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摂食障害ってなに?摂食障害について知り、向いている仕事を探そう

更新日:2020年12月28日

皆さんは摂食障害についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?食べ物を大量に食べては吐く、非常にやせた体系であるなど摂食障害について少しでもご存知の方はこのようなイメージをお持ちではないかと思います。では、摂食障害を患っている方は仕事に就くことができないかというとそのようなことはありません。仕事や会社の傾向を良く調べることで、向いている仕事や会社、そして働き方というものがあります。ここでは摂食障害とはなにかということを解説するとともに、摂食障害の方が働きやすい仕事などについて詳しく解説していきます。

摂食障害とは

摂食障害には食事をほとんど摂らなくなってしまう神経性やせ症と、極端に大量の食べ物を食べてしまう神経性過食症の二種類があります。
多少の過食や拒食は、強いストレスを受けることにより多くの人が体験したことがあると思います。

このような食行動の異常が過度な状態になると、体重が極端に減少しても拒食が止まらず食べ物が食べられない、あるいは過食を続けてしまい体重増加への恐怖から食べたものを吐き戻してしまうなどの状態になってしまうことがあります。また過食を行った場合に、下剤や利尿剤を使用して体重の増加を避けようとすることもあります。

このような状態を、治療を必要とする摂食障害といいます。

 

摂食障害が現れるのは、背景に太りたくないという体重への極端なこだわりなどがあります。摂食障害は特に10代から20代の若い女性に多く、その理由は「やせている女性が美しい」といった社会的価値観も影響しています。摂食障害は10代のうちに発症する人が多く、神経性やせ症は10代の女性に、神経性過食症は20代の女性に現れ摂食障害の患者のうち約90%は女性です。

近年では男性の摂食障害患者も増えてきているという現状があります。
摂食障害は、単純なダイエットの失敗とは全く異なるもので、そのまま放っておくと生命を脅かす状態になるおそれもある恐ろしい病気です。特に神経性やせ症の場合には、標準体重の60%以下になってしまった場合低栄養による腎不全や体内の電解質異常による不整脈、結核などの感染症への罹患などの重い合併症を引き起こす恐れがあります。また神経性やせ症、神経性過食症の両方に言えることですがアルコールや薬物への依存、抑うつ、人格障害などの精神疾患を合併しやすく、万引きや性的に奔放になる、自傷行為を行う、自殺を図るなどの衝動的な行動が多くなることもあります。

摂食障害の種類

摂食障害には、神経性やせ症と神経性過食症の二種類があります。
ここではその二種類の摂食障害の原因と症状、回復するためにできることについて解説していきます。

 

1.神経性やせ症

神経性やせ症の原因と症状、回復するためにできることには以下のようなことがあります。

 

原因と症状

神経性やせ症の原因は、ひとつではありません。
ダイエットに成功して周囲の人に褒められたり、逆に体系について太っているなどの言葉で馬鹿にされたりして傷ついたりといった心理的要因、やせている人が美しいといった西洋的な価値観を重視しすぎる文化社会的要因、遺伝要素や脳機能の変化による生物学的要因が複雑に絡み合って発症すると言われています。

 

現代は飽食の時代と言われていますが、このような時代の中で相反するやせ願望と肥満蔑視に加えて、文化的要因として女性の社会進出が挙げられています。

 

また、神経性やせ症を患う人の性格は完璧主義、内向的、脅迫的、良心的などの場合が多く、それ以外に自立や自己葛藤、低い自尊心、身体像の障害、不適切な学習、認知のゆがみ、家族間の問題、偏った養育態度なども関連があると言われています。
神経性やせ症の症状としては、正常値の下限を下回る体重であり、成人ではBMIが15未満になると最重度と診断されます。

 

やせているのに活動が活発であることも症状のひとつですが、やせていくに伴って筋力の低下や疲労感を感じるようになります。低血圧、心拍数の低下、低体温、女性の場合には生理が無くなる、便秘、下肢のむくみ、背中の濃い産毛、皮膚の乾燥、手のひらや足の裏が黄色くなるといった身体的な変化も見られるようになります。

過食や嘔吐がある場合には、唾液腺の腫れや手に吐きだこができることもあります。
血液検査を行うと、脱水、貧血や白血球の減少、肝機能異常、低たんぱく血症、高コレステロール血症などが見られます。嘔吐や下剤を多用することにより、電解質異常を来すこともあります。さらに骨粗鬆症や腎機能障害が見られることもあり、神経性やせ型が長く続くと、脳の委縮も見られるようになります。

精神面での症状としては、うつ状態や不安、こだわりが強くなります。
やせることで精神的には満足感を得ることができるようになりますが、根底にある自尊心の低下はなくなりません。このようにやせていても本人はまだやせる必要があると思っているため、周囲の人たちが心配しても聞く耳を持たないことがほとんどです。周囲の人たちとの関係の悪化がしばしば見られます。また、やせていくことにより体力が低下するため、学業や仕事の能率の低下が見られるようになり、日常生活に支障をきたすようになります。

