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発達障害の新卒採用情報と困ったときの相談窓口

更新日:2022年12月21日

発達障害のある学生は、日常生活や学校生活でさまざまな困りごとがあり、不安や悩みを抱えているのではないでしょうか。さらに就職活動となると苦労する場面が多くなります。 本記事では、発達障害のある方が抱えやすい困りごとや発達障害の特性が就職活動に与える影響、就活のポイントと困ったときの相談窓口について紹介します。

発達障害の種類と特性

「発達障害」とは、生まれつき脳の発達に偏りがあり、幼児のころから行動面や情緒面に特徴がみられる障害です。発達障害は、主に「自閉症スペクトラム障害(ASD)」「注意欠如・多動症(ADHD)」「学習障害(LD)」の3つの種類があります。それぞれの特性は次のようなものです。

 

 自閉症スペクトラム障害(ASD)

「自閉症スペクトラム障害」は、自閉症とアスペルガー症候群、広汎性発達障害などが統合された診断名です。主な特性としては、言葉や表情、態度などでコミュニケーションを取ったり、自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちを読み取ることが苦手です。

 

また特定のことに強い関心やこだわりを持っています。イメージとしては「周りの空気が読めない」「融通が効かない」「こだわりが強い」などです。

 

 注意欠如・多動症(ADHD)

「注意欠如・多動症(ADHD)」の特性としては、不注意や多動性、衝動性があります。

不注意の具体的な例としては、「忘れ物や失くし物が多い」「細かいことを見過ごす(ケアレスミスが多い)」「約束などを忘れる」などがあります。

多動性や衝動性の具体例としては、「じっとしていられない」「静かにできない」「思ったことをすぐ行動したり口に出す」「貧乏ゆすりなど手足を動かす」などです。

 

 学習障害(LD)

「 学習障害(LD)」は、全般的な知的発達には遅れが無いのに、読む、書く、計算する、聞く、話すなど特定分野の学習が困難な障害です。

発達障害の方が抱えやすいよくある困りごと

前章で紹介した通り、発達障害には「自閉症スペクトラム障害(ASD)」「注意欠如・多動症(ADHD)」「学習障害(LD)」の3つの種類があり、それぞれ特性や程度が異なるため、抱える困りごとも人によって違います。発達障害の方が、一般的に困ることについて「生活面」と「仕事面」「仕事面」に分けて紹介します。

 

生活面

・部屋が整理整頓できず、常に散らかっている。

・提出しなければならない書類などを頻繁に忘れる。

・スケジュール管理ができない、予定を忘れてしまう。

・予定の変更に対応できない。

・遅刻が多い。

・規則正しい生活が送れない。

 

仕事面

・タスクやスケジュールの優先順位を管理できない。

・締め切りに間に合わない。

・書類の誤字・脱字が多い。

・作業手順のミスが多い。

・興味のある仕事に没入して他の業務を忘れる。

・視覚や聴覚からの刺激で集中力が切れる。

 

人間関係

・後先を考えず衝動的に発言したり行動してトラブルになる。

・空気が読めずに場の雰囲気を壊してしまう。

・話を始めると止まらない。

・人の話を聞けず、自分のことばかり喋ってしまう。

・約束を忘れてしまう。

・冗談や例え話など抽象的な表現が苦手なため、相手の意図がくみ取れない。

発達障害の特性が就活に与える影響とは

 

発達障害の方は、その特性によって生活面や仕事面、人間関係などさまざまな生きづらさを感じていますが、就職活動にも大きな影響を与えます。

 

自閉スペクトラム症(ASD)の方

自閉スペクトラム症(ASD)の方は、言葉や表情、態度などでコミュニケーションを取ったり、自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちを読み取ることが苦手です。

 

企業が選考で重視する要素の一つに、対人コミュニケーション能力があります。ビジネスでは、「相手の話していることを正しく理解する力」と「相手に伝える力」という2つのコミュニケーションスキルが必要です。また、職場においてもコミュニケーションの円滑さが仕事に影響を及ぼします。

 

自閉スペクトラム症(ASD)の方は、コミュニケーションがうまくとれないため、選考過程の面接試験やグループディスカッションなど、障害のない他の応募者と比較されると不利となる可能性が高いでしょう。

 

また、自閉スペクトラム症(ASD)の方は、こだわりが強いといった特性を持っています。そのため応募する業界や職種を絞り込み過ぎる傾向があります。履歴書や職務経歴書などの応募書類も、こだわりのためなかなか完成させることができません。

 

注意欠如・多動症(ADHD)の方

就職活動では、複数の企業に同時に応募して、応募書類の作成、業界研究、企業研究、面接対策などの準備を行うことが必要です。注意欠如・多動症(ADHD)の方は、スケジュールやタスクの管理が苦手なため、これらの準備が間に合わないケースがあります。

 

また、ケアレスミスが多いため誤字脱字が多くある応募書類を提出してしまったり、必要な書類を添付し忘れたりしてしまう可能性もあります。

 

学習障害(LD)の方

学習障害(LD)には、読字障害、書字表出障害、算数障害の3種類のタイプがあり、それぞれ読む、書く、計算することが苦手です。

 

読むことが苦手な場合、そもそも求人票や募集要項を読むことが難しくなります。書くことが苦手な場合には、エントリーシートや応募書類の作成を作成するのが難しいでしょう。

 

