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移動も社会参加!障害者の自立生活を助ける移動支援はどんなサービス?

更新日:2023年01月27日

「社会参加」という言葉があります。通常心身が健康な状態であれば、意識せずに社会参加ができているため、あまり話題に上がったり、議論される言葉ではありません。この「社会参加」という言葉は、障害のある人や高齢者など自身の力のみで他者同様の社会参加が困難な人たちの権利擁護という側面で使われることが多いようです。社会参加とは、例えば働く、余暇活動を楽しむ、地域社会の集団活動や行事に参加するなどが挙げられますが、”移動する”ことも社会参加の大前提といってよいでしょう。様々な障害により一人で移動することが困難であれば、自由公平な社会参加ができているとは言いがたいでしょう。そこで、当然ながら、障害福祉サービスにも「移動支援」というサービスがあります。今回は障害者の社会参加を支える移動支援について、対象者や条件、内容などを解説していきます。
 

移動支援とは

まず、「移動支援」ですが、これは障害者総合支援法上の、障害のある人の地域生活を支えるため、1人では移動が困難な人に対してガイドヘルパーを派遣し、移動の支援を行うサービスのことです。

具体的には、同サービスは介護系サービスに対する介護給付、自立訓練のためのサービス利用のための訓練等給付、地域生活を支える地域生活支援事業という3つの大枠のうち、地域生活支援事業という市区町村が提供するサービスの一つになります。

「同行援護」「行動援護」との違い

一見して、移動支援と区別がつきにくいのが、「同行援護」と「行動援護」です。枠組みとしては、前述しましたように、移動支援は地域生活支援事業のサービスですが、「同行援護」と「行動援護」は介護給付のサービスとなります。また、「同行援護」と「行動援護」も違う内容のものです。ここではもう少し、具体的に違いを解説していきます。

 

利用申請を行って受給者証を取得すれば誰でも利用できる移動支援に対し、「同行援護」と「行動援護」は、利用が可能な障害種別や障害支援区分に条件があります。

 

同行援護

重度の視覚障害のある方(児童を含む)のみ利用可能。ただし、身体介護が必要かどうかで支援対象の条件が変わる。

 

・同行援護のガイドヘルパーは、移動を行う際の情報保障の役割を担っており、視覚障害の方の移動や介助に特化した研修を受けている。

 

・同行援護の主な支援内容として、移動中の障害物や、代筆・代読など、移動に必要な情報の提供などがある。

 

行動援護

重度の知的障害、精神障害の方を対象としたサービスで、行動上著しい困難のある場合に、本人の危険を回避するための援助や移動の介護を行う

 

・単なる移動の補助にとどまらず、新しい施設や活動を行うまでの移動の手伝いも支援。

また、外出前後に行われる衣服の着脱介助や排泄・食事などの介護も支援内容に含まれる。

 

同行援護や行動援護以外にも介護系のサービスとして「通院等介助」などがあります。これらのサービス利用が決定している場合はすでにこれらに移動に関する支援が含まれているため、移動支援は利用できないことがあります。

移動支援利用のメリット・デメリット

メリット

障害者に家族がいる場合、必然的に移動に関しても家族による介助、付き添いが多くなるが、サービス利用により、支援は障害者の介護や移動支援を専門とする支援者(ガイドヘルパー等)によって行われるため、家族以外の人と関わることや様々な場所へ外出する経験ができることにより、他者との交流や社会参加が促進される。

 

・家族等を介さず負担を掛けないため、障害者の自尊感情を高め、自立した社会参加としての余暇活動が可能となり、外出が楽しみになる。 移動支援は土日祝に稼働することが多く、外出することに慣れていくと週末の楽しみができる。

 

デメリット

障害者総合支援法上のサービスであるため、利用者負担は原則、世帯収入状況による上限付きの1割負担であるが、同行する支援者の交通費、施設を利用する場合の入場料・利用料や、一定額以上の食費(市区町村により異なる)などの実費がかかる。

 

