからのサポートを必要とする

・言葉を使ったコミュニケーションが難しい場合が多い

・身振りやカードを使って意思疎通が可能なケースも

 

知的障害に併発しやすい疾患

知的障害に併発しやすい疾患として以下のものがあります。

 

・自閉症スペクトラム(自閉症やアスペルガー症候群、小児期崩壊性障害など)

自閉スペクトラムと診断されている児童の約1/3は知的障害があると言われており、その他、ADHDなどの発達障害と知的障害は併発する可能性が割合高いようです。

 

・ダウン症

染色体異常による遺伝子疾患であるダウン症は軽度から中度の知的障害を伴います。

 

・てんかんや脳性まひ、心疾患など

先天的な知的障害では、てんかんや脳性まひなどを合併していたり、心疾患などの内部障害を重複していたりすることもあります。

 

・認知症

また、知的障害者は40代後半から50歳にかけて認知症になるリスクが障害のない人より高いといわれています。

 

・肥満、成人病

知的障害者は偏食傾向が見られ、肥満が多く、高脂血症、糖尿病、心筋梗塞等の成人病のリスクも高くなっています。

知的障害の人向けの仕事内容や雇用形態

知的障害のある人が多く働く産業

次に実際に雇用されている知的障害者はどのような産業で多く働いているのかを厚生労働省の「平成 30 年 障害者雇用状況の集計結果」を見てみます。H30年の統計では被雇用者である知的障害者の総数は約121000人(重度の場合はダブルカウント)となっています。

知的障害のある人が多く働く産業】

 

 

雇用人数が多い産業のトップ3を挙げてみると、第1位が約32000人で製造業、第2位が24000人で卸売・小売業、第3位が約21000人で医療・福祉、次がサービス業となっています。

この統計からこの産業が知的障害者に向いていると言えるかというと、そうではありません。これはあくまで、どの産業が多く知的障害者を雇用しているかであって、しかもこれらのトップ3の産業では他の障害者の雇用でもトップ3なのです。逆に言うと、障害者を雇用しやすい産業がわかるとも言えます。

 

知的障害のある人に向いている仕事内容

では、実際のところ、知的障害者に向いている仕事はあるのでしょうか?「好きこそものの上手なれ」ということわざがありますが、これは障害者の場合も同じです。

 

【軽~中度の方に向いている仕事】

特に程度が軽~中度の場合、日常生活がある程度自立していれば、仕事も適切な支援の下で自立してできます。そうすると、就職できる仕事の幅も広がってきますので、どんな仕事をしたいのか選択の余地が出てきます。

 

・食べ物、スイーツが好きなら飲食や飲食製造

・おもちゃやゲームなどが好きなら、それに関わる卸売りや小売りのバックヤード

 

など趣味や嗜好にあった仕事に就けば、当然、仕事への関心度や集中力も高くなり、より長く続けることができるでしょう。例えば、障害者の就労継続支援事業所などでは、パンや洋菓子などの製造販売をしているところも多く、利用者の部署としての人気も高いようです。

 

【重度の方に向いている仕事】

重度の知的障害のある方におすすめの仕事には、以下のものがあります。

・清掃業務

・簡単な製品の製造

・紙容器や段ボールなどの箱折り

これらは、知的障害者をたくさん雇用する産業と一致します。

 

知的障害は程度が重くなるほどに、コミュニケーションや計算、その場の空気を読んだり、臨機応変な対応が難しくなっていきます。

職種的には高度な接客業、人が計算するようなレジ仕事、個数や量の把握や管理、概念など抽象的ものの理解が必要な仕事は難しいといえます。

 

知的障害のある人の雇用形態と賃金

厚生労働省の「平成30年度障害者雇用実態調査」を見てみますと、知的障害者の雇用形態は正規雇用が約20%となっています。それ以外の80%は契約社員、パート・アルバイトという雇用形態や時間短縮労働であることがわかります。

 

正規雇用率

  •  日本全体:約60%
  •  身体障害者:52.5%
  •  精神障害者:25.5%
  •  知的障害者:19.8%
  •  発達障害者:22.7%

平均給与は正規雇用の割合が低くなればなるほど当然低くなります。ボーナスの類の支給も原則ありませんので、平均は大きく下がります。実際、日本全体の年収平均は約430万円で、障害者の平均年収は約半分ほどしかありません。知的障害者の平均月給(5月分)は11.7万円と障害者の中では最低でした。しかし、正規雇用が無理なく増えていけば知的障害を含む障害者全体の平均年収は上がると考えられます。

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知的障害のある人の3つの働き方

企業等での一般就労(一般枠)

