学習障害/限局性学習症(LD/SLD)の診断基準とテストについて
更新日:2025年12月19日

「長い文章を読むのが苦手」「簡単な漢字なのに何度も間違ってしまう」「足し算や引き算ができなくて仕事に詰まる」などで、職場で困っている方もいるのではないでしょうか?それは学習障害が原因かもしれません。学習障害は、読み・書き・計算などの特定分野だけに苦手や困難を感じる障害です。この記事では、学習障害の診断基準や受診する前のチェックリスト、職場での対応策などについて紹介します。
目次
学習障害(LD・SLD)と種類
学習障害とは、発達障害のひとつで知的発達に遅れはないものの、読む・書く・聞く・話す・計算する・推論するといった能力のうち、特定のものについて習得するのが難しかったり、うまく能力を発揮できなかったりすることで、学習面で困難に直面している状態を指します。
以前は、「LD(学習障害)」という診断名が広く使われていましたが、近年は「SLD(限局性学習症)」と表現されることが多くなっています。
学習障害/限局性学習症(LD/SLD)には、次のようなタイプがあります。
読字障害(ディスレクシア)
「読字障害(ディスレクシア)」は、文字の読み書きに困難が見られる学習障害/限局性学習症(LD/SLD)です。個人差はありますが主な症状は「文字の読み方がわからない」タイプと「文字の形がわからない」タイプの2つに分けられます。
書字障害(ディスグラフィア)
「書字障害(ディスグラフィア)」は、文字を書くことに困難がある学習障害/限局性学習症(LD/SLD)です。主な特徴には、書く文字が判読できない、 書く文字がマス目や行からはみ出す、 鏡文字を書くなど正しい文字が書けないなどがあります。
算数障害(ディスカリキュリア)
「算数障害(ディスカリキュリア)」は、計算や推論に困難が見られる学習障害/限局性学習症(LD/SLD)です。主な症状には、簡単な計算問題が解けない、九九が覚えられない、図形が理解できない、文章問題で何を問われているのか分からないなどがあります。
学習障害(LD・SLD)の診断基準
学習障害/限局性学習症(LD/SLD)は前述の通り、読字障害・書字障害・算数障害の3つに分けられます。診断は、アメリカ精神医学会が発行している精神疾患の診断・統計マニュアル「DSM-5」に基づいて行われます。
DSM-5の「SLD(限局性学習症)」の診断基準
(出典:医学書院 DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル)
学習障害の診断を受けられる場所
学習障害/限局性学習症(LD/SLD)の疑いがある場合、子どもは小児科や児童精神科、大人は精神科や心療内科を受診します。ただし、すべての医療機関が対応しているわけではありません。まずは発達障害者支援センターや市区町村の福祉課など地域の相談機関で相談しましょう。対応できる医療機関のリストを持っている可能性があります。
また、発達障害者支援センターなどに相談することで、学習方法の工夫などさまざまな支援の情報を得ることができます。
学習障害(LD・SLD)のチェックリスト
医療機関を受診する前に、チェックリストによって学習障害/限局性学習症(LD/SLD)の症状を確認することができます。ただし、チェックリストはあくまで参考です。該当する項目が多い場合は、発達障害者支援センターなど地域の相談機関に相談しましょう。
読字障害(ディスレクシア)のチェックリスト

書字障害(ディスグラフィア)のチェックリスト

算数障害(ディスカリキュリア)のチェックリスト

学習障害(LD・SLD)のある方の職場での対処法
ここでは学習障害/限局性学習症(LD/SLD)の方が、職場で長く働くための対処法について紹介します。
自分の特性を理解する
自分について理解していないと、それに対する対策を考えることができません。まずは、自分の障害特性を把握して、学習障害/限局性学習症(LD/SLD)のために苦手なことや困難なことを理解することが重要です。
苦手なことが明確であれば、苦手を克服するための工夫をしたり、苦手な仕事がない職場を選ぶなどミスマッチを防ぐこともできます。
周りに助けてもらう
職場においては、周りの人に助けてもらうことも大切です。上司や同僚に自分の特性や苦手なことを伝えて、業務内容などに配慮してもらえるようお願いしてみましょう。
書類の重要な部分にマーカーを引いてもらう、わかりやすく箇条書きにしてもらう、チェックリストを作成してもらうなど、職場の人に具体的な配慮をお願いすることで仕事のミスを減らすことができます。
苦手なことはツールに頼る
学習障害/限局性学習症(LD/SLD)の方が苦手な部分は、パソコンやスマートフォンのソフトやアプリでカバーできる場合があります。
書字障害で文字や文章を書くのが苦手な人は、文章読み上げソフトを活用したり、算数障害で計算が苦手な人は、計算ソフトやアプリを活用することで、業務の負担を減らすことができます。
障害者雇用枠で働くことを検討する
学習障害/限局性学習症(LD/SLD)の方が、長く働くためには障害者雇用枠で就職転職するという選択肢もあります。障害者雇用枠とは、障害者雇用促進法で定められた障害者を対象とした採用枠です。障害者雇用枠であれば、合理的配慮を受けやすくなります。
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まとめ
この記事では学習障害/限局性学習症(LD/SLD)のチェックリストを紹介しました。しかし、チェックリストはあくまでも参考です。
該当する項目がたくさんあり、学習障害/限局性学習症(LD/SLD)の疑いがある場合は、まずは発達障害者支援センターや市区町村の福祉課など地域の相談機関で相談しましょう。その上で専門の医療機関を受診して、適切な診断を受けることが大切です。






