広汎性発達障害の方に向いている仕事と就職活動のポイントについて
更新日:2025年06月25日
「広汎性発達障害(PDD)」の方の中には、どのように就職活動を進めたらよいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。「広汎性発達障害(PDD)」の方は、仕事上の対人関係やコミュニケーションの難しさで、精神的にストレスを抱えてしまうケースがあります。本記事では、「広汎性発達障害(PDD)」に向いていると考えられる職場や職種、そして就職活動を進める際のポイント、受けられる支援制度などについて詳しく紹介します。
目次
広汎性発達障害(PDD)とは
「広汎性発達障害(PDD)」は、生まれつきの脳の構造・機能の違いが原因と考えられている神経発達障害の一種です。社会性やコミュニケーション、想像といった生活上の広汎な領域に障害が現れる特徴があります。
かつては、症状によって、自閉症、アスペルガー症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性障害、レット障害の5つに区分されていました。しかし、2013年に改訂されたアメリカ精神医学界の診断基準DSM-5を使用する医療機関では、「自閉スペクトラム障害(ASD)」という診断名が用いられています。
広汎性発達障害(PDD)の方が職場で困ること
「広汎性発達障害(PDD)」の方は、次の3つの障害特性を持っています。
このような障害特性が原因で職場では、「報告・連絡・相談などのコミュニケーションが上手くできない」「ルールやマナーがわからない」「急に予定が変わるとパニックを起こす」などの困難を経験することがあります。
広汎性発達障害(PDD)の方に適した仕事
「広汎性発達障害(PDD)」の特性の現れかたや程度は人によって異なります。そのため全ての「広汎性発達障害(PDD)」の方に当てはまるわけではありませんが、次のような仕事が向いていると考えられます。
広汎性発達障害(PDD)の方に向いている職場環境や仕事内容
広汎性発達障害(PDD)の方は、変化への対応が苦手なため仕事内容や手順が明確に定義されており、ルーティンワークが多い職場が働きやすいと言えます。特定の分野に強い興味を持っている場合は、それを活かせる専門性が高い職種や業種が向いています。
広汎性発達障害(PDD)の方に適した職種
広汎性発達障害(PDD)の人には、次のような職種が適していると言われており、実際に活躍する人が多くいます。
・事務職:データ入力や書類整理など、決められた手順通りに作業を進めることで、効率的に業務が進められます。
・ITエンジニア:システムの開発やプログラミングなど、特性である論理的思考力や集中力を活かせます。また、技術力が重視されるため他の職種と比べて、コミュニケーションからくる対人関係のストレスが少ないのも特徴です。
・研究職:特定の分野への強い興味やこだわりを活かして、研究に没頭することができ、自分のペースで仕事を進められます。
・クリエイティブ職:デザイナーやイラストレーターなどのクリエイティブ職は、自分の感性を表現できます。一般的には、広汎性発達障害(PDD)の方が苦手な臨機応変な対応や高度なコミュニケーションが求められないので向いていると言えるでしょう。
広汎性発達障害(PDD)の方が就職活動をするときのポイント
「広汎性発達障害(PDD)」が就職活動を進める際には、どのような準備や対策が必要などでしょうか。
障害の特性や程度を自分で理解しているか
同じ「広汎性発達障害(PDD)」と診断された方でも、人によって特性の現れ方や程度が異なります。まずは自分の障害についてちゃんと理解しましょう。
対人関係やコミュニケーションが苦手な「広汎性発達障害(PDD)」の方は、一般の方より就職活動でストレスを感じやすいケースがあります。自分への理解を深めることで、就職活動によって起きる症状を予防しやすくなります。
また、企業に自分の障害について正確に伝えることで、必要なサポートや配慮を受けやすくなります。
自分に合った仕事や職場を選ぶ
障害の有無に関わらず就職活動においては、自分に合った仕事や職場を選ぶことが重要です。自分に合っていない場合には、せっかく就職できても早期退職してしまうことになりかねません。
まずは、自分がやりたい仕事や向いている仕事について、自己分析を行って把握しましょう。自己分析は企業や仕事を選ぶ軸となる作業です。また、自己アピールをする際にも、自分の強みや弱みを知っておくことが重要となります。