・移動支援を実施する地域によっては利用時間が少ないことがあるため、遠方や長時間、宿泊を伴う活動には利用できない。

 

・申請は市区町村に対して行うものの、サービスの実施は委託事業者のため、事業者自体は選択できても、相性の合わないガイドヘルパーが担当になる場合もある。

移動支援の利用対象者

すべての障害福祉サービスに共通することですが、利用したいサービスがある場合、その対象になるかの審査(介護系サービスの場合は支援区分認定が必要)です。しかし、移動支援の場合は、自治体から発行された受給者証を取得すれば、障害の等級や支援区分にかかわらず利用可能です

 

移動支援は市区町村の地域生活支援事業であり、地域の特性や利用者の状況・要望に合わせて実施されているため、利用対象者の障害種別は地域によって異なります。住んでいる市区町村の自治体の窓口やホームページで対象の障害種別を確認するとよいでしょう。基本的には障害児・者ともに利用可能で、年齢制限はない地域が多いようです。障害児の場合は原則、就学児(小学生以上)からが対象です。

移動支援の方法

移動支援は前述したように地域生活支援事業の一つで、介護や就労支援系のサービスが個別支援であるのに対して、個別支援以外にも一度に複数の障害者を対象とすることができます。目的に応じて柔軟な支援が可能といってもよいでしょう。制度上、移動支援は以下の形態に分類されます。

 

個別支援型

ヘルパーとのマンツーマンによる移動支援で、もっとも利用頻度が高い形態

・移動の際にはバス、電車、タクシーなどの公共交通機関を使用

 

グループ支援型

複数の障害者に同時支援を行う

・目的地が同じである場合や、複数人が同じイベントに参加する場合などに利用

 

車両移送型

福祉バスなど車両の巡回による送迎

・公共施設、駅、福祉センターなど障害のある方も利用する可能性が高い場所を巡回している

・市区町村の裁量によるが、一時的に多くの障害児・者が参加するような行事などがある場合もバスなどを臨時に運行することがある
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支援対象の外出先

次に、支援の対象となる外出の具体的な内容をご紹介します。移動支援は障害の種別や区分に関係なく、市区町村が余暇活動などの社会参加のための外出と、社会生活上必要な外出と認める場合に利用することができます。外出先の制限は各市区町村で異なるため事前の確認が必要となります。

 

制度上は、移動支援の移動の目的は、「社会生活上必要不可欠な外出、社会参加のための外出」となっていて、具体的な取り扱いは市区町村の判断となっています。ただし、原則的に移動の起点か終点は自宅である必要があります。

 

ここでは、対象、対象外の具体例を挙げていきます。

 

対象となる外出先

(例)

・行政機関等にかかわる手続きや選挙の投票、金融機関などへの手続きのための外出

 

・ボランティアや、習い事、美術館・博物館、動物園、テーマパーク、映画館、プール、カラオケ、コンサート会場、散髪や買い物、散歩が目的の外出など、一般的と認められるもの

 

散歩に犬などのペットを伴う場合、利用者本人がペットをさせることにヘルパーが付くことは移動支援、ヘルパーがペットを散歩させる場合は移動支援とならないケースもあります。

 

また、移動を目的する支援であるため、移動先での支援が不要な場合はその時間は補助金の対象の算定外となることがあります。詳細は次項にて解説します。

 

対象外となる外出先

(例)

・通園や通学、通所施設への送迎など、通年かつ長期に渡る外出

 ※ただし、通学ルートを覚えるための訓練や介護者の疾病・入院により一時的に介助が困難となった場合などは一時的に利用することができる自治体もあります。また独自の裁量で大学等での修学に必要な通学と授業中の支援をおこなう市町村もあります。

・通勤や営業活動など経済活動にかかわる外出

・ギャンブルなど社会通念上、公的サービスを利用して外出することが適当でない場合

・政治活動、宗教活動にかかわる外出

・旅行や帰省など宿泊を伴う外出

 

