ASD(自閉症スペクトラム)の方にあった仕事、働き方とは

以前は知られていなかったASD(自閉症スペクトラム)。今ではメディアに取り上げられることも多くなってきました。ASD(自閉症スペクトラム)の方は仕事や人間関係などで悩みやストレスを抱えている方も多く、中には「仕事を続けられない…」という悩みを持つ方もいらっしゃいます。そこで、この記事ではASD(自閉症スペクトラム)にあった仕事の仕方や選び方について説明します。

ASD(自閉症スペクトラム)について

 

まずASD(自閉症スペクトラム障害)を知らない方の為に、ASD(自閉症スペクトラム障害)について説明します。

■ASD(自閉症スペクトラム障害)とは

ASD(自閉症スペクトラム障害)と一言でいってもその症状は様々ですが、大きくわけて2つ(アスペルガー症候群、自閉症)に分類されます。

この2つの違いについて見ていきましょう。

【アスペルガー症候群】

ASD(自閉症スペクトラム障害)のうち、知的な能力が正常範囲以上で、言語発達の遅れも無い方

【自閉症】

ASD(自閉症スペクトラム障害)のうち、言語発達に遅れがある方

参考:どんぐり発達クリニック ASD、自閉症・アスペルガー症候群

 「自閉症」というと、家や自分の殻に引きこもっている人、という間違った知識を持っている方も多くいますが、それは違います。上記に書いたように発達障害であるASD(自閉症スペクトラム障害)の症状の一つです。

では次に、ASD(自閉症スペクトラム障害)の症状について見ていきましょう。

■ASD(自閉症スペクトラム障害)の症状

ASD(自閉症スペクトラム障害)の方は社会生活において必要な3つの能力

・社会性:他人と関係をつくる能力

・コミュニケーション力:会話を通して意思を伝える能力

・想像力:他人の心を想像する能力

に障害を抱えています。

例えば、

1.空気を読む・雰囲気を感じるといった、周囲の状況から必要な振る舞いを察することが苦手

2.相手が話をしているのに自分の話だけを一方的に話をしてしまう

3.建前や冗談が通じず、言葉どおりに受け取ってしまう

4.曖昧な表現や、相手の感情など目に見えない物を察することが苦手

といった、社会性の障害(1)コミュニケーションの障害(2、3)、想像性の障害(4)が挙げられます。

では、このような障害を抱えている場合にどの様な仕事を選ぶと良いのでしょうか?

また、働き方は? そして周囲の人間はどう接したら良い?

それぞれの疑問に答えていきます。

ASD(自閉症スペクトラム)の方にあった仕事、働き方、周囲の接し方とは

 

合う仕事を見つけるためには強みと弱みを理解することが必要です。

弱みは先に挙げた通りですが、強みは下記となります。

【ASD(自閉症スペクトラム障害)の強み】

・集中力が高い、持続できる

・几帳面さを備えている

・視覚情報に強い

 

【ASD(自閉症スペクトラム障害)に合った仕事】

 上記の強みを活かすには、集中して正確に物事を遂行する対応が求められる業務次の様な業務が向いていると思われます。

・人事

・経理

・事務アシスタント

・エンジニア

・技術職など

仕事選びの際には参考にしてみて下さい。

しかし、これらの業務を行う場合でも注意しておかなければいけない点があります。

それは、「強みを活かして働くためには、弱みへの対処を行うこと」です。

では、弱みへの対処をどう行えば良いのでしょうか。

 

そのコツの幾つかをご紹介いたします。

■ASD(自閉症スペクトラム)の弱みへ対処する働き方

ASD(自閉症スペクトラム)と付き合いながら働く上で、この様に上司や同僚から言われて困ることはありませんか?

【「もっと自分で考えて」や「真面目にやって」等の誤解を受ける】

上記の事態になる背景にはASD(自閉症スペクトラム)の特性による想像力(察する力)の弱さが影響しています。

想像力(察する力)を対処するには、想像力を高めるのではなく、コミュニケーションで対策を取ることが有効です。具体的には、自分が立てた仕事の計画と進捗状況を小まめに報告することです。

小まめな報告を通じ、仕事の依頼者のゴールイメージとズレが無いかを確認しましょう

そしてあらかじめ、ズレが生じている場合にはストレートに指摘してもらえるように相手に頼んでおくことをお勧めします。このような方法を取ることで、誤解を防ぐ対策になります。(伝えておかないと「なぜ細かく報告するのか」と不思議がられるので極力あらかじめ細かく報告する理由等を伝えておきましょう。)