企業等での一般就労というのは、いわゆる就職です。普通に出ている一般向けの求人に応募して採用試験を受けることになります。どのようなメリットがあるかは人それぞれ違いますが、大きくは募集の職種の幅が広く、自分がやりたい仕事の求人がうまくやれば見つかりやすいといえます。そして給料はその職種の専門性や業界の相場によって変わりますが、正規雇用なら一般的な水準の給料が支払われます。障害があることを理由に応募できなかったり、雇用しないことは法律違反になりますので、自分の可能性を試したいとか、やはり給与面でという方は、一般枠での就職活動や就職試験がどういうものか自分の実力を試すチャンスと捉えてもいいかもしれません。逆にデメリットですが、やはり一般就労での採用は狭き門だということと、合理的配慮や障害者への理解などは障害者雇用枠や福祉就労とは大きく違う可能性が高いということです。

 

企業等での一般就労(障害者雇用枠)

一方で、障害者雇用促進法で定められた枠組みで、国や地方自治体(公務員)や一定規模以上の事業所では障害者雇用枠を設けています。障害者雇用枠への応募は各種障害者手帳を取得している、あるいは取得予定であること。知的障害者の場合は療育手帳が必要です。障害者枠は障害者専用の雇用枠ですので、各種障害に対する合理的配慮を義務付けられています。職場の環境や仕事内容については障害者が働きやすいようになっています。しかしながら、多くの障害者雇用枠で提供される仕事はいわゆる単純作業、軽作業であるため、賃金についてはそれなりであることは理解しておく必要があります。

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福祉的就労(就労継続支援AB

福祉的就労とは民間の事業所などにおけるいわゆる、一般就労を目指しているが、そのレベルに達していない障害者に対して、障害者総合支援法下の自立支援給付の障害者福祉サービスとして提供される就労継続支援という事業を利用することになります。

 

就労継続支援事業には”A”と”B”の2種類があり、どちらも一般の事業所での就労が困難な障害者に就労の機会、生産活動、就労に必要な知識や能力の向上に必要な訓練などを提供するのですが、”A”では雇用契約がありますので、最低賃金が保証されます。”B”の方は雇用契約がありませんので”A”よりもより、訓練の度合いが大きいと考えてよいでしょう。

 

つまり、”A”の方がより一般就労に近い内容になっていて、利用者もより意識やスキルが高く、一般就労の可能性も高くなります。”B”の方は障害の程度が”A”の利用者よりも高い傾向にあり、特性や身体の状態により長時間の安定した労働が困難な方が多いようです。どちらも利用期間に制限はありませんが、”B”では何年も長期利用される方が”A”よりも多い傾向にあります。

仕事を探すときに相談できる機関

ハローワーク

正式には公共職業安定所といわれる、職業を紹介する公的機関で、専門援助部門の窓口(障害者窓口)では障害者への職業相談や求人紹介を行なっています。専門の職員を配置しており、障害者雇用制度や就職活動、求人募集している企業の対応や実績なども把握していますので、自分だけで就職・転職活動をするより、その可能性は大きく高まります。無料のサービスですので大いに利用したいところです。

 

障害者職業センター

地域障害者職業センターは独立行政法人高齢者・障害者雇用支援機構が設置、運営する障害者の職業リハビリテーションに関する事業で、ハローワークと密接に連携し、障害者の就労をサポートします。具体的な業務内容としては障害者の職業適性などの評価、支援計画の策定、訓練や講習を通じた職業準備支援、職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業、精神障害者総合雇用支援、事業主に対する相談・援助、地域内での障害者の職業リハビリテーションネットワークの醸成、地域の関係機関への障害者の職業リハビリテーションに関する助言や援助などが挙げられます。

 

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは障害者雇用促進法で定められている、障害者の身近な地域において就業面と生活面の一体的な支援を行う事業で、現在、全国に300か所以上が設置されていて、社会福祉法人などが委託されて運営を行っています。実際の業務としては障害者に対する就職に関する相談や具体的な就活や就職への準備支援や職場実習の斡旋、職場定着、障害を雇用しようとする事業所への助言などを行ないます。また、生活の面でも日常生活や地域生活でも、年金、福祉など制度のことや困りごとなどあらゆる相談ができ、適切な助言をしてくれるので、積極的に活用したいサービスとなっています。

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知的障害のある人が利用できる支援

職場適応援助者(ジョブコーチ)

職場適応援助者とは、一般にジョブコーチと呼ばれる被雇用者である障害者の職場への適応や定着について本人や事業主にアドバイスなどの支援を行う担当者のことです。通常、障害者雇用安定助成金対象の障害者職場適応援助コースを利用すると、前述した障害者職業センターの作成した支援計画に基づき派遣される職場適応援助者、または企業側に在籍する職場適応援助者による支援が利用できます。また、就労移行支援事業所の同様の職務を担う職員もジョブコーチと呼ばれることがありますが、こちらは同助成金の対象ではありません。

 

