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発達障害者支援法ってどんな法律?その基礎と2016年の一部改正について

更新日:2021年07月29日

発達障害者支援法は2004年に制定され、2005年に施行された児童を含む発達障害のある人への適切な支援を推進するための法律です。この法律ができるまでは発達障害のある人への支援を明確にした法制度がなく、身体障害、精神障害、知的障害のどれとも違うため適切な支援が受けられなかった経緯があります。発達障害者支援法とはどんな法律なのか、そして2016年の改正点もご紹介していきます。

発達障害者支援法の概要と目的

同法の第1章に書かれていることですが、発達障害者支援法の目的は早期発見とそれに伴う早期支援の体制を地方自治体に推進させることです。

 

発達障害の発現は早ければ乳幼児期に見られますが、症状が多様であること、発達の個体差や、見た目でわかりにくいこともあり、発見が遅れて診断も遅れるという難しさがあります。発達障害は早期に療育や支援を開始することにより、そうしない場合よりもはるかにその後の社会生活の困り感が違うと言われています。

 

発達障害支援法ではそんな発達障害に関する他機関と連携し発達障害に関する相談、早期発見、早期支援の中心となる機関として発達障害者支援センターを位置づけています。

 

発達障害者支援センターは都道府県・政令指定都市が設置しています。またその呼称は地方によっては必ずしも発達障害支援センターとは限りませんので注意が必要です。

 

発達障害者支援センターを介在させることにより、それぞれの発達障害児・者の個別性にあった療育や、苦手な分野に対しての訓練を実施しています。これによって、普段の社会生活における人との関わりやコミュニケーションをスムーズにするための適切なアドバイスを行う、といった試みがスタートしました。

 

同法では、発達障害支援センターのみではなく、学校教育において個々の発達障害に配慮した適切な支援や、就労支援についても適切な就労の機会の確保にも言及されています。

 

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2016年の発達障害支援法一部改正について


2016年の発達障害支援法の改正では大きく3つのポイント(目的)が挙げられています。

①ライフステージを通じた切れ目のない支援

②家族なども含めた、きめ細かな支援

③地域の身近な場所で受けられる支援

以下で詳しく見ていきましょう。

 

ライフステージを通じた切れ目のない支援

発達障害のある人を支援するための医療、福祉、教育、就労などの各分野の緊密な連携ネットワークの構築により一人一人の発達障害のある人に切れ目のない支援を実施ということです。

 

 

家族なども含めた、きめ細かな支援

教育や就労支援、または司法手続きなどにおいてそれぞれの障害特性にあった配慮がなされ、その家族も含め、きめ細やかな支援をを推進するとしています。

 

 

地域の身近な場所で受けられる支援

地域の関係機関の連携により可能な限り当事者が住む地域、身近な場所で支援が受けられる体制を構築することです。

 

 

また条文内に追加された様々な言葉から、例えば「社会的障壁」や「司法手続き」などは2014年に批准した「障害者の権利に関する条約」の条項が反映されていることがわかります。

 

発達障害者の定義において、これまでの「発達障害によって社会生活に制限を受ける」という表現が「発達障害と社会的障壁によって社会生活に制限を受ける」という表現になりました。

 

これはバリアフリーという概念におけるバリア(障壁)には物質的バリアと社会的バリアがあると言われ、そのうちの社会的バリアが社会的障壁のことです。

 

改正の解説では社会的障壁を「障壁となるような事物、制度、慣行、観念、その他一切のもの」としています。つまり、差別や虐待、消費生活における被害などという発達障害児者の生活を困難にする社会的要因をなくしていくよう環境を整備する意図が見えてきます。

 

世間一般における障害のある人を含む人権問題と同じで、発達障害のある人への支援だけの充実では住みやすい地域社会や共生は実現できない、社会を構成する全ての団体や個人が発達障害に対する理解を深め歩み寄る姿勢の必要性を述べています。これはまさに共生する社会を実現しようとする試みです。

 

発達障害者支援地域協議会について

今回の改正で具体策として提案されているのが19条の2に追加された発達障害者支援地域協議会です。

 