また、企業によっては適性検査を実施するケースがあります。適性検査には計算力を測る問題もあるため、計算の苦手な場合には、適性検査で不利になるでしょう。

 

発達障害かも?と感じたら

発達障害は幼少期に診断されることが多いですが、中には大人になってから発達障害が顕在化する方もいます。

 

大人の場合、発達障害と診断されるまで、生活面や仕事面で周囲に適応できないことからの不安や悩みから、二次的にうつ病や不安障害などの精神障害を発症してしまうこともあります。

 

「もしかして自分は発達障害かも?」と感じた時には、一人で抱えこまず、まずは心療内科や精神科などの医療機関を受診して相談してみましょう。病院や医師によって診察の流れは違いますが、一般的にはまず症状や日頃感じている困りごとなどについて詳しく話を聞いてくれます。

 

その上で、診断ガイドラインの基準と照らし合わせて、発達障害かどうかの判断をします。そして診断結果に基づいて、自分自身の得意なことと苦手なことを把握して苦手なことをカバーする工夫を検討します。

 

発達障害という生まれつきの特性は、努力しても変えることは難しいでしょう。自分が得意なことを伸ばして、苦手なことをどのようにカバーするかを考えることが大切です。

発達障害を持つ方におすすめの就活の進め方

この章では、発達障害の方が就職活動を進める際のポイントについて解説します。

 

自己分析・自己理解を深める

発達障害とひと言でいっても、全ての人が同じ症状や特性を持つわけではありません。まずは、発達障害について正しい知識を学んで、自分がどのような特性を持っているかなど自分の状況を把握することが大切です。

 

障害がない方でも就職活動では、自己分析を行うことが重要とされています。就職活動における自己分析とは、自分の長所や短所、特徴、強みと弱みなどを把握して分析することです。早めに自己分析を行うことで、長所の向上や短所の克服などに取り組むこともできます。

 

発達障害の方が、一人で自己分析を行うのは難しいかもしれません。その場合には、自分のことを良く知っている家族や友人と進めることで、客観的な視点で自分のことを知ることができます。

 

企業を知る(企業・業界研究)

自己分析を行って、自分が「どんな業界や職種に興味や関心があるか」や「どんな仕事に向いているのか」がわかってきたら、気になる会社について企業研究や業界研究をしてみましょう。

 

ただし、自閉スペクトラム症(ASD)の方は、こだわりが強いため応募する業界や職種を絞り込みすぎてしまう可能性があります。就職活動のスタート時点では、あまり絞り込まずに幅広い業界や職種について研究することがおすすめです。

 

また、企業研究ではどんな仕事をするのかに加えて、社風や働き方が自分の特性や性格に合っていることも大切です。

 

「一般雇用枠」と「障害者雇用枠」を知る

発達障害の方の就職活動では、「一般雇用枠」か「障害者雇用枠」のどちらの求人に応募するかを検討する必要があります。

 

「障害者雇用枠」の場合には、障害が理由で業務に支障をきたしそうな場合に配慮を受けられるというメリットがあります。一方で「職種や求人が限られる」「一般雇用枠と比べると給与が低い傾向にある」というデメリットがあります。

 

発達障害の方が働く際には、一般雇用枠と障害者雇用枠でそれぞれメリットとデメリットがあるため、よく理解して求人に応募することが大切です。

 

困ったときの相談先

発達障害の方が就職活動で困った時には、次に紹介する機関や施設に相談してみましょう。

 

ハローワーク

ハローワークには、障害について専門的な知識を持っている職員や支援員が配置されています。誰でも利用でき、無料で求人の紹介や職業訓練などの案内を受けられます。ハローワークの障害者相談窓口は、就職に関する相談だけでなく、生活面の相談もできます。

 

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、就業を中心に就業と生活の両面で支援する機関です。具体的には、職業訓練や職場実習のあっせん、就職活動のサポート、就職後の生活面での支援などを行っています。

 

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、企業などで働きたい障害者に対して、働くために必要な能力や知識を身につけるための職業訓練や、就職活動のサポート、就職後の職場定着の支援サービスを行う施設です。原則24か月(2年間)利用できます。

 

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、障害のある方が自立した職業生活をおくれるように、専門的な職業リハビリテーションを行う施設です。受けられる支援は、「職業評価」「職業準備支援」「職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業」「リワーク支援」です。

 

障害者向け就職エージェント

就職エージェントとは、民間企業が運営する職業紹介サービスです。専任の担当者が求職者と面談を行って、希望や適性に合った求人を紹介してくれます。就職エージェントの中には、障害者雇用に特化したサービスもあり、障害に詳しいアドバイザーが就職活動のさまざまサポートをしてくれます。

 

atGP就活について

「atGP就活」は、障害者の就職・転職サポート実績No.1の就職支援サービス「atPG(アットジーピー)」が提供している、障害のある新卒学生の就活をサポートするサービスです。

 

勤務地や職種はもちろん、「障害配慮」をキーワードに新卒向けの求人を検索できます。また、キャリアアドバイザーがマンツーマンで就職活動をサポートする「atGP就活エージェント」との併用もできます。

まとめ

発達障害のある大学生は、学校生活や日常生活でいろいろな困りごとがあると思います。特に、就職活動では障害のない学生に比べると大きな苦労があります。

 

就職活動で困ったことがあれば、一人で抱え込まずに今回ご紹介したサービスや機関に相談してみてはいかがでしょうか。

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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