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身体障害者の就職・転職活動のポイントについて

更新日:2021年06月17日

身体障害者は、先天的または病気やケガによって、身体機能に障害がある人のことです。身体障害者福祉法では、障害の範囲によって「肢体不自由」「視覚障害」「聴覚・言語障害」「内部障害」の5つに分類されています。身体障害がある人が就職や転職活動を進めるには、一般の就職活動とは違ったポイントをおさえる必要があります。この記事では、身体障害者が就職・転職活動をする際のポイントや企業・仕事選びのコツについて解説します。

 

身体障害者雇用の現状は?

「障害者雇用促進法(障害者の雇用の促進等に関する法律)」では、国や地方公共団体、民間企業に対して、雇用する労働者のうち障害のある人を一定数以上雇用するように義務付ける「障害者雇用率制度(法定雇用率)」が定められています。

 

民間企業の法定雇用率は、2021年3月まで2.2%でしたが、2021年3月1日以降は2.3%に引き上げられ、従業員を43.5人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。

 

一定規模以上の企業は、障害者の雇用状況を報告する義務があり、法定雇用率を達成できなかった場合には、障害者雇用納付金の徴収や、行政指導(社名公表など)といったペナルティが課せられます。

 

この制度の効果もあって、民間企業の障害者雇用者数は、令和2年度まで17年連続で増加しています。厚生労働省が発表した「令和2年 障害者雇用状況の集計結果」では、民間企業(45.5人以上規模の企業)に雇用されている障害者の数は578,292人で、そのうち身体障害者は356,069人でした。

参考:厚生労働省「令和2年 障害者雇用状況の集計結果」

 

 

身体障害のある人が就職・転職する際の悩み

身体障害のある人のなかには、障害ゆえの就職や転職する際の悩みを持つ人も少なくありません。障害の部位や程度によって、悩みには個人差がありますが、多くの身体障害者が抱えている悩みについて解説します。

 

 

設備がととのっていない企業では働きづらい

例えば下肢障害により車いすを使用している人が職場で働く場合、職場内を移動するときに支障となるもの(バリア)がないことが大切です。また、事務所が2階以上にある場合には移動にエレベーターが、ほかにもトイレは車いすで利用できるような整備が必要です。
身体障害は、肢体不自由の他にも視覚障害や聴覚障害などもあります。それぞれの障害に配慮した設備が整えられていない企業では働きづらさを感じることもあります。

 

 

体調管理が難しく仕事に影響が出る

身体障害がある人は、健常者と比較すると体調管理が難しく仕事に影響がでる可能性もあります。例えば内部障害の人は、見た目では障害が分かりにくいですが、ストレスを受けやすかったり、疲れやすい、体力が低下して風邪などの病気にかかりやすいなどの悩みを抱えています。

 

 

できる仕事に限りがある

身体障害のある人は、障害の部位や程度によって、できる仕事の範囲に限りがあります。そのため、自身がやりたいと思う仕事に就けなかったり、企業から求められる仕事をこなすことができないことがあります。

 

 

通勤が困難

たとえ職場内がバリアフリー化されていても、肢体不自由や視覚障害の人の中には、一般公共交通機関での通勤が困難な人も多くいます。

 

 

身体障害のある人にはどんな仕事が向いているの?

身体障害のある人に向いている仕事というのは一概には言えませんが、持っている能力を最大限に発揮できる仕事を選ぶのがおすすめです。

 

 

肢体障害の人に向いている仕事

・事務職
・デザイナー
・エンジニア
・電話オペレーター
・製品の組み立てや仕分けなど座ったままできる軽作業

 

肢体障害といっても部位や程度によって異なりますが、下肢に障害があって車いすを利用している人は、歩くことなくできる仕事が向いています。また、通勤が困難な肢体障害の方は、在宅でできる仕事であれば通勤やオフィス内の移動、トイレなどを気にすることなく働くことができます。

 

 

視覚障害の人に向いている仕事

・事務職
・プログラマー
・電話オペレーター

 