対象となる外出先はおおむねどの市町村でも同じですが、今回対象外となる外出先として挙げているものでも、直接、市町村に問い合わせてみてください。宿泊を伴う外出も市町村により移動支援の対象となる場合もあります。

移動支援の利用時間や費用について

移動支援の利用時間

・1ヶ月に利用できる時間の上限は自治体によって異なります。一日の利用時間は原則として8時間まで。

 

ひと月あたりの上限時間は最高185時間、最低15時間、平均43時間となっており、自治体によって利用時間の幅が大きいため、その都度確認が必要です。

 

詳細は次の資料をご参照ください

厚労省「地域生活支援事業における移動支援事業の実態調査」  https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000130375.pdf

 

・障害種別や年齢ごとに利用時間を設けている自治体もあります

 

移動支援の費用

・原則サービス利用の1割が利用者負担(世帯収入状況による上限付き)となるが、サービス利用料は自治体によって異なるため確認が必要

 

・世帯の収入状況によっては負担がない場合もあります。

※生活保護受給世帯、市町村民税非課税世帯は自己負担額は0円

 

・本人とヘルパーの交通費や、美術館・博物館などに行った場合の入場料など外出の際にかかる費用は利用者の実費負担となるため注意が必要

※自治体によってはヘルパーの食事代も利用者負担、もしくは一定額以上を利用者負担とするケースもある

 

支援を必要としない時間は支援時間に算出されない

移動支援の支援者(ヘルパー)が支援時間中に待機状態になるようなケースでは事業者が支援時間に算定しない場合があり、その時間は月の総支援時間から引かれることはありません。

 

例えば、理容室で散髪をするために移動支援を利用したが、散髪中は支援を必要としなかったケースなどが考えられますが、これについても市町村で取扱いが違うので必ず確認してください。

 

他の自治体に転出時は同じサービス内容ではない可能性がある

自治体により月の利用時間や外出の対象が違うということはこれまでご紹介したとおりですが、それはつまり違う自治体に転出したとき、良くも悪くも、今までの自治体とは時間数や対象外出が違ってくるということですので、注意が必要です。

移動支援の申請方法・利用までの流れ

最後に、移動支援の申請から利用開始までの手続きや流れについて説明します。

 

1.申請

住んでいる自治体の障害福祉課窓口に「移動支援事業 サービス支給申請書」を提出。「どこかに出かけたい」という申請ではなく、「移動支援」というサービスの利用申請です。

 

2.支給決定通知書と受給者証が郵送される

市区町村に申請書類が受理され、サービスを受けることが適当だと判断されると、障害福祉課から「支給決定通知書」と「受給者証」が郵送されます。

※自治体によって異なるが、受理から支給決定の通知まで大体1ヶ月程度かかります

 

3.事業所と契約

・移動支援のサービスを提供している事業所と契約を行います

※移動支援を行っている事業所の一覧は市区町村の窓口やホームページで確認が可能です

・各事業所の雰囲気やスタッフの様子を把握したい場合は実際に足を運んで見学することが推奨されます

・取り扱う障害種別も事業所によって異なるため、事前に調べておくとよいでしょう

・契約の際には「支給決定通知書」と「受給者証」を忘れずに持参するようにしましょう

 

4.利用開始

まとめ 

移動支援は障害者総合支援法に規定される地域生活支援事業の一つで、障害を持つ方が

「社会生活上必要不可欠な外出、社会参加のための外出」をすると判断された場合、このサービスを利用できます。なにが必要でなにが不必要な外出かは、この記事を参考かつ、お住いの市町村に問い合わせたうえで利用しましょう。自治体の裁量性と地域特性が強いサービスであることを覚えておきましょう。

 

この移動支援だけでなく、地域生活支援事業は自治体によりサービス内容、時間数や対象が違うことがあり、サービスの公平性という面で今後の課題となる部分もありますが、障害を持つ方の地域生活や社会参加に不可欠なサービスであることは間違いありません。

比較的、利用のハードルが低いサービスでもありますので、積極的に利用し、ご自身の人生を豊かにする一助とされてはいかがでしょうか。

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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