【暗黙の了解を推し量ることが苦手】

暗黙の了解を推し量る、いわゆる「空気を読む」ことが苦手な場合、指示はわかりやすくストレートに伝えてもらえるように相手にあらかじめ伝えておきましょう。

このように伝えておかないと、人によっては、言わなくても雰囲気で分かるだろ、と考える方もいるからです。

そういった雰囲気で感じ取ることが苦手な障害であることを事前に伝えておきましょう。

【仕事に対し「協力的でない」と誤解を受ける】

周囲の様子や態度から状況を察することが苦手な特性がある方は、このような誤解を招くことがあります。

誤解されないようにするには、その苦手さを周囲にあらかじめ共有し、具体的な指示を出してもらえる様に会社や上司に頼んでおきましょう。

また、自ら積極的に指示をもらいにいくと更に対策となります

【自分に合った仕事や職場環境がわからない】

こちらも想像性の弱さが影響しての悩みです。

理由としては、自分自身を客観視しづらく、自分の強みや弱みが不明確となっているからです。

お勧めは、自己分析等を行うだけではなく、実際に業務を行う等の体験から学びを得ることです

格闘技の本を読んで頭の中でイメージしたからといって格闘技が上手くなるわけではありませんよね? 本で学んだことを実践して初めて効果が現れます。(前者をインプット、後者をアウトプットといいます。)

それと同じで自己分析を行うことも大切ですが、それだけでは足りません。実際に業務を行うという体験を行うことで効果を発揮する、つまり自分に合った仕事や職場環境がどういったものなのか、だんだん分かってくるのです。

また、体験だけでなく体験後に周囲からのフィードバックを得ると更に対策となります

(周囲からフィードバックを得るのは、努力せずに出来ていることが強みであるケースも多いため自分では気づきづらい場合があるからです。また、弱みの対策も周囲の意見も参考にするとヒントを得やすい、といった理由もあります。)

【マルチタスクや割り込み業務が苦手】

これらのことが苦手なのは短期記憶の弱さが影響しているからです。

こういった苦手を解消する為には、頭の中だけで処理せずにメモを取ると良いでしょう。

また、頼まれた仕事について相手と認識の相違が無いかを確認するため、メモを取った内容を声に出して読み上げて相手に確認を取ると更に対策となります。

(何も説明無しに毎回メモを声に出して読み上げると、誤解を招く恐れがあります。実践する場合には事前に自分の障害の特性について会社や上司に伝えておきましょう。)

ASD(自閉症スペクトラム)の方が仕事や働く上で悩むポイントやまとめ

 

ここまで、ASD(自閉症スペクトラム障害)の方の特徴や、仕事や働き方について書いてきました。

特に仕事や働く上で悩むポイントと解決方法についてまとめます。

 

>>仕事のゴールイメージを描きづらい、もしくは仕事の依頼者のゴールイメージとズレが生じやすく、「もっと自分で考えて」や「真面目にやって」等と言われてしまい誤解を受けることがある

自分が立てた仕事の計画と進捗状況を小まめに報告する。

小まめな報告を通じ、仕事の依頼者のゴールイメージとズレが無いかを確認、ズレが生じている場合にはストレートに指摘してもらえるように相手に頼んでおく。

 

>>暗黙の了解を推し量ることが苦手で曖昧な表現がわからない

指示はわかりやすくストレートに伝えてもらえるように相手にあらかじめ伝えておく。

 

>>共同作業や分担をする場面で、自身がどう行動すると良いかを察することが苦手で、「協力的でない」と誤解を受ける

その苦手さを周囲にあらかじめ共有し、具体的な指示を出してもらえる様に会社や上司に頼んでおく。

また、自ら積極的に指示をもらいにいくと更に対策となる。

 

>>自分に合った仕事や職場環境がわからない

自己分析等を行うだけではなく、実際に業務を行う等の体験から学びを得ること。

また、体験だけでなく体験後に周囲からのフィードバックを得ると更に対策となる。

 

>>マルチタスクや割り込み業務への対応が苦手

頭の中だけで処理せずにメモを取ると良い。

また、頼まれた仕事について相手と認識の相違が無いかを確認するため、メモを取った内容を声に出して読み上げて相手に確認を取ると更に対策となる。

これらがポイントと解決方法になります。

ASD(自閉症スペクトラム障害)の方は上記ポイントで挙げた弱みの部分で仕事での失敗を繰り返し、自己肯定感が低くなっていることがあります。

仕事をするのが怖い、と思うようになる方もいます。

ですが、自分の弱みを理解し対策をすることで、ASD(自閉症スペクトラム障害)の方も充分に活躍ができます

この記事を参考に、仕事をして充実した生活を送ってくださいね。