身体障害者手帳では、視覚障害は1級から6級までの等級があって、1級が最も重度の視覚障害で「両眼の視力合わせて0.01以下」、6級が「片方の視力が0.02以下、反対側の視力が0.6以下で、両眼の視力合わせて0.2を超えるもの」となっています。

 

重度の視覚障害の人は、鍼やお灸などを学んでマッサージの仕事をされる人が多いですが、軽度の視覚障害の場合は他の職業を選ぶ人もたくさんいます。

 

視覚障害のある人は、事務的な仕事が難しいと思う方もいるかもしれませんが、キーボード配列を覚えたり、視覚障害者用の音声読み上げソフトを使用するなどで、重度の視覚障害でもパソコンの操作が可能です。

 

 

聴覚障害の人に向いている仕事

・事務職
・システムエンジニア
・プログラマー
・医療・福祉関係

 

聴覚障害があっても、筆談やメールなどの手段でコミュニケーションが取れるため、電話での対応が必要な場合を除いて、ほとんどの仕事に勤務可能です。

 

なかでも、データ入力やシステムエンジニア、プログラマーなどパソコンスキルを活かせる仕事は、相手と音声会話ができないことがハンデとなることもなくおすすめです。また、医療や福祉関係の仕事も障害に対する理解が得られやすので向いている仕事といえるかもしれません。

 

 

身体障害のある人が働きやすい環境とは?

厚生労働省は、2015年に「合理的配慮指針」を発表しました。合理的配慮とは、障害がある人とない人の就職機会や待遇の平等を確保して、障害者が能力を発揮するために支障となる職場環境を改善したり調整したりすることで、すべての事業者に義務付けられています。

具体的には、その人の障害特性や職場の状況、業務内容などによって異なりますが、「合理的配慮指針」では、合理的配慮の事例として次のような配慮が紹介されています。このような配慮が行われている企業は、身体障害のある人が働きやすい環境と言えるでしょう。

 

 

視覚障害

拡大文字、音声ソフト等の活用により業務が遂行できるようにすること。
移動の支障となる物を通路に置かない、机の配置や打合せ場所を工夫する等により職場内での移動の負担を軽減すること。

 

 

聴覚・言語障害

業務指示・連絡に際して、筆談やメール等を利用すること。
危険箇所や危険の発生等を視覚で確認できるようにすること。

 

 

肢体不自由

移動の支障となる物を通路に置かない、机の配置や打合せ場所を工夫する等により職場内での移動の負担を軽減すること。
机の高さを調節すること等作業を可能にする工夫を行うこと。

 

 

内部障害

本人の負担の程度に応じ、業務量等を調整すること。

 

 

参考:厚生労働省「合理的配慮指針」

 

身体障害のある人が仕事を選ぶときのポイント

身体障害のある人は、その障害によってできる仕事が限られたり、働きづらさを感じることがあります。では、身体障害のある人が仕事を選ぶ際には、どのようなポイントを意識したらよいのでしょうか。

 

 

身体障害のある人が働きやすい設備が整っているか

厚生労働省が発表した「合理的配慮指針」によって、すべての事業者には合理的配慮が義務付けられています。とはいえ、必要となる配慮は障害の部位や程度、職場の環境、業務内容によって違うため、自分が働きやすい設備や環境が整っている職場を選ぶことが大切です。

 

 

時短勤務など柔軟な働き方に理解があるか

身体障害のある人は、障害によってストレスを感じやすかったり、体調管理が難しいケースがあります。また、定期的に医師の診察や治療が必要な場合もあります。そのため、時短勤務など柔軟な働き方に理解がある企業を選ぶのがおすすめです。障害により通勤が困難な人は、リモートで働くことができる仕事を選ぶのもよいでしょう。

 

 

悩みなどを話しやすい環境があるか

企業には、合理的配慮が義務付けられていますが、必要な配慮は人それぞれ違うため、障害者本人がどのような配慮をして欲しいのか伝える必要があります。そのため、仕事をする上で困ったことや悩みなどを話しやすい環境の企業を選ぶようにしましょう。

 

 

身体障害者が多く雇用されている企業を選ぶ

すでに身体障害者を多く雇用している企業は、バリアフリーが整っていたり、障害者に対する理解があると判断できます。特に、自分と同じ障害のある人が働いている場合には、働きやすい環境が整えられている可能性があります。

 

 

身体障害者向けの仕事を探すには?

