思い込みが激しい時に考えられる病気|思い込みの原因と対処法
更新日:2025年10月23日
「自分は正しいと思っているのに他の人から否定される」「周囲の人と意見が合わないことよくある」などで悩んでいる方は、あなたの思い込みに原因があるのかもしれません。思い込みが激しすぎると、仕事や人間関係で大きなトラブルになることがあります。本記事では、思い込みが激しい時の原因や対処法などについて解説します。
目次
思い込みが激しい人とは?
「思い込み」とは、ある事に対して信じて疑わないことを指します。思い込みが激しい人は、客観的な根拠がないにもかかわらず、自分の考えを信じ込んでしまい、事実や他の人の意見を全く受け入れることができません。
自分の考えに固執してしまうため、周囲からのアドバイスや指摘を受け入れることができず、結果として間違った判断を修正できず、大きなトラブルを引き起こすこともあります。
また、思い込みが激しい場合には、自分が否定されたり攻撃されていると受け止めてしまい、人間関係や日常生活に支障をきたす場合もあります。
思い込みが激しくなる原因
思い込みが激しくなる原因には、どのようなものがあるのでしょうか。
経験不足または過去の経験に縛られている
人はいろいろな経験をすることで、そこから学んで思考の幅が広がります。論理的な思考や客観的に分析する力は、経験を通じて養われます。経験不足の人は、どうしても思考や視野が狭いため、それが思い込みの原因となることがあります。
一方で経験を重視しすぎると、思考が偏ってしまう場合があります。特に、大きな成功体験をした人は、こうすればできるはずと思い込んでしまって柔軟な思考ができなくなる可能性があります。逆に過去に大きな失敗をしてしまった人は、新たな発想をしたり行動を起こすことに対して、不安や恐怖を感じることがあります。
心理的要因や環境要因
性格が原因で、思い込みが激しい状態になることもあります。例えば、プライドが高くて他の人の意見を受け入れられない人も、周囲からは思い込みが強いと思われることがあります。
極端にポジティブな思考を持つ人も、周囲がどのようなアドバイスをしても「自分が正しい」と考えるため、場合によっては思い込みが激しい状態になってしまうことがあります。反対にネガティブ過ぎる人も、何事もネガティブな結果に結び付けて、冷静な判断ができなくなることから、思い込みが激しい状態と言えるでしょう。
また、親が一方的に意見を押し付ける家庭で育ったり、交友関係が極端に狭い環境で育った場合も、視野が狭く柔軟な思考ができないため、思い込みが激しくなる可能性があります。
病気や障害
経験や性格、環境だけでなく、病気や障害が思い込みに影響を与えている可能性もあります。例えば「妄想性障害」は、強い思い込み(妄想)が継続して現れて、日常生活に支障をきたす病気です。
思い込みが激しい時に考えられる病気は?
思い込みが激しい時の原因として、次のような病気や障害の可能性があります。
妄想性障害による思い込み
「妄想性障害」は、強い妄想に囚われる精神疾患です。医学的に妄想とは、「根拠が無いこと」を「強固に確信」して「訂正できない」状態を指します。「妄想性障害」は、この妄想が長く続くのが特徴です。
「妄想性障害」は、妄想の内容によって次のように分類されています。
・被愛型
ある人が自分に対して好意を持っていると思い込みます。
・誇大型
自分には卓越した才能がある、重大な発見をしたなどと思い込みます。
・嫉妬型
配偶者や恋人が浮気をしていると信じこみます。
・被害型
自分に対して誰かが陰謀を企てている、見張られている、中傷されている、嫌がらせをされているなどと思い込みます。
・身体型
自分の体に変形が起きている、体臭がするなど身体の機能や感覚にとらわれます。
「妄想性障害」の原因については、はっきりと分かっていませんが「遺伝的要因」「生物学的要因」「環境的要因」「心理的要因」が発症に関連していると考えられています。
ADHDを含む発達障害による思い込み
「ADHD(注意欠如・多動症)」は、注意欠如や多動性、衝動性といった特性を持っています。これらの特性が、強い思い込みにつながることがあります。「ADHD」の方は、注意を持続させることが難しく、情報を瞬間的に捉えがちです。そのため一部の情報に固執しやすくなります。
また、「ASD(自閉症スペクトラム症)」の方も、特定の状況や情報に対して、思い込みが強く修正ができない特性があります。「ADHD」や「ASD」といった発達障害の方が、強い思い込みを持ちやすいのは、脳の特性によるもので、物事の考え方が偏ってしまうのが原因と考えられています。