この協議会は市区町村の障害児・者福祉関係部署や前述の発達障害者支援センターなどが中心となり、当事者である発達障害児・者とその家族、学識経験者、地域内の医療、福祉、教育、労働などの関係者が集まり、地域内における発達障害児・者の支援について総合的、且つ具体的に話し合う集まりと言えます。

 

このような形態の「地域の関係者」の集まりは既に児童虐待防止対策として組織されている要保護児童対策地域協議会を参考にしていると考えられます。設置義務ではありませんが、多くの市町村では既に発達障害者支援地域協議会を設置・運営しています。

 

切れ目がなく、家族も含めた、身近な場所での支援を実践するための会なのです。

就労に関わる改正点

更に就労の支援についてはそれまで、「就労の機会の確保」と書かれていた部分に加えて「定着」という言葉が足されて、就労の機会の確保の先にある定着を支援することが重要課題であることがわかります。

 

発達障害のある人が就職してもなかなか定着しない現実が見え隠れしていますが、就職すれば終わりではなく、いかに定着を促すか、これこそ「切れ目のない支援」と言えるでしょう。

 

そのために事業主が取り組むべきこととして、発達障害のある人の能力を正当に評価することが求められています。これによって適切な雇用の機会の確保につながり、発達障害の個別な特性に対する理解につながります。そのうえで、適切な雇用管理を行なうことで雇用の安定が図られるように努めなければならないとしています。

 

これは例えば、物忘れが激しいとか、一度に複数の指示をされても理解できない、にぎやかな状況では人の声が聞き取れないなどの傾向がある時、メモを書いて指示をしたり、チェック項目のリストを渡してその順番のとおりにやってください、というように指示の出し方に工夫をする必要があるという内容が今回の改正で盛り込まれたということです。

 

今までも発達障害のある人の働きやすい環境を作るためには、その旨を書いた申し送り書や、その人の特性を理解してもらうためのメモ書きなどがあったらよいというようなことは言われていました。

 

しかし実際に雇用する側(事業主)にはそのような努力が求められることが法律上明確にされたということで、これは発達障害のある就労希望者には画期的なことと言ってもよいでしょう。



改正で学校教育にも変化が

今回の改正では学校教育においても「共生」という点が強調され、「一人も置き去りにしない」「可能な限り発達障害児でない児童と共に授業を受けられるよう配慮」という言葉が盛り込まれています。

 

これを行なうには、学校側や教員、そして共生の対象者である発達障害を持たない児童、その保護者の発達障害への理解と関わり方の知識が必須となってきます。

 

まずは教員がしっかりとした理解と療育的な技術を学んだりする必要があります。そこはやはり各分野の連携によって可能となります。そのあたりの具体的な方策は文部科学省の『障害者活躍推進プラン②発達障害等がある子供達の学びを支える~共生に向けた「学び」の質の向上プラン』に詳しく書かれていますので一度ご覧ください。

 

そして支援の実施に不可欠な計画についても具体的に踏み込んでいて、個別の教育支援計画個別の指導に関する計画の作成を推進するとあります。この二つの違いは前者が学習上の配慮や指導法に関する計画であり、後者は学校生活全般に関する計画です。

 

またやはり共生という視点についても、目標を振りかざすだけではなく、いじめの防止等の対策を推進するとしています。当然、ここにも「家族なども含めた、きめ細かな支援」が意識されていると考えられます。しっかりと発達障害を持たない児童側へのアプローチを提示している点も評価できるのではないでしょうか。

 

社会福祉援助の原則としてよく取り上げられる「バイスティックの7原則」の一つに「個別化」の原則というのがあります。福祉の支援とは本来、その人の人権と個別性を最優先するものですが、ながらく日本の戦後に始まった社会福祉制度は施設主義、集団主義に偏重し個別性への配慮という点では常に欧米に遅れていました。

 

発達障害を含む障害者への支援をきっかけにそのあたりの意識が変わろうとしている、いわば過渡期にようやく辿り着いたと言えるでしょう。これからも一人一人の個性を尊重した制度にしていこうという姿勢が垣間見える改正ではないでしょうか。

 

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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