これまで身体障害のある人が働きやすい環境や仕事を探す際のポイントについて解説しましたが、どのような方法で仕事を探せばよいのでしょうか。身体障害のある人が仕事を探す方法を紹介します。

 

 

ハローワーク

ハローワークは、正式名称を公共職業安定所(職安)といい、国が所管する職業紹介する機関です。ハローワークは、全国各都道府県に544か所設置されていて、求人情報の提供、雇用保険手続き、助成金事務などのサービスを行っています。

ハローワークには、障害のある人のために専門の職員や相談員が配置されていて、求人の紹介だけでなく、職業相談や就職指導なども受けることができます。

 

 

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、障害のある人に対して専門的な職業リハビリテーションを行う施設です。障害者職業カウンセラーや相談支援専門員、ジョブコーチなどが配置されていて、就職に向けたさまざまな支援やサポートを受けることができます。直接求人を紹介してくれる施設ではありませんが、ハローワークと密接に連携しているため、求人に合わせた支援を受けることができます。

 

 

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、就職に必要な知識やスキル、ビジネスマナーなどの習得をサポートする通所型の福祉サービスです。就労移行支援事業所では、職業訓練だけでなく応募書類の書き方や面接試験の訓練など、就職活動のサポートも受けられます。

 

 

障害がある方向けのエージェントサービス

求人情報を探すには、公共の職業紹介機関であるハローワーク以外にも、民間が運営する就職・転職情報サイトやエージェントサービスを利用する方法もあります。情報サイトやエージェントサービスの中には、障害のある方の求人に特化したサービスもあります。

障害者転職サポート実績No.1の「atGPエージェント」は、障害者専門の就職支援サービスで、障害者の就職・転職に精通したキャリアプランナーが、最適の求人情報を紹介してくれます。

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身体障害者の採用事例

身体障害のある方が就職・転職に成功した事例を紹介します。

 

【40代、視覚障害、IT企業に事務職として入社、通所1年4か月】

就労移行支援事業所を利用するまで:短大を卒業後、一般企業の事務職として約20年勤務していました。中途視覚障害で、30代後半から網膜色素変性症が進行し、視力低下のため就労継続が困難になり41歳で退職しました。

 

 

国立病院の眼科(ロービジョンクリニック)で視覚障害者専門の就労支援を勧められ、自立訓練(機能訓練)で白杖歩行や音声パソコンの基礎等の日常生活に必要な訓練を7か月館受けた後、就労移行支援事業の利用を開始しました。

 

 

就職決定までの経緯:豊富な事務職経験があり、実務でどのようなスキルが必要かを十分に理解していたので、視力が低下した状況でもパソコン画面情報を音声で読み上げさせ、キーボード操作のみでパソコンを操作するスキルを身に付ける訓練を行いました。

 

また就職活動では、企業の人事担当者の多くが視覚障害者にどのような業務が可能なのかイメージを持っていないため、スキルを客観的に示すことができるよう、各種資格を取得しました。一次面接通過後、企業の人事部長、採用担当者にExcel操作のデモンストレーションを行ったところ、スキルが高く評価され、内定となりました。

 

参考:全国就労移行支援事業所連絡協議会「就労移行支援事例集」

まとめ 

身体障害のある人は、その障害から体調を崩してしまったり、業務を遂行するのが困難になってしまうことがあり、せっかく就職しても早期に退職する人も少なくありません。

 

身体障害者が就職・転職活動を行う際には、自身の障害に合った仕事か、働きやすい環境の職場かなどを十分に考慮することが大切です。

 

就職・転職活動が不安な時には、障害者雇用に詳しいエージェントサービスなどに、相談してみるのもおすすめです。

 

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atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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