 

回復するためにできること

神経性やせ症から回復するためには、専門医の治療を受けることが重要です。
治療の内容は、身体面での治療とともに偏った心理状態に専門的にアプローチすることが重要です。精神的やせ症の治療は一般的な心療内科や精神科では困難であるため、摂食障害の治療を専門とする医師の治療を受けることが望ましいとされています。

 

食行動の改善、体重増加や女性の場合は生理の再開などそれに伴う身体面の改善、心の偏った考え方の改善、職場や学校などで過ごしやすくなることなどを目標として治療を行います。

 

治療の一環として向精神薬を用いた薬物療法を行うこともありますが、それだけで神経性やせ症を改善させることは非常に困難です。認知行動療法や家族療法も併せて行われます。
「もっとやせなければいけない」と思っている神経性やせ症の人が多いため、自主的に病院を受診する人が少ない点がこの病気の特徴ですが、放っておくと心身に重大な症状が出て、日常生活が困難になることも少なくないため、思い切って受診することをお勧めします。

 

神経性やせ症の人は、「食べたいと思っていても太るのが怖い」、「体重を増やさないといけないことは分かっているけど、太って醜くなるのが怖い」といった考えを持っている人が多いため、主治医とよく相談しながら治療を進めて行くようにしましょう。

毎回決まったペースで受診をし、時には入院が必要な場合もありますが、三食きちんとバランスのとれた食事を摂っても急激に体重が増加することはないと実感することで、食事や体重についての偏った考え方を徐々に変化させていくようにしましょう。身体に必要な栄養を十分に摂取することで、考え方の改善が見られることも少なくありません。

一般的にはまず外来による治療を行いますが、低体重や体力の低下が著しい場合、体重の急激な減少が見られる場合には、本人と家族の同意のうえで入院治療が行われます。症状がなくても入院治療をすすめられることもあるため、主治医とよく相談して治療方針を決めていくと良いでしょう。

 

 

2.神経性過食症

神経性過食症の原因と症状、回復するためにできることには以下のようなことがあります。

 

原因と症状

神経性過食症の原因には、心の根本に太るのが怖いという肥満に対する恐怖感があることが挙げられます。それほど太っていない人や、むしろやせ型の人、十分に魅力的な体系をしている人にこの神経性過食症が見られることが多い点が特徴です。

体型に関わることなく、周囲から見ればうらやむような美貌や能力を持ち、一流の職に就いていて、または幸せな家庭を持ちながらもこの病気を抱えている人は多くいます。やせたいと思ったり、太りたくないと思ったりする女性は非常に多く、ダイエットに励む人は少なくありません。

 

やせるという目標を持ちながらダイエットに励んでも、本能的な食欲に勝てずに挫折したことがある方も多くいることと思います。ダイエットに挫折した方が、全て摂食障害になるわけではありません。

 

神経性過食症になりやすい方の特徴としては、完璧主義、社会的価値観や他人の価値観に左右されやすい、ストレスに弱い、自分の感情に鈍い、自分より周囲との調和や他人を優先する、必要以上に努力家であるといったものがあります。

 

また、脳の性質として過食や過食嘔吐になりやすい人もいると考えられています。
神経性過食症になりやすい方のそれ以外の特徴としては、生育環境に問題があったり、過去のつらい経験を抱えていたりすることもあります。元来の性格が原因となっている場合もあります。

 

神経性過食症の症状の特徴は、大量の食べ物を詰め込むように一気に食べてしまうというものです。この症状を英語のbinge eatingを訳して「むちゃ食い」ということもあります。
この症状は自分の意思で止めることはできず、コントロールできないケースがほとんどです。

また、「むちゃ食い」をした後に吐いたり下剤を使ったりするなどして体重を増やさないための行動が見られることもあります。この行動の中には、絶食や摂食も含まれます。嘔吐を続けると唾液腺の腫れや、歯の表面が胃酸で溶けるなどの症状が見られることもあります。
嘔吐や下剤を利用することによっておこる下痢によってカリウムが失われ、不整脈が出ることもあるため、体重は正常でも血液検査や心電図検査が必要になります。

 

回復するためにできること

治療の軸には、過食嘔吐を減らす、うつや自信のなさを改善する、職場での生活を助けるといったものがあります。本人は過食を止めたいと思っていても、過食以外がほとんど絶食の状態では過食を止めることは非常に困難です。

治療の初期段階では「過食を無くす」ことよりも、食事の規則性やコントロール感を取り戻すことを目標とします。毎日の生活パターンを把握し、目標とする生活のリズムを決定し、そのうえで薬物療法や認知行動療法などの心理療法を行います。

薬物治療としては、SSRIなどの抗うつ剤に過食嘔吐を減らす効果があると言われていますが、薬物療法のみでの完治は難しいと言われています。神経性過食症には認知行動療法も効果があり、神経性過食症の症状や背景にある気持ちを本人が記録し、それを検討しながら症状コントロールについて考えていくことで症状の改善に繋がります。