次に希望する求人が見つかったら、しっかりと企業研究を行います。業務内容や職場環境だけでなく、障害者雇用に対する理解やどのようなサポートを受けられるかなども、応募する前に確認しておきましょう。
就職活動に利用できるサービス
「広汎性発達障害(PDD)」を含めて障害のある方が就職活動を行う際には、次のサービスが利用できます。
就労移行支援
「就労移行支援」は、一般企業への就職を希望する障害のある方たちに対して、就職に必要なスキルや知識を身につけるためのトレーニングや就職活動のサポート、職場定着支援などを行う通所型の障害福祉サービスです。
障害や難病を持っている18歳以上65歳未満の方が対象で、障害者手帳を取得していなくても利用できます。
ハローワーク
「ハローワーク(公共職業安定所)」は、国が運営する求職者や求人企業に対してさまざまなサービスを提供する機関です。「ハローワーク」には、障害者の就職活動を支援するため、障害について知識を持った職員や相談員が配置されていて、求人情報の提供だけでなく就職に関する相談も行っています。
広汎性発達障害(PDD)の方が受けられる支援制度
「広汎性発達障害(PDD)」の方が受けられる支援制度には、次のようなものがあります。
自立支援医療制度(精神通院医療)
「自立支援医療制度(精神通院医療)」は、「広汎性発達障害(PDD)」など精神疾患のため、通院による継続的な医療が必要な方に、医療費の自己負担分の一部を公費で負担して医療費の負担を軽減する制度です。
●自立支援医療費を受給するための手続き
・住んでいる市町村の担当窓口で申請します。
・申請に必要なものは以下の通りですが、自治体により異なる場合があります。
詳しくは市町村の担当窓口や、地域にある精神保健福祉センターに問い合わせください。
●申請が認められると「自立支援医療受給者証」が交付されます 。
障害者手帳
「障害者手帳」は、障害によって日常生活に支援が必要な方や自立が困難な方に対して交付される手帳です。障害者手帳を持つことで、医療費の負担減や税金の控除、割引など等のサービスが受けられる他、障害者雇用枠での就労が可能になります。
「障害者手帳」と呼ばれるものには、「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の3つの種類があります。「広汎性発達障害(PDD)」の場合は、精神障害者保健福祉手帳または療育手帳の対象になります。
広汎性発達障害(PDD)の方の就職事例
● Mさん(広汎性発達障がい、20代男性、総合保険会社に就職)
https://info.atgp.jp/jobtra-blog/article003-8
● Mさん(広汎性発達障がい・ADHD、40代男性、IT系企業に就職)
https://info.atgp.jp/jobtra-blog/article003-14
● Bさん(広汎性発達障害・ADHD、40代女性、WEB制作職にて活躍)
https://info.atgp.jp/jobtra-blog/article003-20
● Sさん(広汎性発達障がい・ADHD、30代男性、大手商社に就職)
https://info.atgp.jp/jobtra-blog/article003-26
● 卒業生 Sさん(広汎性発達障害、40代男性、通信建設会社に就職)
発達障害特化コ-スの就労移行支援
前の章でも説明いたしましたが、「広汎性発達障害(PDD)」の方が就職活動を行う際には、「就労移行支援」サービスを利用できます。
「atGP(アットジーピー)ジョブトレ」は、障害者の転職サービス業界 No.1の「atGP」が運営する就労移行支援サービスです。うつ病・発達障害・統合失調症・聴覚障害・難病の5つの障害に特化したコース制で、自分の障害とうまく付き合いながら働き続けるためのスキルが身につきます。また、atGPの就職支援サービスでプロに相談しながら進める「atGPエージェント」や求人を探す「atGP転職」も活用することで就職の可能性が広がります。
まとめ
「広汎性発達障害(PDD)」の方が就職活動をする際には、自身の障害の特性や程度を理解し、自分に合った仕事や職場を選ぶことが重要です。自分一人で就職活動を進めることに不安を感じる場合は、就労移行支援やハローワークに相談して、障害について専門的な知識を持った方のアドバイスを受けるのがおすすめです。