就労移行支援

こちらも先に”福祉的就労”の項でご紹介した就労継続支援事業と同様に障害者総合支援法の自立支援給付のサービスの一つです。就労継続支援事業所と名称が似ていますが、就労移行支援事業所は一般の事業所での就労を目指す障害者に対して、一般事業所で働くために必要なスキルを学んだり、個別の就労適性のアセスメント、一般事業所での実習、職場の開拓、就職後のフォローアップなどが中心的な内容となり、作業もなく、工賃は発生しません。また利用期間は原則2年となっています。就労移行支援事業所の利用者は就労継続支援事業所の利用者よりもより一般就労に近いと言えます。

 

この事業は障害者総合支援法の事業となりますので、自立支援給付の対象ですが、利用にあたっては所得に応じた自己負担があります。詳細については、福祉事務所や障害者就業・生活支援センターに問い合わせてみましょう。

知的障害のある人の困り事と対処法

働く上でのルールやマナーがわからない

通常、人は子どものころからの経験や教育によって、違う場所や状況においてもどのように行動すべきか応用ができるようになります。それによって、社会人になった時の仕事上のルールや他者との関わりも基本的なことは自然と理解しスムーズにできるのです。しかし知的障害があると、例えば、時間前(一般的には10分前)に職場に入り準備をする、配置の整理整頓をする、状況にあった挨拶するなど、いわゆる”暗黙の了解”が難しい傾向にあります。このような場合、社会人としてのルールやマナーについても一から指導や研修をしていくことが効果的です。それは職場の上司や同僚が行なうこともできますが、そういった時間が取れない、専門家に委託したい場合は障害者職場定着支援制度が活用できます。

 

入職後にミスマッチに気づく

知的障害者の離職の理由で上位に来るものの一つが、やりたいことと違った、やりたかかったけど特性的に向かなかったなどのミスマッチです。このようなミスマッチは公的な就労支援サービスや就職・転職エージェントを利用することで回避できるケースも多いのですが、実際に働いてみて発覚することもあります。ミスマッチを極力なくすには、就活の際に十分な自己理解、自己分析を行なう、また現場実習をすることで障害者本人も場の雰囲気や職務に慣れ、障害者と会社側の相互理解も進みます。就労支援サービスや就職・転職エージェントを利用すればこのようなミスマッチを防ぐ適切な支援を受けられます。

 

計画性を持って仕事をすることが難しい

知的障害は程度が重くなるほど、時間の感覚や計画的に行動するということが難しくなってきます。決められた計画に基づいて行動することは、知的障害の程度などにより個人差がありますが、まだ適切な支援があれば可能です。しかし、自らスケジュールを組んで、それを管理することは得意ではありませんので、どれぐらいの量の仕事がどれくらいの時間でできるかなどの見通しを立てるは難しいのです。このような場合は、しっかりと紙などに書かれた計画・予定表があれば理解できる方もいますし、場合によっては終始の時間を伝えたりするスケジュールの管理をする係を配置したり、周囲の同僚が声かけをしてくれるなどのサポートがあればスムーズに行きます。

 

自分から相談することは得意ではない

知的障害者はその特性ゆえにコミュニケーションは単純で、難解な表現、抽象的な表現、隠されたメッセージや暗黙の了解といった高度なやり取りが苦手です。そのため、本人側からの疑問や不安などが自発的に相談できる状況や機会を提供するような配慮が会社側に求められます。また、知的障害を持つ被雇用者も、自分の障害特性をよく理解し、自分の疑問や不安などを会社の担当者や同僚にしっかりと伝える方法を考えておく必要があります。場合によっては、まずは家族や今回ご紹介した障害者の相談支援をする機関などに相談してみて、介入してもらってもよいでしょう。どうしても改善できない場合はその職場、その仕事が本当に自分に適切かということから考え直してみてもよいでしょう。その場合はハローワークや転職エージェントに相談してみることをお勧めします。

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まとめ

知的障害があってもなくても、働く権利や職業選択の自由というのはすべての国民が平等に持っていることは憲法で保障されています。このように障害者の社会参加の機運が今までになく高まっている現状では、仕事を探すという面でも今までよりも選択肢は広がってきているのです。知的障害者であっても、仕事の選び方の基本は一緒です。まずは自分はどんなことに興味があり、どんなことを仕事にしたいか。そして一方で自分の性格や障害の特性を踏まえたうえでやりたい仕事とできる仕事が一致しているかが重要です。そういう意味では多くの知的障害者が就職している産業や職種も大いに参考するべきだと思いますし、やはり自分の力だけで就活をしたり、仕事を続けていくのは難しいことですので、公的な相談機関なども有効に活用していってください。好きなことが仕事になればそれが一番ですが、やはり適性がある仕事を長く続け、安定した収入を持つとも人生を豊かにする要素でもあります。

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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