職場が働きやすい環境か確認すべきポイント

摂食障害を抱えながら働く場合には、その職場が摂食障害を抱えながらでも働きやすい職場であるかどうかを見極める必要があります。

時短勤務が可能かどうか

摂食障害を抱えている方の中には、低栄養状態や血液中のカリウムや電解質のバランスが崩れている方が少なくありません。このような人は、他の健康な方に比べて疲れやすかったり不整脈があったりといった症状が見られます。

 

フルタイムで働くことにより疲労が蓄積し、職場で長期にわたり安定して仕事をすることが難しくなってしまいます。きちんと治療を行い、心身の健康を取り戻すまでは時短勤務を行うことが望ましいでしょう。

 

摂食障害の症状がぶり返してしまうことも考えられます。
それ以外にも定期的な通院の必要がある方もいるため、時短勤務が可能な職場を探すことをお勧めします。

 

飲み会などへの参加が強制されないかどうか

摂食障害の方は、神経性やせ症・神経性過食症のどちらの場合でも職場で「食べる」という行為をすることに非常に大きな困難を抱えています。特に昼食会と飲み会は、大きな困難となることが多くなります。

摂食障害の方にとっては、決まった時間に決まったものを食べるということが大きな安心に繋がります。また、他の方と同じテーブルについて食事をすることにも大きな困難を感じている摂食障害の方も少なくありません。

 

昼食などを一人で食べていても放っておいてくれるよう配慮してもらったり、飲み会などへの参加を免除してもらえるような職場を選ぶと良いでしょう。

 

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病状は会社に伝えておくべき?

摂食障害を抱えている方は、その病気のことを会社側に伝えておくべきなのでしょうか。
ここでは会社に話して良かったこと、不都合が出たこと、話さなかったことにより不都合が生じたことに関する事例を挙げていきます。

 

 

会社に話して良かったこと

1.自分が病気であることを周囲の方に理解してもらうことができたため、無理をしないよう周囲の方に配慮してもらうことができた

 

2.食事会や飲み会を断りやすくなり、昼食を一人で摂っていても周囲の方から奇異な目で見られることがなくなった。

 

3.摂食障害であることをオープンにしたら、食べることに対する配慮をしてもらうことができ、それ以外の点では健康な方と同様に扱ってもらえるようになった。

 

会社に話して不都合が出たこと

1.周囲の方の理解を得ることができずに、「食べずに済むなんてうらやましい」、「やせていてうらやましい」などの言葉を掛けられて気分が落ち込んでしまった。

 

2.「自己管理ができない人」というレッテルを貼られてしまい、そのような人には仕事を任せられないと言われた。実際に仕事も任せてもらえなくなった。

 

3.摂食障害であることをオープンにしたら、周囲の方がどう対応したらよいのか分からず戸惑ってしまい、腫れ物に触るような扱いを受けてしまった。その結果自分の存在を否定的に考えてしまうようになった。

 

話さないことにより生じた不都合

1.摂食障害のことをオープンにしていないため、体調が思わしくない場合でも体調不良の原因を伝えられなかった

 

2.摂食障害をオープンにしないことでいつも隠し事をしているような気分になり、いつもびくびくした気持ちになった。ただの怠け者だと思われている気がして不安感が増した。

 

3.カロリーが気になったり、食べたくないメニューがあったりするので、同僚からのランチなどの誘いを断りがちになり、周囲とのコミュニケーションが上手くとれなくなってしまった。

まとめ

ここまで摂食障害の種類とその症状、回復するためにできること、仕事を始める際に働きやすい職場を見極めるポイント、摂食障害の病状を会社側に伝えるかどうかといった点について解説してきました。

摂食障害には二つのパターンがありますが、どちらも低栄養や低体重、血液中のカリウムや電解質のバランスの崩れにより、身体的にもダメージを与えてしまう病気です。食べることに対して非常に大きなこだわりを持つため、職場での昼食会や飲み会に出席できなかったり、小さなことでは仕事中に配られるお菓子ですら食べられないという不便さに悩まされる病気です。

摂食障害について会社側に理解してもらうためには、ただ単に摂食障害であることを伝えるだけではなく、具体的にどのような配慮をして欲しいかを伝える必要があります。
働きやすい会社に入社し仕事に就くことで自己肯定感が高まり、摂食障害の症状がある程度落ち着くこともあります。

 

摂食障害は、基本的に10代から20代の、特に女性に多い病気です。慢性化してしまうと社会参加の機会を得られないまま30代、40代を迎えることになり、ますます社会参加に困難やストレスを感じることになりかねません。摂食障害の治療を行うと同時に、ごく短時間のアルバイトからなど、少しずつで構わないので、社会参加の経験、就労経験を持つようにしていくとよいでしょう。

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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