統合失調症による思い込み
「統合失調症」は、心や考えなどがまとまりを欠いた状態になる病気で、100人に1人ぐらいの割合でかかると言われています。発症する原因は、はっきりと分かっていませんが、遺伝的な要因や環境的な要因などが、いくつも重なって発症につながると考えられています。
「統合失調症」の症状は、普段ないものが現れてくる「陽性症状」と普段あったものがなくなってしまう「陰性症状」、記憶障害や注意力の低下などが現れる「認知機能障害」の3つに大きく分けられます。「陽性症状」の主な症状には、妄想・幻覚・思考障害があります。
「統合失調症」が原因の妄想には、何でも自分に関係があると思い込む、周囲の人が自分を陥れようとしていると思い込む、見張られていると思い込むなど、さまざまケースがあります。
思い込みが激しいときの対処法
激しい思い込みの原因が、前章で説明したような病気や障害であれば、専門医に相談してみましょう。病気や障害が原因で無い場合には、次のような対処法で改善できる可能性があります。
客観的に自分と向き合う
まずは、客観的に自分と向き合って「自分の思い込みの強さ」を自覚することが大切です。自覚しないままでは、自分の考えが正しいと思い込んで、間違った判断をしてしまう状況を改善できません。
思い込みが強い方は、他の人から「思い込みの強さ」を指摘されても受け入れるのが難しいかと思います。仕事や人間関係でトラブルが起きた際には、自分の思い込みが原因かもしれないと振り返ってみましょう。
事実と自分の憶測を分けて捉える
思い込みを減らすには、「事実」と「自分の憶測」とを整理して考える習慣をつけると効果的です。例えば「会社の同僚に嫌われている」と感じた場合、本当に嫌われていると思えるような客観的な事実があるかどうか冷静に考えてみましょう。
無い場合には、なぜ嫌われていると感じたか理由を挙げてみて、それが本当に嫌われていることを証明できるのか改めて考えてみましょう。このように「事実」と「自分の憶測」を整理することで冷静に判断できるようになります。なお、整理する際には、ノートなどに書き出すと客観的に考えることができます。
認知行動療法を取り入れる
「認知行動療法」とは、物事の考え方や行動に働きかけて困りごとを解決する心理療法です。「認知行動療法」では、問題の原因となっている「思い込み」や「認知の歪み」を特定して、修正することで問題の解決を目指します。
「認知行動療法」は、精神科や心療内科などの医療機関や民間のカウンセリングルームで受けることができます。1回あたり30分〜1時間程度、頻度は週1回~隔週のことが多く、治療期間は一般的に3か月から1年程度とされています。
「認知行動療法」にはさまざま技法がありますが、自分一人でも実践できるものもあります。代表的なトレーニングを紹介します。
・行動活性化
思い切って行動パターンを変えて、気分が上がる行動をとってみる
・認知再構築法(コラム法)
自分を苦しめている考え方を振り返り、別の考え方を取り入れてみる
実践には「コラム法」というワークシートを使って自分の考えや感情を書き出します。「コラム法」には、「3コラム法」「5コラム法」「7コラム法」の3つの種類があり、例えば「3コラム法」では、感情が揺れ動いた時に「出来事」「感情」「思考」をそれぞれ別のコラムに書き出すことで、自分の感情や思考パターンを客観的に見つめ直します。
・リラクセーション
呼吸法や自律訓練法、漸進的筋弛緩法などを行って、身体の力を抜いてリラックスすることで心もゆるめていく
意識的に周囲の意見を聞いてみる
思い込みが激しい方は、自分が正しいと信じて疑わない事柄でも、周囲からは間違っていると判断されることがあります。自分の考えは間違っていないと思っている状態では、なかなか他の人の意見を聞き入れることはできません。自分の考えを持つことは大切ですが、意識的に周囲の意見も聞いてみましょう。
障害で就職活動に困った時には
激しい思い込みの原因が、「発達障害」や「統合失調症」の特性であるケースがあります。「発達障害」や「統合失調症」の方の中には、強い思い込みによって就職・転職活動がうまく行かないと悩んでいる人もいることでしょう。
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まとめ
思い込みが激しいと、日常生活や人間関係で大きなトラブルを起こしてしまうことがあります。周囲と意見が合わない、他の人に理解されないことがあると不安を感じている方は、自分は思い込みが激しいのかと疑ってみてもいいのかもしれません。客観的に自分と向き合うことができれば改善することは可能です。