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精神障害の方が安心して働くために必要な家族や職場の支援

更新日:2022年10月20日

障害者雇用促進法の改正によって、平成30年4月1日から障害者雇用義務の対象に精神障害者が加わったことで、精神障害者の雇用が増えています。しかし、精神障害者を採用する企業からは、「どのように接したら良いのかわからない」や「コミュニケーションがうまく取れない」といった不安の声があります。本記事では精神障害を持つ方が、安心して働くために必要な家族や職場の配慮について解説します。

精神障害の特徴

 

精神障害は、精神疾患によって精神の機能に障害を生じて、日常生活や社会生活が困難になる状態のことを指します。適切な治療を継続的に受けることで症状はかなり安定しますが、精神障害に対する正しい知識が十分に広がっていないことから、誤解や差別、偏見の対象となりやすく、就労など社会参加が妨げられがちです。

 

厚生労働省の患者数調査によると精神障害で外来、入院している方は平成29年度で約420万人いると言われていて、決して珍しい病気ではありません。また、多くの精神障害は環境やストレスなどさまざまな要因が関係して発症することが多く、中途から障害となることが多く見られます。つまり、精神障害(精神疾患)は誰でもかかる可能性のある病気と言えます。

精神障害の種類

精神障害は、症状によって次のような種類に分けられます。

 

気分障害

高揚したり落ち込んだりする気分の波が大きく現れる病気です。気分が落ち込むうつ状態のみが認められる時には「うつ病」と呼び、うつ状態と気分が高揚する躁状態を繰り返す場合には、 双極性障害(躁うつ病)と呼びます。

 

統合失調症

発症の原因はよくわかっていませんが、100人に1人弱はかかる一般的な病気です。特徴的な陽性症状としては「幻覚」や「妄想」がありますが、「疲れやすく集中力が保てない」や「相手の話の内容が理解できず周囲に合わせられない」など、生活しづらいさまざまな障害が現れます。

 

パニック障害

突然、動悸やめまい、発汗、吐き気、手足の震えといった発作(パニック発作)を起こして、発作のために生活に支障が出ている状態をパニック障害と呼びます。はじめはパニック発作だけですが、発作を繰り返すうちに発作のない時にも、予期不安などの症状が現れるようになります。

 

依存症

代表的な依存の対象には、アルコールや薬物、ギャンブルなどがあります。過度な依存状態で、その行為を繰り返さないと満足できなくなり自らの力では止めることができなくなった結果、心身に障害が生じたり家庭生活や社会生活に大きな影響を受けます。

 

てんかん

何らかの原因により、一時的に脳の一部が過剰に興奮して発作が起きます。発作には、けいれんを伴うもの、突然意識を失うもの、意識はあるが認知の変化を伴うものなど、さまざまなタイプのものがあります。

精神障害のある方との接し方・コミュニケーション

 

前述の通り、精神障害のある方の社会参加を妨げているのは、精神障害についての正しい知識が十分に普及しておらず、周囲の方からの誤解や差別、偏見があるからです。精神障害のある方と接したりコミュニケーションを取るには、まず精神障害について正しい知識を学ぶことが大切です。

 

精神障害のある方と接する際の基本

職場で精神障害のある方と接する際には、「病気を抱えながらも仕事をしている」ことへの上司や同僚の理解が必要です。そして病気に配慮しながらも偏見や差別などを持たず、普通に接することが大切です。

 

精神障害のある方の中には、他人とのコミュニケーションが苦手な人が多くいます。緊張で挨拶を返せないこともありますが、まずは周囲の人から挨拶するようにしましょう。挨拶以外の「体調はどうですか?」や「疲れたら少し休んでください」といった声かけも、精神の安定や働きやすさにつながります。

 

精神障害のある方が、心を安定させて職場で働くには、困っていることがある時に相談しやすい雰囲気を作ることが大切です。もし困っていそうなら「何か困っていることある?」などと声をかけてみましょう。困っていないと本人が言っても、次のような変化が見られる場合には、休養や支援を必要としているサインです。

・仕事の効率低下やミスが多くなる

・遅刻、早退、欠勤が増える

・言葉数が少なくなったり、苛立ちが見られる

・原因不明の体調不良がある

 

気分障害のある方への配慮のポイント

家族や職場の人など、周囲が病気について理解することが大切です。

・気分障害は薬物療法が主な治療となるため、決められた時間に薬を内服できるように配慮します。

・うつ状態の時は無理をさせず、しっかりと休養をとれるよう配慮します。

・一方で、躁状態の時は、金銭の管理や安全の管理などに気をつけて、対応が難しい時には専門家に相談しましょう。

 

統合失調症のある方への配慮のポイント

・統合失調症は脳の病気です。病気について正しい知識を学びましょう。

・統合失調症は薬物療法が主な治療となります。内服を続けるための配慮が必要です。

・統合失調症のある方は、環境の変化やストレスに対して弱いことを理解して配慮します。

・一度にたくさんの情報が入ると混乱するので、情報を伝える際には紙に書くなどして、整理してゆっくり具体的に伝えるようにしましょう。

・症状が重い時には無理をさせずに、休養をとらせたり、主治医を受診するなどを促します。

 

てんかんを持つ方への配慮のポイント

・てんかんの発作が起こっていないほとんどの時間は、普通の社会生活が可能です。発作がコントロールされている場合には、過剰に活動を制限する必要はありません。

・てんかんは、薬を適切に飲み続けることが重要なので、服薬や通院ができるように配慮しましょう。また、発作を起こした場合には、本人の安全を確保した上で専門機関に相談します。

困ったときの相談先

精神障害のある方などの採用や雇用で困った時には、以下の機関に相談してみましょう。

 

ハローワーク(公共職業安定所)

ハローワークは、障害者と障害者を雇用する事業主の双方をサポートする機関です。専門の職員や相談員が配置されていて、事業主へは職場の定着指導などの支援を関係機関と連携して行っています。

 

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、障害のある方に専門的な職業リハビリテーションを行っている機関です。また、事業主に対しては障害者雇用に関する相談や援助、地域の関係機関に対する助言や援助を行います。

 

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、ハローワークや就労移行支援事業所、障害者就労支援センター、障害者職業センターなどの関係機関と連携しながら、障害のある方の就業面と生活面の支援を一体的に行う機関です。また事業主からの相談にも応じています。

atGPについて

「atPG(アットジーピー)」は、障害者のための就労移行支援サービスです。「atGPジョブトレ」は、「統合失調症コース」や「うつ病コース」など、5つのコースがあり障害の特性に合わせた、職業トレーニングを行います。

 

また就職支援だけで終わらず、ご希望の場合には就職後も最大3年半、働き続けるための「職場定着サポート」も行っています。初めて精神障害のある方を採用する際にも、安心の手厚いサポートを用意しています。

 

まとめ

精神障害には、気分障害や統合失調症、パニック障害、てんかん、依存症などいろいろな種類があり、それぞれ配慮するポイントが異なります。しかし、大切なことは同じ職場の方達が誤解や偏見、差別などを持たないように、精神障害について学ぶことが大切です。

 

精神障害は中途から障害になることが多く、日本には約30人に1人の割合で精神障害者がいると言われており決して珍しい病気ではありません。これから精神障害のある方を採用する企業や、従業員が精神障害にかかって対応がわからないといった場合には、ハローワークや地域障害者職業センターなどの関係機関や、就労移行支援サービスなどに相談してみましょう。

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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